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» 2022年02月17日 10時00分 公開

なぜあなたの会社はデータをビジネスに生かせないのか、製造業DXを進めるカギとは製造業DX

デジタルデータの活用によってビジネスの在り方を変えるDXが製造業でも広がりを見せている。しかし、一方であまり成果が得られずに悩む企業が存在する。製造業DXをうまく進めるポイントには何があるのだろうか。これらの悩みの解消に向け、AIソリューションを展開するブレインズテクノロジーでは「なぜあなたの会社はデータをビジネスに生かせないのか」をテーマにセミナーを開催した。本稿ではその内容をお伝えする。

[PR/MONOist]
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 データを基軸としビジネスの在り様を変化させるDX(デジタルトランスフォーメーション)があらゆる産業で進み始めている。製造業を含め多くの企業が取り組みを進めているが、取り組んだもののうまくいかずに取り組みあぐねている企業も数多く存在するのが現実だ。それでは、取り組みをうまく進めている企業とそうではない企業にはどのような差があるのだろうか――。

 こうした疑問を解消すべく、産業向けAIソリューションを展開するブレインズテクノロジーでは2022年1月25日、オンラインセミナー「産業DXセミナー なぜあなたの会社はデータをビジネスに生かせないのか」を開催。さまざまな領域でデータ活用を推進する大阪ガスの事例講演を中心に、産業DXを推進するポイントについて紹介した。

6割の企業が「つながる工場」に取り組んでも約半分が成果得られず

 セミナーでは冒頭にMONOist 編集長の三島一孝が「なぜ製造業のDXがうまくいかないのか、ブレークスルーとなる起点とは」をテーマに製造業DXの現状と、失敗の典型例や成功している企業の例などを紹介。MONOistを含む製造業メディアで行った読者調査の結果から、回答者全体の60.1%を占めた「つながる工場」に取り組む企業の内、「期待していた価値が十分に得られている」と回答した企業が52.9%であったことに言及し「IoTやデータ活用が確実に成果を生み出すにはクリアしなければならない障壁が幾つかあると感じます」と語った。

photo MONOist 編集長の三島一孝

 こうした成果が得られない企業が苦しむ典型的なポイントとして「データの取得や前準備で疲弊してしまう」「部分最適はできても全体最適につながらない」「経営陣や現場など他部門を巻き込む難しさ」の3点を挙げた。一方でこれらの課題を成功企業が乗り越えたポイントとして「全体ビジョンやアーキテクチャで共通認識を作る」「小さな形でも現場で成果を示す」「オープン化と標準化、他業種も含めた成熟した安い技術の活用」の3つを示した。

photo 「つながる工場」への取り組み進捗度(左)と期待する効果を得られている比率(右)[クリックで拡大] 出所:MONOist

データ活用を推進する大阪ガス、“分析屋”から“コンサルタント”へ

 これらの動向を踏まえた上で実際の取り組み事例として、大阪ガス ビジネスアナリシスセンター リードアーキテクト 國政秀太郎氏が「大阪ガスが実践するデータ分析基盤と専任組織の構築と運営」をテーマに講演。データ活用をさまざまな領域で進めている大阪ガスが、自社でのリアルな取り組みを、苦労や成功のステップなどを踏まえて紹介した。

photo 大阪ガス ビジネスアナリシスセンター リードアーキテクト 國政秀太郎氏

 現在、大阪ガスは情報システム部門内にデータ分析の専門組織「ビジネスアナリシスセンター(BAC)」を用意している。10人程度のチームでデータ分析プロジェクトに取り組んでおり、年間20〜30プロジェクトを担当している。分析対象も、LNG(液化天然ガス)上流分析、基地整備の運用効率化、ガスのパイプラインの保安効率化、マーケティングなど多岐にわたっている。

 ただ、こうした取り組みが最初から実を結んだわけではない。今でこそBACとして社内でビジネスインパクトを出せるチームとなっているが、もともとは研究所のR&Dを担う部隊であり、気象シミュレーションなどの数理解析をメインに行っていた。その後、2006年に本社の情報通信部内に「分析ソリューションチーム」という名前で分析チームを置くことになり、これがBACの前身となる。ただ、当時は周囲からは“分析屋”というイメージで見られており、社内のプレゼン資料のためだけに使うグラフ集計を依頼されるなど、データが絡む“便利屋”で終わることも多かったという。

