製造業のプロジェクト管理のなかでも、デザインレビューの運営はとりわけ緻密さが要求される。だが、いまだ表計算ツールによる「力技」の管理をしている企業も少なくない。データを一元管理し、ヒューマンエラーを防ぐ方法はないのか。
グローバル化を推進しなければならない日本の製造業には、数々の課題が降り掛かっている。効率化を追求し、納期を短縮しなければならない。モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)などの先進技術を取り入れて、データドリブンなビジネスプロセスを醸成しなければならない。消費者ニーズが「モノ」から「コト」にシフトしている現状に対処していかなければならない──これらは確かに大きな課題だが、乗り越えられれば確かな競争力を身に付けられるだろう。ピンチをチャンスに変えることが、これからの生存戦略ともいえる。
新しいことにチャレンジする前に、まず地盤固めとして見直したいのが生産準備プロセスである。近年、製造業では設計から製造に至るさまざまな業務を同時並行的に処理する、いわゆるコンカレントエンジニアリングが流行している。量産までの開発プロセスをできるだけ短期化する開発手法ではあるが、案件と関係者が増えることによって生産準備プロセスを複雑化させてしまうという弊害もある。飛び交う共有メールの中から緊急性の高いものを選んだり、最新版の情報を探したり、変更に気付かず追加作業が発生したりと、煩雑さに頭を悩ませている方もいるのではないだろうか。
特に顕著な影響を受けるのが、デザインレビューの工程だ。最良の製品を開発するためには欠かせないプロセスであるが、関係者が増えれば増えるほど、案件が増えれば増えるほど、管理と調整が煩雑になる。デザインレビューの事務局を構えている組織でも、もろもろの調整業務に大きな負担を感じていることだろう。多数のデザインレビューをこなすのが精いっぱいで、デザインレビュー会議の予定時間が前回の振り返りだけで終わってしまうことも珍しくない。事前にレビュー対象が周知されず、準備不足のまま会議が実施されることも起こりがちだ。
非効率な段取りを残しながら現場の頑張りで無理に運営し続けると、量産までに想定以上の時間がかかってしまったり、不具合が多く発生する製品になってしまったりする恐れもある。
日立ソリューションズ東日本の菅野信彦氏(営業本部ソリューション第四営業部 部長)は、デザインレビューの管理に「Microsoft Excel」(以下、Excel)を利用している組織が少なくないことを問題視する。Excelベースの管理では、担当者のスケジュール調整も、課題の共有も、工程の調整も、ほとんど手作業でやることになる。しかも、複数部門が同時並行でさまざまな業務を進行するために、デザインレビューの管理で次のような問題が起こりがちだという。
「デザインレビューの管理が不十分だと、プロセスの手戻りが発生したときの影響も複数部門にまたがります。大きな手戻り工数を発生させないためにも、デザインレビューの管理は重要なプロセスです。手作業の管理ではミスを防ぎきれません。より良い製品作り、顧客満足度の向上を図るためには、生産準備プロセスおよびデザインレビューをサポートし、複数部門の連携を強化するツールが必要です」と菅野氏は強調する。
そこで紹介したいのが、日立ソリューションズ東日本が提供する専用ツール群だ。デザインレビューの運営をサポートする「AppSQUARE」、そしてAppSQUAREと連携して工程を細かに管理できる「SynViz S2」である。
デザインレビューを成功に導くためには、事前準備が欠かせない。検討すべき項目を明確にして、プロジェクトの見解を関係者に事前に伝えておく。そして形骸化を避けることだ。AppSQUAREには、これらをITで実現し、レビューを運営するための多様な機能が盛り込まれている。
例えば、AppSQUAREを活用して構築した「製品情報管理アプリ」は、製品開発スケジュールやデザインレビューの予定、実績、製品ごとの懸案事項、製品成果物などの総合的な情報を一画面に表示し、全体の状況をダッシュボードのように俯瞰(ふかん)できる。
レビューの予定や実績をクリックすれば「DR情報管理アプリ」で成果物や議事録、アクション予定や実績などの詳細を確認できる。成果物は「ドキュメント管理アプリ」を通じて各部門のExcelや「Microsoft Word」「Microsoft PowerPoint」などのファイルを管理し、アクションは「アクションシート詳細アプリ」を通じてスケジュールなどを管理する。アクションスケジュールは、後述するSynViz S2と自動的に連携し、製品開発や課題対策の日程を調整しながら管理することが可能だ。
