耐空証明のプロセスを効率化するデジタル・ツールとは?統合型プログラム・プラニング

航空宇宙関連企業にとって航空機の安全性確保は最重要課題の1つである。その一方で、耐空証明の複雑化や関連する法規制の増加は、これらの企業の費用負担額を増やし続け、悩みの種となっている。耐空証明のプロセスを効率化するには、他部門の技術資料や部品表などの膨大なデータに迅速にアクセスできる中央集中型の環境が必須だ。こうした課題を解決する上で、統合型のデジタル・プログラム管理システムは非常に有用である。

» 2022年06月27日 10時00分 公開
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 耐空証明がますます複雑化し、法規制も増えてきている現在、デジタル・プログラム管理戦略は不可欠なものになっています。企業には容易で低コストでありながら確実なプロセスが必要であり、それには適切なツールを探さなくてはなりません。

 まず、統合型のデジタル・プログラム管理システムを使うことには、どんな意味があるのでしょうか。デジタル・プログラム管理はどのように耐空証明をサポートし、電動航空機や自動操縦機を含む認証の未来を変えるのでしょうか。

統合型のデジタル・プログラム管理とは

 統合型のデジタル・プログラム管理手法を導入すると、開発から市場投入までのあらゆるフェーズにおけるコンプライアンス関連の生成物に素早くアクセスすることができます。製造工程も終わろうとする段階で、無数の文書や採用済みの設計などのデータをかき集めるのは気の遠くなるような作業です。統合型のデジタル・プログラム管理システムがあれば、耐空証明は他から分離されたプロセスではなく、プロセス全体の流れの中に位置付けられたものとなります。

 航空宇宙関連企業が認証のためにかける費用は年々増え続け、いまや開発費と同じか、それを上回るほどになっています。開発・製造プログラムのコストの半分近くが安全性と信頼性の検証に占められているとすれば、企業はコストを削減して競争力を維持するために、包括的・統合的なデジタル・プログラム管理システムを持つ必要があります。紙の書類がデスクまわりに置かれたファイルに納まっていて、しかもそれらが社内の他の部署にもサプライヤーにも分散しているという状態では、コストの削減は望めません。

 全てが計画通りに進んだとしても十分に難しいことですが、エンジニアリングでも製造でも、それ以外のどの段階でも問題は起こり得るものであり、安全性への影響を最小限にとどめることは可能です。安全上の理由による離陸見合わせのおそれはないか。企業と調査官には頭の痛い難題ですが、認証プロセスのデジタル・スレッドがあればプロセスをさかのぼって要件の適合状況を確かめることができます。デジタル・スレッドでは問題のある部品を誰が作ったか、また、解析と承認が適切に行われたかどうかが容易に分かります。認証データはいつでも自在にアクセスできます。

 さらに、メーカーは長期的な運用の可能性をも、統合型のデジタル・プログラム管理システムを通して検討でき、航空機を長く飛ばし続けるための方法を知ることができます。メーカーであれ、所有者/運航会社であれ、航空機の維持管理者は、たとえサプライチェーンに変化が起きても機体を何十年も維持できる現実的な方法を知っておかなければならないのです。

デジタライゼーションと文書管理

 ファイルを検索し、エンジニアや設計者に照会しながら技術文書をそろえていては、膨大な時間がかかってコストがかさみ、製品のリリースや修正した部品のメンテナンスに遅れが生じます。統合型のデジタル管理を行えば、検索やトレーサビリティーの対象を耐空性関連の部署だけに限定することが可能になります。技術資料、部品表、メンテナンス指示書の他、定期点検や大掛かりな修理に出された全製品の情報も、常に最新の状態に保つことができます。

 航空機メーカーや整備業者は本来のハードウェアや標準部品が入手しにくくなった場合、代替品を使用することがあります。事情に詳しいメーカーは代替として使える部品のリストを作るものです。しかし、それを整備用文書や部品カタログで正しく告知しておかないと、現場に混乱を招きかねません。整備士はもっと手軽に手に入る代替品があるとは知らずに、同一の交換用部品を探し回るかもしれないのです。規格は変化し、入手のしやすさは変動するので、代替品でも品質はオリジナルと同じか、時にはそれ以上である可能性があります。そうした情報を得られることは大切であり、ダウンタイムの短縮、安全性の確保、総所有コストの低減につながります。

