「Creo」のジェネレーティブデザイン/リアルタイム解析をより快適に使うには最新ワークステーションで徹底検証

多くの設計現場で活用されているPTCの3次元設計ソリューション「Creo」。今回、デル・テクノロジーズのワークステーション製品「Dell Precisionシリーズ」を用いて、Creoの先進機能である「Generative Topology Optimization」と「Creo Simulation Live」のパフォーマンスを検証した。その結果をレポートする。

» 2022年10月26日 10時00分 公開
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 現在、日本の製造業はグローバル対応や技術伝承など、多方面に課題を抱えている。さらには、かつてのように安くて品質の良いものを作っただけではモノが売れず、多様化する消費者ニーズにもスピーディーに応えていかなければならない。こうした難しさに直面する今、現状を打開する“これまでにない新たな解決策”が強く求められている。

 そこで生まれたのが、デジタル技術を活用して既存の壁を越えようというデジタルトランスフォーメーション(DX)の根本となる考え方であり、設計現場で生み出された3Dデータを、設計のみならずさまざまな業務プロセスにも活用しようとする動きが目立ち始めている。

デジタルとフィジカルの融合で製品開発の現場を支援するPTC

 こうした3Dデータの活用による業務変革、DXの実現に向けて、豊富なソリューションを提供し、顧客ビジネスの成功、イノベーション創出を支援しているのがPTCだ。業界を代表する3次元設計ソリューション「Creo」とPLM(製品ライフサイクル管理)ソリューション「Windchill」に加え、インダストリアルIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「ThingWorx」やエンタープライズAR(拡張現実)プラットフォーム「Vuforia」の提供により、フィジカルとデジタルの融合をもたらし、設計、製造、運用、サービスに至るエンジニアリングチェーンの変革、新たな価値創出へとつなげている。

 その中において、多くの設計現場で活用され、製造業DXの源泉ともいえる3Dデータを作り出す3次元設計ソリューションのCreoの進化も止まらない。それを象徴するのが「Generative Topology Optimization」(GTO)と「Creo Simulation Live」(CSL)だ。

 GTOは、荷重や制約条件、優先使用材料、加工方法といった要件に基づき、AI(人工知能)が最適な設計案を自律的に生成するジェネレーティブデザインを実現する機能だ。Creoに完全統合されているため、ベースとなる3Dモデルのサイズなどを変更した場合には自動的に再計算が行われ、動的に最適形状に反映される。AIが最適形状を導き出すため、従来設計者が思い付かなかったような形状や、人間の想像を超えたデザインの提案などが期待できる。

 一方、CSLはPTCとAnsysのパートナーシップによって実現したリアルタイムシミュレーションだ。Creoで設計した形状を、そのままCreo上でシームレスに解析することが可能で、瞬時に結果が得られる。構造解析、熱解析、流体解析に対応し、解析の実行中でもフィーチャの作成や編集を簡単に行え、ユーザーがジオメトリに加えた修正を踏まえた解析結果を動的に更新する。これにより、解析結果をリアルタイムに設計にフィードバックしながら品質や性能を高めていくことができる。

 これら2つはまさに、難しさの増す現代のモノづくりにおいて、現状を打開する“これまでにない新たな解決策”をもたらすもので、従来の設計開発の在り方を大きく変革する可能性を秘めている。

ジェネレーティブデザイン/リアルタイム解析にはGPUの性能が重要

 では、設計業務に変革をもたらすGTOとCSLを快適に利用するには、どのような環境を用意すればよいのだろうか。

PTCジャパン ビジネスディベロップメントマネージャーの古賀奨氏 PTCジャパン ビジネスディベロップメントマネージャーの古賀奨氏

 そのポイントについて、PTCジャパン ビジネスディベロップメントマネージャーの古賀奨氏は「3D CADで3次元形状を設計する場合とは異なり、CPUよりもGPUの性能が重要となってきます。そのため、これらの新しいテクノロジーを設計プロセスの中で活用しようとするならば、GPU性能も意識してハードウェア環境を選定すべきでしょう」と述べる。