 こうした状況から脱するために名称も一新し、データ分析を行うだけの“分析屋”ではなく、データで社内の課題を解決する“社内コンサルタント”として意識を改めた。この軌道修正について國政氏は「真の課題が何かをメンバー自身がしっかりと調べるようになりました」と述べる。

 例えばB2Cの給湯器メンテナンス業務を効率化するための故障予測依頼があった場合、それまではメンバーが機械学習を使って分析し結果をフィードバックしていたが、「彼らがこの予測をしたいと依頼してきた真の課題とは何か」と考え、現場に通いヒアリングを行った。その結果、故障予測自体が目的ではなく即日修理完了率という社内のKPI向上が目的だったことが判明した。そのためコールセンターで故障の電話を受けた時点で簡単な分析を行い、必要と思われる部品を5、6個ピックアップして現場に連携する体制を整えた。「分析チームのメンバーと現場のすれ違いが起こってプロジェクトがうまくいかないというケースは数多くあります。受け身の分析屋ではなくて能動的なコンサルタントであるべきです」と國政氏は述べた。

photo 大阪ガスのデータ活用への取り組みのポイント[クリックで拡大] 提供:大阪ガス

 現在のBACは事業部のデータリテラシーの向上に注力する一方で、チームのデータ分析プロジェクトの幅を広げている。最近ではクラウドの技術やMLOpsなどを使った技術的に高度な案件にもマンパワーを割いている。そこで大阪ガスが活用しているのが、ブレインズテクノロジーが提供する異常検知ソリューション「Impulse(インパルス)」だ。Impulseはデータの特性に併せてアルゴリズムを適用させることができるため、設備ごとに開発が必要な作業がスピーディーに実装可能になる。「データやAIの活用を便利に行うツールは充実が進んでいます。ツール化されているものについては、積極的に活用しながら、データによる課題解決を広げていきたいと考えています」と國政氏は展望を語っている。

photo 今後のデータ活用の方向性[クリックで拡大] 提供:大阪ガス

AIを手段として使いこなすMLOpsの考え方

 続けて、これらのユーザー側の動向を踏まえつつ、AIを含むデータ活用をどのような形で進めていくべきかという観点でブレインズテクノロジー 取締役 CPO/プロダクトマネジメント部 部長の榎並利晃氏が「AIを目的ではなく手段にするためのMLOpsのススメ」をテーマに、「MLOps(Machine Learning Operations)」の考え方について紹介した。

photo ブレインズテクノロジー 取締役 CPO/プロダクトマネジメント部 部長の榎並利晃氏

 MLOpsは開発と運用を一体化したDevOpsの考え方を機械学習に転用したもので、運用をベースにアプリケーションの構築やテスト、展開を自動化して実施していく仕組み作りや組織作りなどを示している。榎並氏は「AIは一つの手段でしかありませんが、そのような中で基盤の中からデータを活用し運用に結び付け、組織も含めて体制を作っていくことが重要なポイントになってきています」とMLOpsの重要性について説明。AI活用は技術だけの問題ではなく、機械学習のライフサイクルを実行するシステムと運用する組織作りの両面が重要であることを強調した。

photo 機械学習のライフサイクル[クリックで拡大] 出所:IDC Japan, October 2021

 ブレインズテクノロジーでは、以前からAIソリューションの展開においてMLOpsに基づいた設計発想を持ち、特定の業界にフォーカスした実用的なMLOps一連のプロセスを提供。その1つが、異常検知ソリューションの「Impulse」だ。Impulseは、予兆検知、品質管理の場面で活用できるソフトウェアである。コンテナ型仮想化技術を活用できるため、学習と推論を同じサーバ上に動かし入れて使うことも可能だ。学習はクラウドで、推論はエッジ側で展開するなど、柔軟なアーキテクチャが組めるのが特徴だ。

photo Impulseの概要[クリックで拡大] 提供:ブレインズテクノロジー

 Impulseに接続された動画、静止画、音声、センサー、テキストなどの各種データは、データの特性に応じてさまざまな特徴量に変換され、アルゴリズムが自動選択される。これらは異常検知モデル構築装置、異常検知モデル構築方法およびプログラムとして特許化されている。また、モデルをチューニングにする上でデータや精度情報から適切なチューニング方法をAIが推薦し改善を促したり、学習履歴を活用することで「学習の仕方を学習」し高速に高精度なモデル管理や展開を実現したりと、本番環境でモデル運用するまでのプロセスをカバーしている。

