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» 2021年10月26日 10時00分 公開

機械学習の専門家がなぜ最新ワークステーションでAI開発を加速できたのかAI開発

製造業におけるワークステーションの用途が、従来のCADやCAEを用いた設計だけでなく、AI開発にも広がりつつある。日本HPのワークステーションであれば、他社を圧倒する製品ラインアップに加え、国内生産と充実したサポート体制、無償のリモートワーク対応ソフト「ZCentral Remote Boost」などによりAI開発の生産性を大幅に高められる。機械学習の専門家として世界トップクラスの技術を持つKaggleグランドマスターも太鼓判を押すその実力を見てみよう。

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 これまで製造業のワークステーションの用途といえば、3D CADやCAEを用いた製品設計が中心だった。しかし、これらのワークステーションに搭載されているGPUは、元来のグラフィックス表示にとどまらず、今では機械学習を中心とするAI(人工知能)開発にも活用の幅を広げている。AI機能を組み込んだ製品やサービスの開発は製造業にとっても喫緊の課題ということもあり、製造業のワークステーション需要に変化が起きているのだ。

日本HP クライアントソリューション本部 ソリューションビジネス部 ビジネスデベロップメントマネージャーの新井信勝氏 日本HP クライアントソリューション本部 ソリューションビジネス部 ビジネスデベロップメントマネージャーの新井信勝氏

 こうした変化の波は、国内ワークステーション市場で13年連続トップ※)に立つ日本HPにおける需要動向にもあらわれている。同社 クライアントソリューション本部 ソリューションビジネス部 ビジネスデベロップメントマネージャーの新井信勝氏は「特に製品開発に関するデータは機密性が高いだけに社外に持ち出すことができず、クラウド利用を制限している製造業が少なくありません。そうした中でローカルのワークステーションを活用してAI開発を推進するケースが増えています」と語る。

※)2008〜2020年、出典:IDC's Worldwide Quarterly Workstation Tracker Share by Company, 2021 Q2

 HPがワークステーション事業に乗り出したのは今から約35年前のことで、PCと別系統の専門組織を立ち上げ、商用UNIXの標準化をはじめとするオープンシステム化と、コンピュータのダウンサイジングに向けた取り組みを加速してきた。そして国内企業に向けても、「ISV認定(動作保証による高い信頼性)」「東京生産(初期不良低減、高品質)」「東京サポート(つながる・早期解決、WS専用サポート窓口)」「業務を止めない(3年間休日修理・翌日オンサイト)」をキーワードとする体制を整え、プロフェッショナルの要求に応える信頼性の高い製品提供に注力してきた。

HP製ワークステーションの特徴 HP製ワークステーションの特徴[クリックで拡大] 提供:日本HP

 こうした長年にわたる取り組みと実績が、前述した国内ワークステーション市場13年連続トップの背景となっているわけだ。そしてこの間にもHPのワークステーションは製造業のみならず、建設、医療、教育、映像制作、金融、航空など幅広い産業で需要を喚起しながら、多様なアプリケーション分野で用途を拡大してきた。この延長線上で現在のAI開発への活用という新たなムーブメントが起こっているのである。

リモートワークで注目される「HP ZCentral Remote Boost」

 具体的にHPのワークステーションは、どんな特徴によって製造業の間で高まるAI開発のニーズに応えているのだろうか。

 まず注目すべきは他社を圧倒する製品ラインアップだ。主力のデスクトップタイプでは、NVIDIAの最新GPUである「NVIDIA Quadro A6000」を搭載可能なフラグシップの「HP Z8」から、弁当箱サイズの小さなスペースに「NVIDIA Quadro RTX 3000」を搭載する「HP Z2 Mini」まで6機種を展開している。「その他、1Uラックマウント型やノート型のワークステーションも取りそろえており、業務や拡張性などの目的に応じて選択していただけます」(新井氏)という。

