IoT時代に求められる超低消費電力マイコンMSP430™ 充実したツールによる使いやすさで広い支持

» 2014年03月31日 10時00分 公開
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 産業機器、社会インフラの分野では、これまで個々の機器を制御するためにマイコンが使われてきた。ここ数年急速に盛り上がってきたのは、それらの機器を結合して相互に情報をやりとりできるメッシュ・ネットワークやIoT(モノのインターネット)の技術だ。ここでは、拠点から拠点へ多量の情報を常時流し続ける集中型ネットワークではなく、必要なとき、必要な場所に、必要な情報だけを確実に送る広範囲に分散したネットワークが求められる。

 処理速度やメモリ容量が重視される機器制御の用途では、最近は32ビット・マイコンが主流だ。だが、IoTで求められるものはそれとは違う。簡単には電源が得られない場所も多いので、なるべくわずかな電池で長期間動作する超低消費電力マイコンへの要望は高まるばかりだ。今こそ、性能と消費電力の最高のバランスが得られる16ビット・マイコンが求められている時代だと言える。

 テキサス・インスツルメンツ(TI)の16ビット超低消費電力マイコンMSP430™は、これまで20年近くにわたって、使いやすさと先進的な低消費電力、そして高い信頼性で、産業機器を中心に広い支持を集めてきた。小型・低コストの品種から高機能・高性能の品種まで、幅広いシリーズが展開されている。

 さらに、乾電池1セルで完全に動作する低電圧シリーズ、低消費電力で高速に書き換え可能なFRAMシリーズ、ローパワー無線トランシーバ内蔵のCC430シリーズ、24ビットΣΔADCやオペアンプなどの充実したアナログ内蔵品種など、他のマイコンにはない一芸に秀でた製品がたくさんそろっているのも嬉しいところだ。

バリュー・ライン、USB、FRAM、3つのLaunchPadでらくらく入門

 良いマイコンだと思っても、初めて使ってみる時は何かとハードルが高いものだ。だが、安価で使いやすい評価用ボードが用意されていれば、気軽にその良さを試せるだろう。

 TIではマイコン製品の安価な評価ボードとしてLaunchPad(ローンチパッド)シリーズを取りそろえているが、MSP430用としては、低価格のMSP430 LaunchPadバリュー・ライン開発キット(9.99米ドル)、USBマイコンを搭載したF5529ローンチパッド(無償のUSB APIスタック付きで12.99米ドル)、FRAMマイコンを搭載した超低消費電力Wolverineローンチパッド(LCDブースターパック付きで29.99米ドル)の3つを販売している。これらはUSBケーブルでパソコンに接続すれば、簡単に動作を試すことができる。

図1 MSP430 LaunchPad(ローンチパッド) 図1 MSP430 LaunchPad(ローンチパッド)

 ローンチパッドのソフトウェア開発は、無償版の統合開発環境を利用できる。

 まず、TIではMSP430用の統合開発環境(IDE)としてCode Composer Studio(CCS)を提供している。これは、JavaなどのIDEとして普及しているEclipseベースのIDEで、使いやすさに定評があるものだ。TIのウェブサイトから、無償版(16Kバイトのコード・サイズ制限版または180日間の試用期間制限版)をダウンロードできる。

 また、ツール・ベンダの大手として知られるIAR社でも、MSP430用のIDEとして、IAR Embedded Workbenchの無償版(実行サイズ制限版)を提供している。

 さらに、MSPGCCコンパイラ、Energia(Arduino命令実行環境)などのオープンソース環境も利用できる。

ホップ、ステップ、ジャンプでサポートする3つの無償ツール

 ローンチパッドと無償版のIDEで初めの一歩を踏み出したユーザーが、さらにホップ、ステップ、ジャンプとMSP430を活用していけるように、TIでは、さらに3つの便利な無償ツールとしてMSP430WareGraceULP(超低消費電力)アドバイザを提供している。

 これらのツールはCCSやEmbedded Workbenchに対応しており、そのままシームレスに利用できる(最新版のCCSはMSP430Wareを含む)。また、単独のツールとしても利用可能で、GCCと組み合わせて活用することもできる。

MSP430Ware:すべてのリソースを一か所に

 初めて使う品種のマイコンを開発するためには、データシートなどのドキュメント類、サンプル・コード、ドライバ・ライブラリなどの設計リソースをあちこちから集めてくる必要がある。MSP430Wareは、これらをひとまとめに提供してくれるツールだ。オンラインで自動アップデートして、常に最新の状態に保ってくれるのも便利だ。

