ビッグデータは製造現場で分析・判断できる時代に突入した「先を読む」予測分析力をビジネスの最前線に

データの中から何か役に立つ情報を見つけることは、目新しいことではない。自分のPC上でデータをグラフ化して、傾向や状態を可視化するのは、誰でも経験があるのではないだろうか。近年取りざたされる「ビッグデータ」は、単にデータ量が桁違いに膨大であるということだが、それゆえに得られる情報も無限に近い。今、その巨大な情報源を製造業の現場でも扱えるソリューションが、日本アイ・ビー・エムと日立ソリューションズ東日本のコラボによって提供されている。

» 2014年12月25日 10時00分 公開
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 企業の中には、言うまでもなくさまざまなデータがある。出荷や売り上げ、コストばかりではなく、各部門がそれぞれの業務の中で収集しているデータ、M2MやIoTなどの技術によって自動的に吸い上げられるデータなど、まさにビッグデータの中で仕事をしているのだ。

 しかしデータは、もっと活用できる。活用できれば、仕事のスタイルも、スピードも、品質までも変える可能性を秘めている。

技術の進化により、ビッグデータ活用が広がっている

 ビッグデータというと、マーケティングの世界をイメージする方も少なくないだろう。ビッグデータと呼ばれる前から、流通や小売りの業界には、大量のPOSデータが存在した。大量過ぎて扱いきれない、あるいは蓄積しきれないという状況から、徐々にインフラが整備され、販売データだけでなく、人の購買行動、気温や天候なども加味して、商品の仕入れや陳列、セール品など、消費者の購買意欲を喚起し、最適な在庫で業績を上げるさまざまな工夫が行われている。

 このマーケティングエリアのデータ分析を「人の分析」というならば、近年特に関心が高まっているのは「物の分析」、つまり製造エリアにおけるデータ分析だ。M2Mやセンシング技術などが進歩したという背景もあり、製造現場におけるデータ分析のニーズが高まっている。

photo 日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業本部 ビジネス・アナリティクス事業部 事業部長の西孝治氏

 日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業本部 ビジネス・アナリティクス事業部 事業部長の西孝治氏は「ビッグデータはバズワードかと思っていたが、定着してきている。その背景にあるのは、データを分析して、オペレーションにつなげられるテクノロジーが追い付いてきていることがある」という。

 テクノロジーの1つは、データベースやデータウエアハウスの技術だ。膨大なデータを支え、高速処理が可能なインフラがなければ、そもそも蓄積も分析もすることができない。

 統合されたデータの集計・分析には、そのデータ量の多さからかつてはメインフレームが必要だったが、現在はコンパクトかつ安価な環境が提供されるようになり、スピードも格段に上がっている。

 また、オープンな環境からのデータ取得も進んできている。IBMでは“オープンなPaaS”として2014年に注目を集めた「Bluemix」を用いて、クラウドやSNSなどのデータを活用するための環境整備を積極的に進めている。

業務知識を持つ人が自分で分析できる

 では、企業の中に散在している膨大なデータと、追い付いてきたテクノロジーによって、製造業はどのように変わるのか。

 これまで、データ分析の課題の1つに、「スキルを持った人が必要」という問題があった。データを意味ある情報とするには、ITの知識、分析の知識、業務の知識が必要だからだ。分析のスキルを補うために、外部のコンサルタントに分析モデルの作成を依頼することもある。しかし状況が変化しても、自分たちではモデルを作り替えることができず、そのモデルが現時点で正しいかどうか分らないまま、使い続けるということも少なくなかっただろう。

 しかしテクノロジーが進化したことによって、「IT」と「分析」の部分をツールがサポートしてくれるようになっている。分析手法には詳しくなくても業務を最も良く知っている人、つまりそれぞれの現場の人が自ら分析することができるのだ。時代が変化して分析モデルが適さなくなったなら、自分で作り替えることもできる。むしろ、分析結果の有効性を判断しなければならないのだから、業務の知識を持っていることの方が重要。本来あるべき姿になったといえる。

スピードが試行錯誤を可能にする

 もう1つ課題とされていたのは、分析のスピードだ。データ分析には試行錯誤はつきものだが、膨大なデータの場合は結果が得られるまでに時間がかかってしまう。1回の分析が一晩かかっても終わらないということも珍しくなく、これではいくつもの仮説を検証するのは難しい。

 現在は、分析スピードが目覚ましく向上したことによって、多くの仮説に基づいた分析を試すことが理想論ではなくなっている。「分析結果を一晩待っていたら、考えていたことを忘れてしまう。速く結果が出る、試行錯誤が繰り返せるからこそ、思考を止めずにブラッシュアップできる」と西氏。しかも業務知識を持った人が分析できるのだから、判断も速くできるというわけだ。場合によっては、品質や歩留まりを大きく左右することにもなるだろう。

 ETLによってデータが統合される意味も大きい。経営者が判断材料とするデータは、PLやPS、キャッシュフローといったところがメインだろう。その数字の源泉は、末端の現場にあるのだが、これまでは品質や歩留まりなどのデータは、最上層のデータと結びつかないことが多かったのではないだろうか。インフラとスピード、ツールが整うことで、的確でスピーディーな経営判断もサポートすることができる。

ベテランのノウハウをモデル化できる

photo 日立ソリューションズ東日本 第二ソリューション事業統括本部 ビジネスソリューション本部 担当本部長の千葉憲昭氏

 近年製造業の課題と言われていることの1つに、ベテランのノウハウをいかに引き継ぐかということがある。匠の頭の中にあるノウハウは、当然データ化はされていない。だが意外にも、ノウハウを形にするためにもデータ分析のテクノロジーは役に立つのだ。日立ソリューションズ東日本  第二ソリューション事業統括本部 ビジネスソリューション本部 担当本部長の千葉憲昭氏は「どう分析するか、どう可視化するかという分析モデルやレポートが、まさにベテランのノウハウそのもの。後世に引き継ぐことにもなるし、海外進出する際にも役に立つ」という。

