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» 2021年12月22日 10時00分 公開

求められる供給網のレジリエンス強化、鍵を握るデジタル化をどう進めるかサプライチェーンのレジリエンス

MONOistが2021年11月25〜26日にかけて開催したオンラインセミナー「サプライチェーンの革新〜アフターコロナに対応するサプライチェーンのレジリエンス〜」にKPMGコンサルティング Operations Strategy PARTNERの坂田英寛氏が登壇。同氏はサプライチェーンデジタル化の重要性と、デジタル化に向けた投資判断フレームの刷新を訴えた。

[PR/MONOist]
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 サプライチェーンのリスク対策は製造業にとって重要課題の1つである。最近では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を契機に、こうしたリスクを経営層が強く意識するようになった。COVID-19の影響下では、部材や素材調達の流れが大きく乱れ、また幾つかの工場は一時的に操業停止に陥った。だが、想定外の危機下でも企業はサプライチェーンの適切なリスク管理/対応を行い、事業リスクを可能な限り低減しなければならない。

 この中で製造業各社は現在、サプライチェーンのレジリエンス(復元力)強化に取り組んでいる。ただ、KPMGコンサルティング Operations Strategy PARTNERの坂田英寛氏は、従来型の対策には限界もあると指摘する。本稿では、オンラインセミナー「サプライチェーンの革新〜アフターコロナに対応するサプライチェーンのレジリエンス〜」(2021年11月25〜26日、MONOist主催)における坂田氏の講演をレポートする。

事後対応にとどまっていたレジリエンス体制

 これまで製造業が取り組んできたレジリエンスの強化策は、BCP(事業継続計画)の策定と実装が中心だった。これらの対策は災害など不測の事態に対して迅速に対応し、事業リスクをなるべく低減することを目的とする。マネジメントレベルでは事業継続方針/計画や非常時対応計画の作成、サプライチェーンレベルでは調達先の複線化や部材/素材の代替品選定、生産拠点の分散化などが具体的な施策となる。加えて、多くの企業では、建物の耐震化などインフラレベルでの対策も継続的に進めている。

KPMGコンサルティング Operations Strategy PARTNERの坂田英寛氏

 坂田氏は「従来型のBCP対策は、実際の危機下で効力を発揮することが確認されていますが、リスク発生後の事後的な対応にとどまるところが難点です。リスク予兆の検知にも、万が一リスクが現実化した場合の影響度分析などにも対応できません」と指摘する。これらに加えて、リスク発生時の状況把握や各所への連絡に時間がかかる、最適な対策案を検討する時間が少なく担当者のカンコツへの依存性が高い、対策実行後の効果検証が難しいといった問題もあるという。

 こうした課題を解決するため坂田氏はレジリエンス体制を、リスク発生後の「リアクティブ(事後対応)」な対策を旨とした従来型のものから、「プロアクティブ(積極対応)」なものへ移行すべきだと提案する。

テクノロジーによるリスク予兆検知を実現

 プロアクティブなレジリエンス体制の構築においては、デジタルツールの活用が肝となる。リスク発生前から各所の情報収集を継続的に行い、リスク予兆とサプライチェーンへの影響度を予測し、あらかじめ対応オプションを複数検討しておく。これによって万が一、被害が想定を超えた場合、その影響を最小化する施策を迅速に展開できる。さらに高度なテクノロジーを活用できれば、リスク発生後の対応オプションを複数自動提案させる、あるいは継続的学習により予兆検知の精度を向上させるような「オートノマス(自律化)」なレジリエンス体制の構築も可能になるだろう。

リアクティブからプロアクティブなレジリエンス体制に[クリックして拡大]

 坂田氏はサプライチェーンデジタル化のメリットについて、「人間では対応し切れない細かなリスクにも、テクノロジーの力を使えば効率よく対応できます。人間は単純なデータ収集作業ではなく、対応策の検討や判断など、より重大で注力すべき業務に集中できるようになるのです」と語った。

 またこれに関連する概念として、坂田氏はCPS(サイバーフィジカルシステム)についても言及した。CPSはIoT(モノのインターネット)センサーなどを通じて収集した現実世界の情報をサイバー空間上で再現し、将来予測などのシミュレーションを行えるようにするシステムである。これをサプライチェーンに適用した場合、輸配送ステータスや交通状況などの情報を基に需給予測を立て、計画と現状に乖離があれば要因を分析し、対策を即座に打ち出すアジャイルな対応が可能になる。もちろん、レジリエンス性の向上という観点からも、リスク対応力を高める効果が期待できる。

不確実性を許容する投資フレームの採用を

 ただ、こうしたサプライチェーンのCPS化を実現できている企業は、現時点では少数にとどまる。この背景について、坂田氏は「コンサルタントとして企業をお手伝いしている立場から見ると、デジタル化の重要性は分かっていても、社内のプロセスや制度が足かせになり、うまくいかない企業が多いようです」と説明する。このため、サプライチェーンをデジタル化するというビジョン策定やガバナンス構築だけでなく、実際の取り組みを推進するための投資評価プロセス/フレームをしっかりと整備する必要がある。

 また、坂田氏は「サプライチェーンのデジタル化については、新規事業開発や研究開発投資のように、結果に対してある程度の不確実性を許容する『ビジネス変革型投資』としての投資評価フレームを用いるべきです」と述べる。従来のビジネス改善や業務効率化を目的としたIT投資(業務改善型投資)は、コストや在庫数など、各事業部門がコミットしやすく、影響予測が比較的容易な指標を主な対象としてROI(投資対効果)を算出、投資判断を下していた。

 しかし、サプライチェーンのデジタル化は事業戦略の変革やプロセスモデルの刷新などに直接影響を与え得る。このためコストや在庫数など投資効果を予想しやすい指標だけを参照するのではなく、事業戦略に対する貢献度合いなどを考慮するビジネス変革型投資の枠組みで投資判断を行うことが妥当であろう。

 坂田氏は「事業戦略への貢献や、ビジネス/プロセスモデルの刷新の程度などは数値化しづらいですが、投資目的に沿ったKPI(重要業績評価指標)を設定し、ROIを継続的に評価する取り組みが必要です。売り上げへの影響も、リスクを織り込みつつ定量的に把握するよう努めなければなりません」と指摘した。

業務改善型投資からビジネス変革型投資の評価フレームへと変化を[クリックして拡大]

 このように、サプライチェーンのデジタル化では投資判断の手法にも変革が必要になる。コロナ禍のような新たなリスクに対応できるサプライチェーンの革新を検討しているのであれば、KPMGコンサルティングに相談してみてはいかがだろうか。

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提供:KPMGコンサルティング株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年1月31日