「3DEXPERIENCE WORKS」が切り開く変革の扉、つながることで生み出される価値トップインタビュー

不確実性の時代に直面し、大きな変革の時を迎える日本製造業。今、モノづくりの現場では何が求められているのだろうか。製造業向けオンラインメディア「MONOist」編集長の三島一孝が、ダッソー・システムズ株式会社 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏と、ソリッドワークス・ジャパン株式会社 専務執行役員の山崎究氏に話を聞いた。

» 2020年10月29日 10時00分 公開
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 製造業を取り巻く環境は、かつてない規模で急速に変化している。そうした中、これまで以上に求められるのが「変革」の力だ。「2020年版ものづくり白書」(経済産業省)においても、環境や状況が予測困難なほど激しく変化する「不確実性」こそが製造業にとっての大きな課題だとし、デジタル技術を活用した変革の必要性を強く訴え掛けている。

 では、不確実性の時代に直面する製造業、モノづくりの現場で、今何が求められているのだろうか。変革に必要な要素とは何だろうか。製造業を中心に、ワールドワイドで豊富なソリューションを展開するダッソー・システムズ 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏と、ソリッドワークス・ジャパン 専務執行役員の山崎究氏に話を聞いた。聞き手は、製造業向けオンラインメディア「MONOist」編集長の三島一孝が務めた。

(中央)ダッソー・システムズ 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏、(左)ソリッドワークス・ジャパン 専務執行役員の山崎究氏、(右)MONOist 編集長の三島一孝 (中央)ダッソー・システムズ 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏、(左)ソリッドワークス・ジャパン 専務執行役員の山崎究氏、(右)MONOist 編集長の三島一孝

より良いコラボレーション環境の実現とプラットフォームの重要性

MONOist三島 製造業、モノづくりの現場では、今どのような変化が起こっているのでしょうか。また、そうした現場では何が求められているのでしょうか。

ゴドブ氏 グローバルで、多くの企業がイノベーション創出に向けた変革の取り組みを加速させています。そうした中、最も重要になってくるのが「コラボレーション」だと考えています。

 モノづくりにおいて、最終的なゴールはコンシューマーエクスペリエンスの向上になるわけですが、それを実現するにはエンジニアリング領域全体における情報の流れをよりスムーズにしてコラボレーションを促進し、製品開発そのものの改善につなげていくことが重要です。

 特に、近年製品のコネクテッド化が進んでおり、自動車のみならず、白物家電でさえもインターネットに接続される時代となりました。そのような全てがつながる時代においては、メカ設計、電気設計、ソフトウェア開発の担当者がそれぞれ協調、コラボレーションしながら作業を進めていく必要があるわけです。

 これは一つの例ですが、そうしたより良いコラボレーション環境は、エンジニアリングの全ての領域が統合されることではじめて実現できるものであり、われわれは「プラットフォーム」がその根幹を支えると考えています。オンラインで常にアクセス可能なプラットフォームの重要性は、今後ますます高まっていくでしょう。

「3DEXPERIENCEプラットフォーム」がもたらす価値

MONOist三島 より良いコラボレーション環境を実現するためにプラットフォームが欠かせないということですが、ダッソー・システムズが提供する「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を活用することで、どのような価値を享受できるのでしょうか。

ダッソー・システムズ 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏 ダッソー・システムズ 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏

ゴドブ氏 3DEXPERIENCEプラットフォームは、設計、製造から顧客サービス、マーケティングに至るまでの製品開発の全プロセスをつなぎ、ビジネスにおけるあらゆる情報をリアルタイムで俯瞰(ふかん)できる環境をもたらすプラットフォームです。「CATIA」「SIMULIA」「DELMIA」といったダッソー・システムズの代表的なソリューション群も3DEXPERIENCEプラットフォームを基盤とし、プラットフォームを介したシームレスな連携を可能にしています。

 チームや部署、社内といった閉ざされた空間における単なる情報共有ではなく、社内外の全ての関係者が3DEXPERIENCEプラットフォームを通じて、リアルタイムのコラボレーションを実現できるのです。そこに情報の分断はありません。