 認証にはさまざまな種類のデータが必要です。当初の製造企画書、仕様書、図面、材料表、標準ハードウェアなどのデータを追跡可能にしておくことは不可欠です。修理や整備に用いる部品は元の設計に含まれていない場合があるからです。どんな非純正部品を使うかによって、その先に使える部品には無数のバリエーションが生まれます。統合型のデジタル管理を行えば、最新の反復作業や変更の結果をいつでも確認できるので、何十年もの間に担当チームが入れ替わっても、間違いなく現在の部品に合った部品を選ぶことができます。

 アフターサービスにも巨額のコストがかかります。所有者/運航会社には保守整備を支援するサプライチェーンがありますが、もしサプライヤーが廃業し、交換用の部品の製造を止めたらどうなるのでしょうか? どうやって仕様書を入手し、手持ちの部品は再使用できるのでしょうか。

 企業や軍の補給処が数千ドル、時には数百万ドルをかけて修理用部品を調達したものの、結局使えなかったという例は少なくありません。あらためてリバース・エンジニアリングに費用を投じ、その間ずっと、航空機は運航不能のままになるのです。また、予想耐用年数を超えて飛び続けている機体の場合、一部の構造部品は互換性のない設計であったり、そもそも交換を想定していなかったりします。

 ですから万全の備えが必要なのです。OEMや運航会社は時を経て変わります。あらゆる情報と知識をすぐ手の届くところに保管して活用できるシステムがあってこそ、大切な資産はいつでも空へ飛び立てるのです。

耐空証明をサポートする

 耐空証明をスムーズに行うための一歩は、統合型プログラム・プラニング(IPP)の導入です。航空機メーカーはそれによって要件を形にすることができ、無数の作業分解図(WBS)を定義、計画、スケジューリングできるようになります。

 IPPは作業分解図の整理・編成を助けるものです。例えば翼を設計するとき、設計と構築はどういうプロセスで行うのか。どのような要件があるのか。どんな試験が必要で、実施済みの試験はどれか。IPPでリンクをたどれば顧客の仕様書、耐空証明を管轄する当局の仕様書を確認できます。試験とシミュレーション、製造、検査、ユーザビリティ、文書管理、保守整備に至るまで、製品ライフサイクル全体の関係者がステップを1つ1つチェックしていき、要件を確実に満たすことができます。

 このような企画レベルでの統合的なデジタライゼーションは全ての業務を結び付け、縦割りを解消し、情報検索の必要性を少なくするので、業務環境は真に包括的なものとなり、耐空性の証明にも適したものになるのです。

まとめ

 統合型のデジタル・プログラム管理はツールでもあり、プロセスでもあります。世界最高のツールがあっても、適用のルールとプロセスが不適切であれば成果は出せません。メーカーは航空機の設計と構築にデジタル・ツールを使用しますが、それは単に耐空証明用のソフトウェアを使うというだけの意味ではないのです。

 統合型のデジタル・プログラム管理は小型機や中型機の需要の復活を後押しすることにもなるでしょう。今、電動航空機の開発が新たに注目を集めています。設計者は排ガスを減らし、航続距離を延長し、バッテリーの出力密度を向上させ、運用コストの大幅削減を図るなどして、電動航空機の限界を次第に克服しようとしています。

 シーメンスは「eAircraft」エンジン・ファミリーの開発を世界に先駆けて進めています。この新しいタイプの航空機は航空機市場を一変させ、航空宇宙業界全体に革新をもたらす可能性を秘めていますが、それには、メーカーは統合されたプログラム管理の利点をこれまで以上に活用して認証プログラムに取り組まなくてはなりません。その種の新型機の認証ルールはまさに策定が進められていて、規制当局との緊密な連携が必要になると思われるからです。

 メーカーが新タイプの航空機について全要件を満たせたことを立証するには、包括的な優れたツールが欠かせません。統合型のデジタル・プログラム管理こそが、航空機業界の将来の成功の鍵といえます。

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提供:シーメンス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年7月26日