 実際データ分析をしてみると、約7割はベテランの既知の事実ということもあるそうだ。日本の製造業を押し上げ、支えてきたベテランのノウハウを補完する、あるいは目に見えるようにすることも可能になる。これも現場で分析ができるという環境ゆえの恩恵と言えるだろう。

ビッグデータ活用を支えるIBMのソリューション

 日本アイ・ビー・エム(IBM)と日立ソリューションズ東日本(HSE)は、これまで述べてきたようなビッグデータソリューションと、それを支えるテクノロジーを実際に提供している。

 IBMは膨大なデータを支える基盤として、データベース「DB2」、超高速アナリティクス・プラットフォームを提供している。HSEが2015年2月から提供を開始する、製造、販売、在庫(PSI)を可視化するSynCAS PSI Visualizerのビッグデータ対応エディション「PSI Visualizer Enterprise Edition」(以下、PSI Visualizer)が、IBMの超高速アナリティクス・プラットフォームと連携し膨大なデータの処理を可能としたことでその真価が分かる。

 IBMは、ビッグデータの統計や分析を業務担当者が行えるツールとして「SPSS」も提供しており、国内シェアトップを誇る。さらに分析結果を可視化、共有するビジネス・インテリジェンスとして「IBM Cognos」(以下、Cognos)を用意している。

システム導入に精通したHSE

 HSEは、これらIBMのビッグデータソリューションに精通したソリューションベンダーとして、多くの実績を持つ。「IBMのテクノロジーを使うことで、経営的数値データから販売管理情報までをトレーサビリティで確認しながら俯瞰的見方から現場の管理状況までを把握できるようになる。これにより、経営者が素早く意思決定できる。当社(HSE)では、経営者が現場に精通するための業務サポートを行い、人的スキルをシステム化することで、企業の経営に役立つソリューションを提供する。また、Bluemixを活用し、トライアルから始められるサービスも提供。いきなり大きなインフラを準備し始めるのでなく、まずは、トライ&エラーで要件を詰め、システム化していく環境も整っている。例えば、Cognosのレポートからデータの発生元を完璧に追うことができる。最終的な結果を得るために、データをどのように処理したのかをフローで表示することも可能。当社には、分析モデルや、ETLによるデータ統合のノウハウがある。散在しているデータを統合して分析できる仕組みやサポート体制は整っている」と千葉氏は言う。

 また先に紹介したPSI Visualizerは、製造業のグローバル化に対応したソリューションで、大規模なSKU(Stock Keeping Unit)の在庫調整をタイムリーに把握することができる。膨大なデータ処理に必須となる処理性能は、約9万件のSKUを用いた計算処理で、15倍以上に向上しているそうだ。PSIデータの統合も同社がサポートしてくれるうえ、集計やレポートなどのさまざまなテンプレートも用意されているので導入しやすい。

photo 製造、販売、在庫(PSI)を可視化する「SynCAS PSI Visualizer」と、高機能で使いやすいBIツール「Cognos」を連携

 同製品で特長的なのは、日々のデータの推移を面グラフのサムネイルで表示してくれる機能。何か異常があれば、グラフのシルエットを見るだけですぐ分かる。他にも販売と在庫を2軸とする散布図など、直感的に気付けるような工夫が施されている。西氏は「分析の結果は直感的にとらえてもらわないと意味がないので、インタフェースは重要。現場の業務を知っている人が見れば、ひと目で気付けると思う」という。Cognosと連携させると、日次、月次、年次など、データを多次元で見ることも容易だ。

photo データのさまざまな可視化手段によって分析の結果を現場で直感的にとらえることができる

 製造業の中で、現在ビッグデータの活用が最も進んでいるのは、流行り廃りの速い日用雑貨だそうだ。トレンドを見極めて、何をどれだけ生産するかという判断をスピーディーに、タイムリーに行うことができる。また自動車や家電などの業界でも、品質の向上やトレーサビリティ、保守のタイミングの検知などを中心に、活用が広がっている。西氏は「今後は機械が発信するデータを、次のビジネスにつなげる、あるいはワランティのリスクを防ぐといった、両面のデータ分析が増えてくるのではないかと思っている。モバイル機器の活用により、経営層も、現場の担当者も、リアルタイムにデータを見て判断できる時代が来ている」という。

photo 経営層も、現場の担当者も、リアルタイムにデータを見て判断できる時代が到来する

 実際に他社の事例、他業界の事例を知るには、セミナーを活用するといいだろう。ソリューションを紹介するセミナーでは、デモンストレーションや事例を見ることができるほか、ユーザー会も開催され、各社の「分析自慢」が披露されるそうだ。

 またワークショップ形式で、トレーニングを受けながら自分たちの課題をワークアウトする場も設けられている。データ活用という共通の課題を持ったさまざまな業種の人が参加するので、新たな視点でいろいろな気づきを得られることだろう。

 早速試してみたいということなら、クラウドを利用した環境が用意されているので、大型な投資をする前にどのように活用できるのかを体感することもできる。

 社内に散在しているさまざまなデータは、その現場に最適化されてきた。現在はそれらを統合して、スピーディーに、しかも特別な知識がなくても分析ができる時代が到来している。データの価値、分析の可能性に気付いた人から、新たな世界に踏み出していくことができるのだ。


IBM、IBM ロゴ、ibm.com 、Bluemix、Cognos、DB2およびSPSSは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp. の商標です。
SynCASは、株式会社日立ソリューションズ東日本の登録商標です。

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提供:株式会社日立ソリューションズ東日本
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年1月24日