幅広いニーズに対応するHPワークステーションのラインアップ 幅広いニーズに対応するHPワークステーションのラインアップ[クリックで拡大] 提供:日本HP

 このワークステーション開発においてHPがこだわってきたのが「冷却」である。ハイエンドのGPUは1枚当たり約300Wの電力を消費し、デュアル構成では600Wを超えることになる。そこから生み出される膨大な熱を効率的に処理しなければ、GPUやCPUにリミッターがかかり、性能をフルに発揮できなかったり、突然ダウンしてしまったりと動作が不安定になってしまうのだ。新井氏は「ファンなどで強制的に排熱するだけでは不十分で、空気の流れを各ブロックに分けることでお互いの排出熱の影響を与えない筐体設計など、HPのワークステーションでは空気の流れや排熱処理の最適化を追求してきました」と説明する。

 さらにコロナ禍で急拡大したリモートワークで注目されているのが、「HP ZCentral Remote Boost」と呼ばれる機能である。ワークステーションの画面データを170分の1に圧縮・暗号化して送信することで、離れた場所のノートPCやタブレット端末などのデバイスから操作を可能とする仕組みである。「RGS(Remote Graphics Software)と呼ばれていた時代から15年以上の実績をもつ技術をベースとするもので、VDI(仮想デスクトップ)方式と違って追加ライセンスを負担することなく無償でご利用いただけるのが最大のメリットです。1台からでもリモートアクセス環境の構築が可能で、機密性の高いデータを社外に持ち出すことなく、ワークステーションのパフォーマンスだけを持ち出すことができます」(新井氏)。

リモートワークに最適な「HP ZCentral Remote Boost」の機能 リモートワークに最適な「HP ZCentral Remote Boost」の機能[クリックで拡大] 提供:日本HP

 もちろんHP ZCentral Remote Boostは、在宅でのリモートワークのみで活用されるものではない。マシンルームに設置したワークステーションに対して社内LANを経由してノートPCでアクセスするとか、会議室から自席のワークステーションへアクセスする、あるいは設計部門が所有しているハイエンド構成のワークステーションの豊富なリソースをチームで共同利用するなど、多様な運用形態に適用することが可能だ。併せてHPでは、「ZCentral Connect」というコネクションブローカーを用いてLANやWAN、VPNを経由した接続を効率よく管理するソリューションを提供している。実際に既に多くの製造業がこの方法を利用し、リモート環境からワークステーションのパフォーマンスを効果的に活用しているという。

ネットワーク遅延がなくなりストレスが解消――LINEのコウ ケイシン氏

 上述したような特徴をもつHPのワークステーションを実際にAI開発に活用することで、どのようなメリットを得られるのだろうか。世界最大規模の機械学習コンペティションプラットフォームとして知られる「Kaggle」で好成績を重ね、最高位のレベルであるKaggleグランドマスターとなった、LINE 機械学習エンジニアのコウ ケイシン(Qishen Ha)氏とRist AIエンジニアの大越拓実氏の2人に話を聞いた。

LINE 機械学習エンジニアのコウ ケイシン氏 LINE 機械学習エンジニアのコウ ケイシン氏

 コウ氏は2014年に中国の大学を卒業して来日。2017年4月に東京大学大学院を卒業して就職したフリークアウトにおいて主に広告最適化を担当してきた人物だ。その後、2019年5月にLINEに転職し、レコメンドシステム開発の担当となって現在に至る。

 ただ、コウ氏にはどうしても捨てきれない思いがあった。「もともと大学院では画像分析や画像分類などコンピュータビジョンに関する研究を行っており、何らかの形で続けたいと機会を探っていました」とコウ氏は言う。これがKaggleにチャレンジするきっかけとなったのである。

 当初は1人でKaggleに参加しており、計5回参加したコンペティションの中で3回金メダル(ソロゴールド)を獲得。この活躍は多くのメンバーの目にとまることとなり、誘いを受けて組んだチームでも5回の金メダルを獲得し、2020年にグランドマスターとなった。ちなみにコウ氏のこれまでの最高ランキングは世界6位である。