 実際、GTOとCSLに求められるGPU要件として、PTCではNVIDIA CUDAのグラフィックスカード(VRAM容量:最低4GB以上/推奨8GB以上)を搭載したハードウェア環境を推奨している。

「Dell Precisionワークステーション」を用いてベンチマークテストを実施

 具体的に、使用するワークステーション環境によって、どの程度パフォーマンスに違いが出てくるのだろうか。今回は、デル・テクノロジーズのワークステーション「Dell Precisionシリーズ」(モバイル/タワー)環境を用い、GTOおよびCSLについて、それぞれベンチマークテストを実施した。

 使用した機材は以下の通りだ。モバイルワークステーションは5機種で比較。そのうちの1台は、参考(4世代前モデル)として2018年発売の「Dell Precision 7530」を用いた。タワーワークステーションは、最新の「Dell Precision 3660」を用い、複数のグラフィックスカードを差し替えてそれぞれ評価を行った。

【モバイル】
Dell Precision 5770(17インチ)
  NVIDIA RTX A3000(VRAM:12GB、CUDA:4096コア)
Dell Precision 5570(15.6インチ)
  NVIDIA RTX A2000(VRAM:8GB、CUDA:2560コア)
Dell Precision 3571(15.6インチ)
  NVIDIA RTX A1000(VRAM:4GB、CUDA:2048コア)
Dell Precision 3570(15.6インチ)
  NVIDIA T550(VRAM:4GB、CUDA:2048コア)
<4世代前モデル>
Dell Precision 7530(15.6インチ)
  NVIDIA Quadro P2000(VRAM:4GB、CUDA:768コア)

【タワー】
Dell Precision 3660 タワー
  NVIDIA RTX A6000(VRAM:48GB、CUDA:10752コア)
  NVIDIA RTX A4500(VRAM:20GB、CUDA:7168コア)
  NVIDIA RTX A2000(VRAM:12GB、CUDA:3328コア)
  NVIDIA RTX A2000(VRAM:6GB、CUDA:3328コア)

「Generative Topology Optimization」(GTO)の検証結果

 まずは、Dell PrecisionモバイルワークステーションにおけるGTOの検証結果を紹介する。今回の検証では、全てのマシンで最適化の詳細度を「4」にして実行。題材はデモンストレーションで用いられる一般的な単一部品の形状データで、それぞれの環境で最適化計算終了までの時間を計測して比較した。

「Generative Topology Optimization」の検証結果について 「Generative Topology Optimization」の検証結果について[クリックで拡大]

 結果は「Dell Precision 5770」が63.3秒、「Dell Precision 5570」が88.7秒、「Dell Precision 3571」が99.0秒、「Dell Precision 3570」が119.0秒となり、4世代前モデルのDell Precision 7530の場合は161.0秒を要した。この結果が示す通り、GTOにおいては、CUDAコア数が多いGPUほど処理スピードが速いことが分かる。また、CUDAコア数、VRAM容量が同じDell Precision 3571とDell Precision 3570との差、そして、4世代前モデルのDell Precision 7530の結果から、最新GPUであるNVIDIA RTXシリーズの方がGTOをより快適に利用できることが分かる。特に、旧世代Quadro GPUとの性能差は大きい。

 この傾向は、グラフィックスカードを差し替えて実施した「Dell Precision 3660 タワー」を用いたベンチマークでも同様で、RTX A6000(VRAM:48GB、CUDA:10752コア)が33.0秒、RTX A4500(VRAM:20GB、CUDA:7168コア)が43.0秒、RTX A2000(VRAM:12GB、CUDA:3328コア)が61.7秒、RTX A2000(VRAM:6GB、CUDA:3328コア)が61.3秒という結果になった。