 これらのAIモデルの構築の大部分をImpulseが担ってくれるため、現場の負荷が小さく導入できる。製造業においても普段の業務の中で利用できるようなアプリケーションを提供。例えば、時系列のデータの中からの「異常検知」、異常状態になった「要因分析」、静止画や動画から異常を発見する「外観検査」、作業工程の動画データを利用して作業者のタクトタイムを自動計算したり異常動作を検知したりする「作業分析」などを用意している。Impulseは大阪ガスのBACや組織横断でDXを推進するチームでも用いられており「データからAIのモデルを作ることが目的ではなく、MLOpsを活用して実際のオペレーションに生かせる点が重要です。その部分をより簡単に行える点が価値だと考えています」と榎並氏は語った。

photo Impulseの適用領域[クリックで拡大] 提供:ブレインズテクノロジー

 一方で、オペレーションにまで踏み込むとなるとソフトウェアだけでは難しい部分がある。その点についても、ブレインズテクノロジーでは顧客のアイデア段階から最終的な運用展開までをサポートする「伴走型の支援」を提供する。「伴走型支援を行う組織としてプロフェッショナルサービスというチームがあります。課題の分析から、小さく始めるための方策、可視化の支援、人材トレーニングまでを提供しています」と榎並氏は紹介している。

photo Impulseプロフェッショナルサービス[クリックで拡大] 提供:ブレインズテクノロジー

あえて「データ活用」を前提から外して考える

 セミナーの最後には参加者からの事前質問に答えるQ&Aセッションが行われた。多くの参加者から出た「DX関連システムの導入前後における費用対効果(メリット検証)の考え方」という質問に対しては、國政氏は「実際にPoC(概念実証)などを行う前に、削減できる人件費やコストを分かり易い数字に落とし込む必要があります」と回答した。榎並氏も「コスト試算ができている企業はPoCで終わらずその先に行く印象があります」と考えを述べた。

 また、「費用対効果」について、違った視点で考える必要性なども國政氏は訴える。「『本当にデータ活用が必要なのか、使わない場合どうなるのか』という視点で、プロジェクト自体の見直し自体も視野に入れて柔軟に捉えるという姿勢が必要だと考えます。そうすると絶対に必要なプロジェクトが見え、その価値や効果も見えてきます」(國政氏)。

 続いて「経営層や管理者に当事者意識がなく本気で推進したいと思えない(経営者をどう巻き込むか)」という質問に対しては、國政氏は「とにかく最初は小さな成果を積み重ねるしかないと思います」と回答した。榎並氏も同様の質問が多数寄せられたことに言及し「この点に苦労されているのはよく分かります。ただ、成功企業の共通項として、上位層や現場などにかかわらず、うまくいっている企業には、巻き込み力が強い推進者がいるように感じています。共通理解を広げていくという取り組みが重要だと感じています」と実体験について語った。

 さらに「新入社員、中堅社員、幹部など、層別のDX人材の育成をどうしているか」という質問に対しては、國政氏は大阪ガスで社員のレイヤー別にカリキュラムの内容を変更していることを紹介。さらに、BACでは事業部ごとの業務知識を得るために、当該部署の新人研修などに参加し、とにかく「業務を知る」ということに力を注いでいることを説明した。

リアルな知見から出たキーワード

 人材不足やコロナ禍、グローバル競争の過熱など、製造業にとって既存の業務プロセスでは難しい課題は山積している。こうした課題を乗り越えるために、データ活用を前提としたDXはもはや避けられないものだ。ただ、進めていくためには、技術面だけでなくいくつかの課題を乗り越える必要がある。

 今回のセミナーで生まれた「業務を知る」「コンサルティング」「小さく始めて成果を示す」「データ活用を前提とした組織面での準備」「MLOps」「巻き込み力」などのキーワードは実際に成果を残している大阪ガスやブレインズテクノロジーの知見の中から生まれたものだ。なかなかDXで成果を残しきれない企業にとって、こうしたキーワードは今後の活動を加速するための力強い“推進剤”となってくれることだろう。

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提供:ブレインズテクノロジー株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年3月9日