 また、その価値はITインフラ投資の側面から語ることもできます。3DEXPERIENCEプラットフォームは基本的にクラウドソリューションといえるわけですが、ITインフラ投資を最小限に抑えたい中小企業はもちろんのこと、長年運用してきた独自システムの維持管理コストを低減させたいと考えている大企業にとっても、3DEXPERIENCEプラットフォームの活用メリットは大きいといえます。

MONOist三島 日本の製造業を見てみると、クラウドソリューション/プラットフォームの活用は「まだこれから」という印象ですが、こうした現状をどのように捉えていますか。

ゴドブ氏 日本において、製造業のプラットフォーム化が遅れているように見えるのは、強力なバリューチェーンネットワーク、サプライチェーンネットワークが存在しているからだと考えます。ただ、それらネットワークの中で、皆が一緒に動く、連携するという意識や取り組みが既にあるわけですから、われわれが掲げるプラットフォームのアプローチとの親和性は非常に高いと考えています。

 唯一、日本の製造業に求められるのは、いかにデータを扱うかだと思います。例えば、設計部門で作られたデータは、設計のみで活用されるのではなく、部門をまたいで有効活用され、それとともに業務プロセスも変化していかなければなりません。こうしたデジタルスレッドの実現にはプラットフォームの活用、すなわち3DEXPERIENCEプラットフォームが欠かせません。

新たなポートフォリオ「3DEXPERIENCE WORKS」とは

MONOist 編集長の三島一孝 MONOist 編集長の三島一孝

MONOist三島 この3DEXPERIENCEプラットフォームのメリット、パワフルな機能を柔軟に活用できる新たなポートフォリオとして「3DEXPERIENCE WORKS」を発表したわけですが、具体的にどのような位置付けのものなのでしょうか。

ゴドブ氏 3DEXPERIENCE WORKSは、これまで説明してきた3DEXPERIENCEプラットフォームの価値、その最大の強みであるリアルタイムコラボレーションの実現をもたらすポートフォリオです。“WORKS”とあるように、定評のある「SOLIDWORKS」の使い勝手の良さと、クラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームで動作し、シームレスに連携できる豊富なアプリケーション群を組み合わせたもので、自身の業務やタスクに適したロール(機能群)を選択することで、必要なテクノロジーやアプリケーションを自由に活用できます。

 これからまさに、社内あるいはエコシステム全体でバリューチェーンを強化しようと考えているお客さまや、既にデスクトップ版SOLIDWORKSを設計業務で活用し、その強みを維持したまま、解析や製造、マーケティングといった他部門とのコラボレーションを拡大させていきたいというお客さまにとって、最適な枠組みといえます。

ソリッドワークス・ジャパン 専務執行役員の山崎究氏 ソリッドワークス・ジャパン 専務執行役員の山崎究氏

山崎氏 3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオのうち、設計領域を担う主要製品である「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」と従来のデスクトップ版SOLIDWORKSとの違いは、初めからクラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームにコネクト(接続)されているかどうかという点です。デスクトップ版と大きく異なるのはその部分で、全く別の製品というわけではなく、SOLIDWORKSの使い勝手の良さに、プラットフォームの価値を融合させたものといえます。

 3DEXPERIENCEプラットフォームにつながるメリットは大きく、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSで設計したデータは自動的にクラウドに保存されるため、煩わしいデータ管理の手間から設計者を解放します。また、3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオに含まれるアプリケーション群、例えば「Abaqus」テクノロジーをベースに構築されたCAE「SIMULIAworks」や製造ERPの「DELMIAworks」(※注1)、データ管理/PLMの「ENOVIAworks」など、ダッソー・システムズの豊富なアプリケーション資産をコアとした非常に高度な機能が、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSからシームレスに使えるようになるのです。これはつまり、SOLIDWORKSの機能が大きく拡張されることを意味します。

3DEXPERIENCE SOLIDWORKSの画面イメージ 図1 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSの画面イメージ

