IoTの本格到来に伴う現実解として注目されているのが、ゲートウェイに処理を分担させる「エッジ・コンピューティング」だ。導入されるゲートウェイには高い能力が求められるが、AMDの組み込みプロセッサならばサポート体制も含め、十二分に対応する能力を持っている。
IoT(Internet of Things)について語られる際、良く未来像として描かれるのが、スマートフォンやタブレットだけではなく、自動車、街中のサイネージなど身の回りにある多種多彩なモノがネットワークによってつながり、そのデータがクラウドで処理され、個人の生活に降り注ぐというイメージだ。
確かにIoTの目指す世界はそこにある。ただ、多種多彩なデバイスがクラウドに接続される世界とは、これまでと比較にならない数のデバイスがクラウドにつながる世界ともいえ、その数は2020年に500億台へ達するという予測すらある。そうなるといくらネットワークが高速化し、サーバとエンドデバイスの処理能力が増大したからといって、エンドデバイスが収集するデータを全てそのまま、クラウドへ流し込むのは現実的とは言えないだろう。
そこで浮上するのが、エンドデバイスとクラウドの中間に位置するゲートウェイでデータの効率化と分散処理を行う「エッジ・コンピューティング」の考え方だ。PC向けx86 CPUベンダーとしての印象が強いAMDもIoT時代におけるエッジ・コンピューティングの重要性に着目しており、同社組み込み機器向けプロセッサ「AMD Rシリーズ、Gシリーズ」をはじめとする製品群で、“IoTを実体化させる現実的な提案”を行っている。
ではまず、エッジ・コンピューティングの実現に欠かせないIoT時代のゲートウェイに求められる要件について、例を挙げながら考えてみよう。
まずは工場やビル内に設置される監視カメラのIoT化だ。これまでの監視カメラならば映像を管理室へ流し、そこのレコーダーで録画するだけであったが、IoT化に伴い、死角を埋めるためのカメラの動き制御や入退場者を確認するための顔認証、異物や侵入者をチェックするためのパターンマッチングといったインテリジェンス化が求められることになる。
このインテリジェンス化には撮影した映像の素早い処理と解析結果のリターンが必須となり、また、カメラは複数台設置されることが前提であるため、全ての処理をクラウド側で処理することは合理的ではないと分かる。
もう1例、来客に合わせて表示内容を変えるインテリジェントなデジタルサイネージについても考えてみよう。この場合に求められるのは、来場者を識別して(男性か女性か、若いのか壮年なのかなど)、季節や時間帯、あるいは天候に応じた商品を表示する機能だ。こちらについても、監視カメラの例と同様に、撮影した映像の素早い処理と解析結果のリターンが必須となる。
専用線の敷設やサーバ(クラウド領域)の占有などによって、エッジ・コンピューティングの導入なしに現実的なソリューションとして実現する可能性もあるが、運用面までも見据えて“ビッグデータを使う”ことを考えると、現実解としては、強力な処理能力を持つゲートウェイを導入し、監視カメラで言えばダウンタイム計算や運用管理、サイネージで言えば来場者数統計といったリアルタイム性を求められない処理はクラウドに、迅速なレスポンスが求められる処理はゲートウェイにという、処理内容や軽重によって、処理すべきポイントを変えていくことが求められるのだ。
その“強力なゲートウェイ”は従来のゲートウェイ(ネットワークルータ)と何が異なるのか。一言で言ってしまえば、“多彩なサービスを提供可能なパフォーマンス”を持つことだ。単なるパケットの交通整理ではなく、流れるデータのセキュリティ確保やハイビジョン映像を始めとするマルチメディアデータのスムーズな処理、ピーク時にも処理速度を保つ低遅延能力などは、強力なプロセッサなしには実現し得ない。そこにAMDの組み込み機器向けプロセッサが持つハイパフォーマンスが生きる。
AMDの組み込み機器向けプロセッサ「AMD Gシリーズ」は強力なGPUを搭載しているので、カメラ映像の処理をはじめとする画像処理にも強く、GPGPUを使えば特定処理の演算処理も非常に強力にこなすことができ、柔軟性の高い運用が可能となる。加えてH.264映像などの圧縮伸長ならばハードウェアアクセラレータが働くので、処理をより迅速にこなすことが可能だ。
AMD Gシリーズを採用した小型かつ高性能な製品事例として、QNAPの「TVS-863+」などTVS-x63シリーズを挙げることができる。TVS-x63シリーズは中小企業向けのNASというポジションの製品だが、クアッドコア 2.4Ghz駆動のAMD GシリーズAPU「GX-424CC」を搭載しており、10GbE構成で最大1432MB/秒の読み書きや、最大691MB/秒でのAES-256ビット完全暗号化、内蔵GPUによるトランスコーティングなど、一言にNASとは言えないほど、多種多彩なサービスを提供することができる。
ゲートウェイが多彩なサービスを提供するためにはプロセッサの高い能力はもちろん、ソフトウェアの最適な実装も必要となる。そのためAMDではヘテロジニアス環境を利用したフレームワークである「OpenCL」を用いて並列処理を効率よく行うためのノウハウや「CodeXL」といった開発ツール、ライブラリなどを多数提供しており、また、開発者向けのコミュニティー「The DevGurus forum」も運営することで、開発の効率化をサポートしている。
加えて想定できるユースケースに応じた専門家を社内に配置、パートナーと協業して、顧客に対してより実践的な提案ができるような体制を構築するなど、単にIoTを掲げるのではなく、導入支援活動までも活発に行っている。
IoTという概念に未来があることは共通理解といえるが、現時点では、IoTを実際の製品やサービスまで落とし込む手法が確立されているとは言いにくい。しかし、現実解として目されているエッジ・コンピューティングに適した製品を有し、サポート体制までも構築しているAMDの取り組みは、「IoTを実体化させる、現実的な提案」として注目すべきだ。
次世代ネットワーキング ・プラットフォームにおいて新たなレベルのインテリジェンスを実現するスマートなSDNソリューションを導入する上でのAMDのアプローチの概要を説明する。
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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年9月24日