PTCジャパン 製品技術事業部 スマート・インダストリー技術本部 シニアソリューションコンサルタントの端山雅彦氏 PTCジャパン 製品技術事業部 スマート・インダストリー技術本部 シニアソリューションコンサルタントの端山雅彦氏

 PTCジャパン 製品技術事業部 スマート・インダストリー技術本部 シニアソリューションコンサルタントの端山雅彦氏は「今回のようにシンプルな形状の単一部品ではなく、より複雑で大規模なアセンブリを対象にGTOを実施する場合には、CUDAコア数の差がより一層明確に表れてくるでしょう。最新GPU、それもCUDAコア数の多いワークステーション環境を選択することで、作業効率が大幅に向上するはずです」と述べる。

「Creo Simulation Live」(CSL)の検証結果

 続いて、CSLの検証結果だ。CSLの場合、搭載するVRAM容量に応じて解析可能な精度の範囲が異なるため、今回はグラフィックスボードごとに解析結果がほぼ同じになる精度設定を割り出し、条件を可能な範囲で一致させた上で解析計算実行時間を計測して比較した。

「Creo Simulation Live」の検証結果について 「Creo Simulation Live」の検証結果について[クリックで拡大]

 まず、Dell Precisionモバイルワークステーションについては、Dell Precision 5770が13.0秒、Dell Precision 5570が16.4秒、Dell Precision 3571が18.5秒、Dell Precision 3570が25.7秒となり、4世代前モデルのDell Precision 7530は26.7秒を要した。ご覧の通り、CSLに関してもGPUのCUDAコア数の多いGPUほど処理スピードが速いことが分かる。

 さらに、Dell Precision 3660 タワーを用いたベンチマークでも同じ傾向が見られ、RTX A6000(VRAM:48GB、CUDA:10752コア)が9.3秒、RTX A4500(VRAM:20GB、CUDA:7168コア)が9.7秒、RTX A2000(VRAM:12GB、CUDA:3328コア)が11.6秒、RTX A2000(VRAM:6GB、CUDA:3328コア)が12.3秒という結果になった。なお、今回の題材では、RTX A6000とRTX A4500の差はほとんど見られなかったが、薄肉形状を含む難易度の高い解析であれば、その差がもう少し顕著に表れた可能性がある。

 この結果について、端山氏は「それぞれの差としては非常にわずかだと思われるかもしれませんが、設計品質や性能を追求していく中で、解析を繰り返し何度も行うことを考えると、このわずかな積み重ねがとても大きな差につながっていくはずです」とコメントする。

 以上の検証結果から、今回用いたDell Precisionワークステーションであれば、GTOもCSLも十分快適に利用できることが分かった。中でも、Dell Precision 3660 タワーはCPUに第12世代インテルCoreプロセッサ(Alder Lake)を採用し、グラフィックスもRTX A6000まで搭載できるなど、小型タワーワークステーションながらも非常に高いパフォーマンスを発揮できるのが特長だ。また、最新のDell Precisionモバイルワークステーションに関しても可搬性に優れながら、GTOやCSLも快適に操作できるため、リモートワーク/ハイブリッドワークでもストレスなく使用できる。

タワーワークステーションの最新モデル「Dell Precision 3660 タワー」。コンパクトな筐体ながらもNVIDIA RTX A2000からRTX A6000まで幅広く搭載できる タワーワークステーションの最新モデル「Dell Precision 3660 タワー」。コンパクトな筐体ながらもNVIDIA RTX A2000からRTX A6000まで幅広く搭載できる[クリックで拡大]

 古賀氏も「Dell Precisionワークステーションは、PTC社内でも多くのエンジニアが活用しています。私自身も長く愛用していますが、これまで大きなトラブルに遭ったこともなく、設計環境として安心して利用できると感じています。Creoを活用している現場、GTOやCSLの使用を検討している設計者の皆さんに自信をもってオススメできます」と太鼓判を押す。

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提供:デル・テクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年11月30日