ゴドブ氏 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSは、クラウド利用を前提としているため、常に最新の設計環境を使用できます。また、データもクラウドに保存され、複数の設計者あるいは関係者間のより強力かつ柔軟なコラボレーションを実現します。利用についても、期間に応じて購入できるサブスクリプション方式を採用し、プロジェクトの規模などに応じた柔軟なライセンス運用をもたらします。

 ここで念のため補足したいのですが、既に多くの企業で、設計のインフラとして活用いただいているデスクトップ版SOLIDWORKSがなくなるわけではありません。これまでと変わらずユーザーの声に耳を傾けながら、SOLIDWORKSへの投資は継続していきます。プラットフォームの価値、コラボレーションの必要性を重視するお客さまに向けた選択肢の一つとして、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSがあるということです。われわれは、常にユーザーのことを第一に考えています。

MONOist三島 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSの製品構成は、どのようになっているのでしょうか。

山崎氏 従来のデスクトップ版SOLIDWORKSと同様に、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSには「Standard」「Professional」「Premium」の3つの製品グレードが用意されています。基盤となる3DEXPERIENCEプラットフォームには、データ共有/コラボレーションに必要なロールも含まれています。

 さらに、今回初めてWebブラウザベースの製品として、パラメトリックモデラー「3D Creator」とサーフェスモデラー「3D Sculptor」が設計ツールのラインアップに加わりました。3D Creatorと3D Sculptorは、クラウドに保存されたSOLIDWORKSのデータを参照して新たなモデルを作成したり、あるいは両ツールで作ったモデルをSOLIDWORKSに取り込んで活用したりするなど、設計のコラボレーションを加速させることが可能です。本来のSOLIDWORKSの3D CAD機能を拡張する意味においても、Webブラウザベース製品の利用メリットは非常に大きいと思います。

3DEXPERIENCE SOLIDWORKSの製品構成 図2 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSの製品構成

変革を後押しし、新しい世界、新しい時代の扉を切り開く

MONOist三島 最後に、3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオ/3DEXPERIENCE SOLIDWORKSの日本での展開と期待、そして変革を目指す日本の製造業に向けたメッセージをお願いします。

山崎氏 3DEXPERIENCE WORKSは、われわれにとって新たな顧客、新たな市場を開拓する上で非常に重要な意味を持つものだと考えています。プラットフォームの活用、リアルタイムコラボレーションの実現により、業務の在り方、人々の働き方は大きく変化し、ビジネスにおいても“共創”によるイノベーション創出が加速されていくことでしょう。

 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSに関しても、単なるCADのリプレイスという位置付けではなく、そうした新しい世界の実現をかなえるものとして、幅広く訴求していく考えです。そのためには、これまでデスクトップ版SOLIDWORKSを広く販売してきた大塚商会に代表されるパートナー企業の力が不可欠です。ワールドワイドNo1.(※注2)の取引実績とサポート経験豊富な大塚商会の力を借り、互いに協力しながら、3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオの国内展開を進めていきます。

ゴドブ氏 変革を実現するには、まず企業としてあるべき姿をしっかりとイメージすることです。そして、より良い、より早い意思決定を実現するためにITを活用するわけですが、社内の情報システム、データの流れが分断されているようでは、変革は成し遂げられません。これらをつなぎ、デジタルスレッドを実現することが求められるわけです。それはつまり、プラットフォームが必要であるということにほかなりません。この結論に行き着いたのなら、後はわれわれの出番です。日本の製造業は、既に変革の準備が整っている段階にあり、これから大きく動き出すことを期待しています。ぜひ一緒に、新しい世界、新しい時代の扉を切り開いていきましょう。

※注1:現状、「DELMIAworks」の日本国内でのリリースは未定です。
※注2:大塚商会は、2020年2月米国テネシー州で開催された「3DEXPERIENCE World 2020」(主催:ダッソー・システムズ)のリセラーアワードにおいて、SOLIDWORKS 総取引額ワールドワイドNo.1を筆頭に、多数のトップリセラー賞を獲得しました。



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提供:株式会社大塚商会
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2020年11月28日