産業用PCには、24時間動き続ける信頼性とさまざまな現場で使える耐環境性、それに長期間使える長期供給が欠かせない。設計から部品選定、メンテナンスまでを“オール東芝”で提供する同社の産業用PCがなぜ高信頼なのか、ESEC2015で担当者に話を聞いた。
東京ビッグサイトで開催された「第18回 組込みシステム開発技術展」(ESEC2015 2015年5月13〜15日、東京ビッグサイト)の東芝ブースでは、24時間稼働や長期供給など、通常のPCに比べて高い信頼性が必要とされる産業用PCが紹介されていた。
同社では展示製品について「産業用PCに求められる機能を広くカバーした」としており、ブースでは説明員から、産業用PCに求められる「信頼性」「耐環境性」「長期供給」についての詳細を聞くこともできた。
同社は産業用PC(産業用コンピュータ)として多種多彩な製品を展開しているが、ESEC2015の同社ブースで紹介されていたのは、「FA3100SS model 1000」や「FR2100SS model 500」「FA2100SS model 500」「EC20 model 100」など高い汎用性を持つ製品群だ。
最新モデルである「FA3100SS model 1000」は、クアッドコアの第3世代インテルCore i7(2.3GHz)を搭載し、USB3.0×2、USB2.0×4、LAN×2、ホットスワップ対応RAIDディスク対応、といった特長を備え、OSとしてWindows XP/7/8.1 Industry、Windows Server 2008 R2/2012 R2、Red Hat Enterprise Linux 6.4 Serverが利用できる。
ただ、スペック以上に注目なのが、メインボードや周辺ボード、筐体などの設計は全て東芝グループ内で行い、品質管理についても用品単位での機能検査を行った後、出荷時の温度テストを全出荷品で行っていることだ。同社では2014年で25周年を迎えた産業用コンピュータの開発で培ったノウハウを製品につぎ込み、高い信頼性を実現したと自負する。
もちろん、耐電圧、温度などに対しても余裕のある設計がなされている他、耐障害性向上のため、1bitエラーの自動修復が可能なECCメモリの採用、東芝製RAIDカードによるディスク冗長化といった機能も備えており、「信頼性」と「耐環境性」の確保には細心の注意が払われていると言っていい。
東芝 社会インフラシステム社 産業システム・機器統括部 計装制御営業部 産業用コンピュータ事業責任者の東 隆男氏は、こうした「東芝としての作り込み」を他社に対する差別化ポイントとして挙げる。
さらに同制御営業担当(技術担当)主務の稲荷 将氏は、「幅広いラインアップが用意されているのも優位点」と話す。標準的なデスクトップタイプのFA3100SS model 1000、2UのラックマウントタイプのFR2100SS model 500、卓上で利用できるスリムタワーのFA2100SS model 500、製造装置の中にも組み込めるコンパクトなEC20 model 100、といった具合に、用途に応じて選択できる。東氏は、「CPUの処理速度や挿入できる拡張ボードの数、HDDが入れられる台数など、システムの規模に応じて最適に選択できるのが東芝の特長」と話す。
例えばストレージの選択肢として、HDD以外にSSDも用意。産業用コンピュータではHDDが一般的に使われていたが、「HDDは寿命部品の1つで、重要なデータを抱えているという意味でも弱点の1つだった」(東氏)。それに対してSSDも選択できるようになったことで、「可動部分がなくなり、より安定した動作が期待できるようになった」(同)という。SSDにも書き込み寿命という注意点があるが、逆に劣化が読みやすく、監視しながら使うことで、「HDDシステムよりも安心して使ってもらえるのではないか」と東氏は言う。
東芝自身がSSDを自社製造しているため、技術的な連携を内部でも行いながら産業用PCへの組み込みを行っているという。SSDを採用したシステムは、メンテナンスフリーを望まれる組み込み製造装置などの分野で導入頻度が増しており、顧客の要望の声に積極的に対応して適用範囲を広げてきた。
とはいえ、まだHDDに比べてSSDは歴史の浅いデバイスであることから、システムベンダーもSSDに「若干不安を感じている」と東氏。それを払拭してもらうために評価サービスも用意し、一定期間稼働させてその前後の利用データを比較することで、寿命予測を行えるようにしている。これによってあらかじめ実際の利用でどの程度のデータを書き込むかを確認でき、HDDと比較して選択できるようにしているそうだ。
各製品は幅広い用途に利用できるように設計、製造されているが、こうした部材の変更だけでなく、カスタマイズサービスも用意し、顧客の細かな要望にあわせて各種変更も対応できる。例えば狭い既存の設置スペースに合わせて、筐体を専用筺体にカスタマイズしたり、電源ユニットやファンの変更といった特別なカスタマイズ対応も行える。
販売後のサポートとしては標準で5年間は製品製造販売を行い、その後は7年間の長期保守を提供。オプションでさらに3年の延長保守も行い、長期に渡って安定して使えるようにしている。社内に技術者を確保し、また、設計メンバーもいるため、問題発生時もきちんとした対応ができるのも東芝のメリットだ。「東芝は幅広い事業を行っており、いろいろな産業や利用形態について、知見が蓄積されている。それらをしっかり活用して、お客さまのシステムの安定稼働に貢献できるのが強み」(東氏)
産業用PCは安定性が重視され、いわゆる「枯れた」部材やプラットフォームが好まれるが、SSDのようにいち早く新しい部材への対応も進めており、それはOSについても同様だ。同社では「Windows Embedded 8.1 Industry」の選択肢も用意しており、Windows XPからの移行需要にも対応する。知られているよう、Windows XPは2014年4月にサポートが終了。組み込み機器向けに提供されている「Windows XP Embedded」についても2016年1月に期限を迎えることから問い合わせも多く、そうした顧客の声に応えるべく取り組みを進めている。
導入要件としての要望が高くなっている、セキュリティ性の確保や誤動作防止への配慮もぬかりない。FA3100SS model 1000などのモデルでは、PC内部への意図しない干渉を防ぐためのセキュリティキーロックやACケーブル抜け防止金具が標準導入されており、こうした配慮もシステム全体の長期の安定稼働に貢献する。「最近はセキュリティが1つのキーワードになっている」(稲荷氏)ため、こうした要望にも応えられるようにしているそうだ。
国内だけでなく、海外の各種認証への対応、RoHS指令準拠といったカスタマイズも行っており、中国などの一部では、海外でもサポートできるような保守体制も整備しているという。「海外でサポートをどうするかが大きな課題」と東氏は話し、今後、サポートが可能な国を拡大していきたい考えを示している。
東芝の産業用PCは、国内では電力・上下水道といったインフラ系、鉄道管制などの交通系から、半導体製造装置といった分野まで幅広く採用されており、長年の経験と信頼を獲得している。幅広いラインアップと柔軟なカスタマイズ、“オール東芝”としてのノウハウをつぎ込んだ高い信頼性と安定性といったベースに加え、充実したサポートと長期にわたる保守体制は、産業用PCを導入する事業者によって心強い支えとなるだろう。
= デスクトップ型産業用コンピュータ「FA3100SS model 1000」が製造現場や社会インフラに適する3つの理由 =
高処理性能に加え耐環境性能など多くが求められる産業用コンピュータ。そのフラッグシップモデルとなる、東芝の「FA3100SS model 1000」の特徴とは。
▼ ▼ ▼
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:東芝 社会インフラシステム社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年7月16日