 MSP430Wareの特長は、デバイスを決めれば、そこからトップダウンで実行したい作業や必要なリソースを選べるツリー構成になっていることだ。Graceの機能もここから選択できるので、C言語のコードをほとんど書かなくても開発を進められる。

 サンプル・コード、ドライバ、ライブラリを提供するマイコンは多いが、ここまで使いやすくまとめられたツールは少ないだろう。

Grace:グラフィカルに入出力機能を設定

 マイコンは入出力などの豊富な機能をもち、プログラムではそれらを適切に初期設定する必要がある。初めて使う品種では、その負担もとても大きい。初期設定を、コードも書かず、マニュアルも参照せずに直感的な操作で実行できるのが、コード自動生成ツールのGraceだ。AD/DAやカウンタ/タイマの設定を、グラフィカルに簡単に実行できる。

 Graceが生成したコードをユーザー・コードやライブラリと組み合せることで、ソフトウェア開発が容易になる。現在MSP430のG/F2シリーズに対応し、FRAMマイコンFRシリーズなどにも対応する予定だ(図2)。

図2 GraceのADコンバータ設定画面 図2 GraceのADコンバータ設定画面

ULP(超低消費電力)アドバイザ:超低消費電力設計をサポート

 MSP430は低消費電力を最大の特長とする16ビット・マイコンだが、その特長を生かすには、プログラミングにも注意が必要だ。スリープ・モードの活用はもちろん、不要なループやメモリ・アクセスを減らす、未使用I/Oを適切に処理するなど、あちこちで消費電力を切り詰めることが重要だ。

 ULP(超低消費電力)アドバイザは、所定のルールに従ってユーザー・コードをチェックし、むだな電力を消費している部分を検出するツールだ。MSP430の全シリーズに対応している(図3)。

図3  ULP(超低消費電力)アドバイザ 図3  ULP(超低消費電力)アドバイザ

タッチセンサから無線まで、使えば分かる便利なブースターパック

 ローンチパッドのもう1つの特長は、20ピンまたは40ピンの標準コネクタをもっていて、プラグイン・ボードを簡単に載せられることだ。TIやサードパーティでは、静電容量タッチセンサ、温度センサ、モーター制御、LEDマトリクス、LCDパネル、バッテリパックから無線モジュールに至るまで、さまざまなプラグイン・ボードをBoosterPack(ブースターパック)と名付けて販売している。どんなブースターパックがあるかは、TIのウェブサイトのブースターパック紹介ページで簡単に探すことができる。

 例えば、スマートフォンから流行が始まった静電容量型タッチセンサは、ハードウェア構成が簡単なため部品コストを削減できるというメリットがあり、民生機器や産業機器などで幅広く用いられている。しかし、実際の機器にタッチセンサを組み込むには、ハードウェア設計とソフトウェア設計の両方が必要で、決して簡単ではない。

 TIでは、低価格のMSP430 LaunchPadバリュー・ライン開発キットと組み合せて、簡単に静電容量型タッチセンサを試せるMSP430 容量性タッチ BoosterPackを提供している。価格は10米ドルと安価だ。スクロール・ホイールやボタン、近接センサなどを実現する電極を作り込んだボードと、ソフトウェア・ライブラリからなる。

 静電容量型タッチセンサにもいろいろな方式があるが、このMSP430 容量性タッチ BoosterPackの検出方法は、ピン・オシレータ方式だ(図4)。

図4 ピン・オシレータ方式 図4 ピン・オシレータ方式

 この方式は、タッチセンサの容量と、マイコンに内蔵した抵抗で構成したRC発振器を使う。指が電極に触れたり、近づいたりして容量が大きくなると、発振周期が長くなる現象を利用する。MSP430の内蔵のタイマで発振周期を測定すれば、タッチや近接を検出できる。メリットは外付け部品が一切不要な点にある。しかも、消費電力はボタン当たり1.3μAと低い。

 また、プログラミング作業は基本的に不要だ。タッチセンサに向けたソフトウェア・ライブラリがあらかじめ用意されており、これらを組み合わせるだけでプログラムが完成する。この他にも、便利なブースターパックを利用すれば、MSP430のもつさまざまな可能性を簡単に体験することができるだろう。

関連リンク:
TIのマイコン製品の詳細
TI eStore:文中で紹介しているツールをオンラインで簡単に購入
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MSP430Ware
Grace
ULP(超低消費電力)アドバイザ
・「マイコン基礎の基礎」シリーズ
誕生して以来40年ほどの間に、急速に進化と発展を続けたマイコン。知っているようで知らないマイコンのしくみから使いこなしまで、「基礎の基礎」からわかりやすく解説。


※MSP430はTexas Instruments Incorporatedの商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。

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