 そんなコウ氏がKaggleのAI開発で愛用しているのが、自宅に設置したHP Z8ワークステーションである。

 もっとも最初からこのマシンを利用していたわけではない。以前はパブリッククラウド上のGPUインスタンスを利用していたのだが、大きなストレスを感じてローカルのワークステーションを利用することにしたという。「クラウド利用で一番不満を感じたのが、たまに発生するネットワークの遅延です。コードをデバッグしたり、別のアルゴリズムを試したりするたびに長時間待たされ、思考が中断してしまうのです。ローカルのHP Z8を利用するようになった現在は、格段にレスポンスがよくなりイライラが解消されました」(コウ氏)。

 なお、高性能のHP Z8は排熱量も大きく部屋が暑くなるためコウ氏はHP ZCentral Remote Boostを活用し、別室からノートPCを使ってAI開発を行っている。「どこからでも快適にワークステーションを利用できるのは本当に便利です。今後は、やはりAI処理性能のさらなる向上を図りたいので、GPUカードの枚数を増やしたいと考えています。そうなると当然のことながら排熱量も増すことになりますが、別室からリモートで使えるのであれば全く問題はありません」とコウ氏は、HP ZCentral Remote Boostのメリットを強調する。

必要な計算を回し続けることができる――Ristの大越拓実氏

Rist AIエンジニアの大越拓実氏 Rist AIエンジニアの大越拓実氏

 一方の大越氏は、統計学を学んでいた名古屋大学の在学中に5人の仲間とともに機械学習の受託サービス会社を設立し、AI開発の道に入ったという経歴をもつ。その後、この会社を離れることとなり、DeNAでのプロ野球関連のデータ分析を経て2020年9月に現在のRistに転職し、AIパイプラインの開発に従事するようになった。

 この過程で自分の腕磨きを兼ねてチャレンジしたのがKaggleである。当初は1人で参加していたのだが、まわりの多くのメンバーから誘いを受けてチームを組み、さまざまなコンペティションで対戦を重ねた結果、2019年11月についに5個目の金メダルを獲得。グランドマスターとなった。

 そんな大越氏が利用しているのも自宅に設置したHP Z8ワークステーションだ。背景にあるのは、「ワークステーションのパワーを専有したい」という強い思いである。「パブリッククラウドを使っていた時期もありましたが、課金を抑えるために計算を終えたらいったんインスタンスをシャットダウンし、また計算を行う際に再起動するといった操作を繰り返さなければならず不便を感じていました。その点、ローカルのワークステーションがあれば課金を全く気にすることなく、計算を回し続けることができます。これは何事にも代えがたいメリットです」(大越氏)。

 実際にローカルのワークステーションは、単なるコスト削減だけにとどまらない多くの効果をもたらしている。大越氏は「Kaggleのコンペティションであれ、業務で行っているAIパイプライン開発であれ、機械学習を中心とするAI開発では、できるだけ多くのアルゴリズムを試してみることが重要な要件となります。ローカルのワークステーションを利用するようになったので、さまざまなアルゴリズムを思う存分に試せるようになり、計算を回し続けることで実行する実験の数も飛躍的に増やせています。その分だけ、作成するコードの品質やモデルの精度も確実に向上しています」と強調する。

 搭載するGPUカードの枚数を増やす、あるいはハイエンドのGPUカードに交換することによって増強されるパフォーマンスをダイレクトに享受できるのもローカルのワークステーションならではのメリットであり、大越氏は思いのままのAI開発を目指して今後もさらなる環境整備を進めていく考えだ。

AI開発の生産性を向上するHPのワークステーション

 Kaggleグランドマスターであるコウ氏と大越氏の話からも、ローカルで運用するHPのワークステーションがエンジニアの要求を最大限に満たしてモチベーションを高め、AI開発の生産性を向上するソリューションとなることをご理解いただけたのではないだろうか。製造業におけるAI開発がさらに進展し、ワークステーションの活用を進めていく中で、この事実は非常に大きな参考となるはずだ。

 自社のデジタル革新への流れをさらに加速させるためにも、安心と信頼のHPのワークステーションを活用してみてはいかがだろうか。

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提供:株式会社 日本HP
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2021年12月25日