国内製造業のデジタル化の起爆剤に、「toDMG」がもたらす新たな革新製造業DX

多くの国内製造業がデジタル化に取り組んでいるものの必ずしも成果が出ているとはい言えない状況にある。応用技術とトランスコスモスはこの課題を解決すべく、オートデスク製品を中核とした新たなデジタルマニュファクチャリングサービス「toDMG」を立ち上げた。toDMGは、国内製造業にどのようなインパクトもたらすのだろうか。

» 2022年11月24日 10時00分 公開
[PR/MONOist]
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 労働人口の減少、サプライチェーンの再構築、カーボンニュートラル対応などの社会的な課題を背景に、国内製造業による新たなテクノロジーを活用したビジネス変革の取り組みが進展しつつある。ただし、実際の導入では、米国、欧州、アジアなど海外企業と比べて後れを取っていることも少なくない。この課題を解決すべく、オートデスク、応用技術、トランスコスモスの3社の協業による新たなソリューションを提案している。

「技術力」「提案力」「運用力」を集結したワンストップソリューション

 オートデスクは、3D技術を使ったデザイン/設計/エンジニアリングソフトウェアやクラウドサービスを提供する会社である。顧客のビジネスにどのようなインパクトを与えるかという視点に立ち、企業が取り組むべき領域を「イノベーション」「コラボレーション」「デジタル化」「接続性」「スキル格差」の5つに分類した上で、これらに対応する「新しいプロセスとマテリアル」「製造の自動化」「AIによる設計」「クラウドプラットフォーム」「データ管理」のソリューションを展開している。また、業種ごとに特化したクラウドを意味する「インダストリークラウド」というコンセプトの下、製造業向けでは3Dモデリング、CAD、CAM、CAE、PDM/PLMなど豊富なデジタルツール群を統合するクラウドベースの「Fusionプラットフォーム」を展開している。

 応用技術は、「課題を価値に変えるイノベーション・カンパニー」を企業理念に掲げ、建設業/製造業を対象としたソリューションサービス事業などを展開している。製造業向けでは、自社開発パッケージとCADに関する技術力を生かし、営業活動から設計、アフターサービスまで顧客のビジネスプロセスを一気通貫で改善するサービスを提供する。顧客の課題に同じ目線で寄り添い、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める提案力に強みを持つ他、オートデスクとの強固なパートナーシップがあり、販売パートナーとしての「ゴールドパートナー」認定、日本初の「Forgeシステムインテグレーター」や「サービスプロバイダープレミア」認定を保有する。

 応用技術の親会社であるトランスコスモスは、顧客企業の「コスト最適化」「売上拡大」をミッションに、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスなどを提供している。DXの実現には「デジタル技術」と「企業変革」の両輪での取り組みが必要との考えに基づき、組織間の業務/プロセスの効率化、さらには企業を横断したリソースの最適化により、ビジネスモデルの変革をサポートし顧客の企業競争力の向上に貢献する。製造業向けでは、設計から生産までのエンジニアリングチェーンにおける連携プロセスに着目し、PLMをベースにプロセスやデータをつなげることでDXを推進している。

 トランスコスモスと応用技術はこれまで、「技術力」「提案力」「運用力」というそれぞれの強みを融合して、建設業界向けにオートデスク製品を活用したシステム開発からコンサルティング、ソリューション販売までを協業して行うワンストップサービス「toBIM」を展開し一定の成果を収めてきた。これによって得たノウハウや知見を基に、製造業向けに展開する新たなデジタルマニュファクチャリング(DMG)サービスが「toDMG」である。このtoDMGにより、ジェネレーティブデザインやAM(アディティブマニュファクチャリング)をはじめとする最新技術とBPOによるリソースの最適化などを組み合わせることで国内製造業の課題解決をサポートする構えだ。

「toDMG」のサービスコンセプト 「toDMG」のサービスコンセプト[クリックで拡大] 提供:応用技術

「不完全な新しいもの」よりも「不完全な昔」を選んでしまう

 それでは、このtoDMGは国内製造業にどのようなインパクトをもたらすのだろうか。オートデスク アカウント営業本部 アカウントセールスディレクターの辻野浩司氏、応用技術 常務取締役の小西貴裕氏と同社 事業戦略本部の梅西正訓氏、トランスコスモス 執行役員の廣野琢馬氏に話を聞いた。