日立ソリューションズ東日本の戸沢 拓氏(パッケージビジネス推進本部AppSQUARE販売推進センタ技師、プロモートリーダ)は「デザインレビュー運営という業務には、膨大な情報を細かく管理することが求められます。この業務にExcelなどの表計算ツールを使う場合は、シートやファイルで情報や機能を分けて管理する必要があります。そうなると統合的に管理するのは難しくなり、情報に変更があったとき全てに漏れなく変更内容を反映するのは困難です」と説明する。AppSQUAREならば情報を一元的に管理し、製品ごとに詳細をドリルダウンして必要な情報を閲覧できる。複数のプロジェクトが同時進行している場合でも分かりやすく管理できる。抜け漏れの軽減にもつながるだろう。
SynViz S2は、日本有数の製造業を営む日立グループの知見とノウハウを生かしたガントチャート式のプロジェクト管理統合プラットフォームだ。操作性と管理性に優れ、製造業はもちろん、ソフトウェア開発事業者や出版事業者など幅広い組織で活用されている。
デザインレビューの実施状況の可視化や、デザインレビューに向けたスケジュールが順調かどうか、デザインレビューの日程や開発スケジュールに無理がないかどうかを見える化するツールだ。
SynViz S2とAppSQUAREを連携させることで、デザインレビューの結果(アウトプット)をシームレスに反映してくれる。こうして分散管理されていた情報を一元的に閲覧できるようになれば、従業員の負荷や納期などを鑑みて工程を追加したり変更したりすることも容易になる。製品開発の初期段階だとしても、製品情報や担当部署、資料、承認プロセスなどを登録しておくと、登録済みのテンプレートに基づき自動的に大日程計画を生成することが可能だ。その後の細かな日程もドラッグ&ドロップで調整できるため、確認項目の抜け漏れや負荷の偏りなどを最小限に抑えられるだろう。
AppSQUAREとSynViz S2は、ノンプログラミングでさまざまな業務アプリケーションを構築できる上、Webブラウザさえあれば従業員が簡単に運用できるという特徴がある。「いわゆるデスクトップツールのように、場所や端末に制限されることのない、汎用(はんよう)性の高いツールです」と戸沢氏は強調する。
AppSQUAREとSynViz S2が登場してから多くの企業がデザインレビュー管理のために導入し、成果を上げているという。
菅野氏は、ある製造業の事例を挙げる。「その企業は多くのプロジェクトを抱えていましたが、それぞれデザインレビューの方式や文化がバラバラで、運営担当者は個々に対応せざるを得ず、非常に大きな負荷を抱えていました。このユーザー企業は、AppSQUAREとSynViz S2を導入すると同時に全社的にデザインレビューのプロセスを見直し、情報の統合に成功しました。既存の問題は解消され、以降は準備プロセスをスムーズに推進できるようになりました」(菅野氏)
日立ソリューションズ東日本は、AppSQUAREとSynViz S2をデザインレビューのプロセスに適用するためのインテグレーションサービスも提供している。デザインレビュー向けのテンプレートを活用し、同社のエンジニアが個別の要件にカスタマイズして納品するため、導入企業ごとに最適化したツールとして利用を開始できるのだ。
さらに利便性を高めるべく、さまざまな現場や環境で利用できるようなアップデートも計画しているという。例えばスマートデバイス対応を積極的に進めているそうだ。他にも、製品準備の前段階である研究段階の管理にも使えるような機能強化も準備中だという。ますます進化するAppSQUAREとSynViz S2は、製造業の強い味方となるだろう。
日立ソリューションズ東日本では、2020年2月12〜14日に東京ビッグサイトで開催される「第4回 スマート工場EXPO(SFE2020)」に出展します。「コネクティッドファクトリー 人と最新テクノロジーの融合で新次元のビジネスを拓く」をテーマとし、「AppSQUARE」と「SynViz S2」などによる設計開発プロセスや、サプライチェーンなどを含めたシームレスな情報連携とオペレーション最適化を提案します。詳細についてはこちらのWebサイトでご確認ください。
開催日時: 2020年2月12日(水)〜14日(金)
10:00〜18:00(最終日は17:00まで)
会 場: 東京ビッグサイト西ホール
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提供:株式会社日立ソリューションズ東日本
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2020年2月16日