―― 国内製造業のデジタル化の課題をどのように捉えていますか。

廣野氏 国内の製造業はこれまで、デジタル技術が発展する前の段階で大きな成功を収めてきました。その成功体験が強すぎるために、デジタル化を含めた新しい方策に対する強い抵抗感を感じます。もちろん新しい技術を導入したところで、それが絶対に成功する保障はありませんが、それゆえ現状は「不完全な新しいもの」よりも「不完全な昔」を選ぶ傾向が強いです。一方で、経営層などは今のままではいけないと気付いてはいますが、現場との意識にギャップがあるケースも多々あり、本質的なデジタル化が進んでいないように感じられます。

小西氏 製造業のみならず建設業も含めて感じることなのですが、設計領域のようないわゆるデスクワークはインターネットとの親和性があり、それゆえ速いペースでデジタル化が進展してきました。その結果、施工現場や製造現場と設計者の間でのITスキル格差、知識格差が広がっていると感じます。最先端のテクノロジーを導入しても、現場の方々が使えなければ意味がありません。また、現場によってはクラウドの活用などに抵抗がある場合もあります。そのような「やりたくてもやれない」という状況を避けるために、使い手側のユーザーエクスペリエンスに寄り添った仕組み作り、サポート体制に移行していかなければならないと思います。

辻野氏 これまで日本のモノづくりの現場では、2次元の図面から3次元の形状を正確に作り上げるという熟練工の器用さがあり、それが世界に対する優位性の源泉となっていました。しかし、現在では世界的に3次元設計データの活用が進み、日本の優位性が消えつつあります。加えて高齢化の影響もあって熟練技術者のリタイアも進んでいます。日本に残されている時間的な猶予はありません。一刻も早く熟練技術者の経験値をデジタル化し、若い方々に技術継承をしてどんどんチャンスを与える。これを思い切ってやれるかどうかにかかっていると考えます。

―― 他のCADベンダーと比べたオートデスクのソリューションの特徴を教えてください。

辻野氏 オートデスクは現在、製造業向けに積極的なM&Aを通じて新しいソリューションを加えています。単体のソフトウェアをばらばらに提供するのではなく、3Dモデリング、CAD、CAM、CAE、PCBソフトウェアが統合されたクラウドプラットフォーム「Fusion 360」をお客さまに提供しております。

 同業他社と比べて、先行してサブスクリプションモデルへの移行を実現しており、お客さまにとって初期導入コストが抑えられるメリットがあります。さらには、従来のサブスクリプションに加えて、「Autodesk Flex」や「Token Flex Enterprise」という、製品を利用した分だけ利用料金が発生するプログラムも提供しています。

オートデスクのデジタルマニュファクチャリング(DMG)ソリューション オートデスクのデジタルマニュファクチャリング(DMG)ソリューション[クリックで拡大] 提供:応用技術

ジェネレーティブデザインとAMを活用した軽量化の事例

―― 製造業がデジタル化に取り組むに当たり、どのようなソリューションや人材的な支援が可能ですか。

小西氏 製造業のエンジニアリングチェーンは設計から保守/保全まで非常に幅広く、加えてそれぞれの専門領域に特化したソフトウェアがさまざまな会社から提供されています。その中から自社の課題を解決できるものをお客さま自身が選ばなければならず、非常に複雑化している状況です。それに対してわれわれのtoDMGサービスは、製品企画から解析、生産設計、実際の物の製造、品質確認、計測、データの蓄積を行うPLMまで、それぞれの専門分野の技術者が担当しているため、お客さまの課題に対して一番必要な人材、技術者を提供できます。

製造業の課題を解決する「toDMG」 製造業の課題を解決する「toDMG」[クリックで拡大] 提供:トランスコスモス

廣野氏 デジタル技術の導入に当たっては、現状の理解も必要です。例えば、幾つかの現場で作業が重複している、分析に使う情報がすぐに取り出せないなど、現在の業務の中で当たり前と思っていたことが、よく見ると実は大きな課題であるということは往々にしてあります。それらの現状をちゃんと理解するとともに、理想の姿をお客さまと共有し、テクノロジーを使って両者をつなげる取り組みをきちんと行っていければ、お客さまにとって非常に良いソリューションの提供になると思います。

―― toDMGの導入事例についてお聞かせください。

廣野氏 某社では、独自開発の新材料で設計した製品を自動車メーカーに供給するために、ジェネレーティブデザインを活用した軽量化に取り組まれました。剛性などの必須要件を満たすようトライアルを重ね、実際に製品をデジタルマニュファクチャリングで作るまでに至りました。われわれは、この2、3年ほどジェネレーティブデザインやAMによるモノづくりに取り組んでおり、その中で顕在化した課題と向き合ってきました。こちらの会社の事例においても、これまでに積み上げた知見を課題解決に生かすことができました。

梅西氏 この他にも、沖縄県の大型宿泊施設や観光施設などで実用されているEV(電気自動車)の航続距離を伸ばすため、部品の軽量化にtoDMGサービスを活用した、ものづくりネットワーク沖縄様の事例があります。企画の初期段階から課題を理解することでお客さまの真の価値を創出し、AMに最適なパーツ選定、設計最適化、製造、品質までのトータルプロセスを支援しました。具体的には、フロントバンパーブラケットの設計について、Fusion 360のジェネレーティブデザイン機能を用いて最適化し、剛性を保ちながらも軽量化を実現した部品の製作にまで至りました。さらに、ものづくりネットワーク沖縄様の技術を活用できるように、切削加工を前提としたジェネレーティブデザインによる最適化にも取り組みました。今後もEVのさらなる軽量化を目指し、toDMGで他の部品の最適化を継続していく予定です。

「toDMG」によって設計/製作されたフロントバンパーブラケット 「toDMG」によって設計/製作されたフロントバンパーブラケット。AMだけでなく切削加工による製作も行っている[クリックで拡大] 提供:応用技術

「toDMG」で製造業にデジタル変革をもたらす

―― 今後のビジネス展開についてお聞かせください

廣野氏 オートデスク、応用技術、トランスコスモスというそれぞれ役割の異なる3社が協業してtoDMGというサービスをご提供する中で、われわれは現場の業務を理解しながら、新しいテクノロジーを使って生み出されたアウトプットがいいものかを判断する、あるいはいいアウトプットができるようツールを適切に導入するという部分をしっかりと担っていきたいです。この3社の協業により、デジタル化を含めたいろいろな変革を製造業にもたらしていけると確信しています。

小西氏 オートデスクのソリューションをお客さまにご活用いただくためには、ソフトウェアをお渡しするだけではやはり事はうまく進みません。その部分をサポートするのが、ITベンダーとしての私達の大切な役割です。それに加えて、コスト削減のための自動化に寄与するツール、また技術伝承をサポートするツールも非常に重要と位置付けており、それらもセットでご提供していく必要があると考えています。オリジナルのITソリューション開発とともに、オートデスクの製品価値をさらに高めていく取り組みを今後のビジネスの中で実施していく予定です。

辻野氏 製造業の設計プロセスから製造までを網羅したワンストップテクノロジーを提供していくという方針は変わりませんが、それをどれだけFusionプラットフォームに乗せていけるかということが今後の課題です。テクノロジープロバイダーの立場から、どれだけ実務で使っていただけるようなところまで実装に落とし込めるかという活動を、応用技術、トランスコスモスと一緒に進めていきたいです。

上段左から、トランスコスモスの廣野琢馬氏、応用技術の小西貴裕氏、下段左からオートデスクの辻野浩司氏、応用技術の梅西正訓氏 上段左から、トランスコスモスの廣野琢馬氏、応用技術の小西貴裕氏、下段左からオートデスクの辻野浩司氏、応用技術の梅西正訓氏[クリックで拡大]

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提供:オートデスク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年12月23日

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