日立ADの組込み技術が、交通の“安心・安全”を最大限にサポートET2013特別企画ブースリポート(日立アドバンストデジタル)

組込み機器の開発・製品化に精通した経験豊富なエンジニアと確かな技術力で、顧客満足度の高い“モノづくり”を手掛ける日立アドバンストデジタル。同社は、2013年11月にパシフィコ横浜で開催された「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」に出展。「交通(くるま)の安心・安全を支える」をテーマに、車両制御関連技術、カメラ・センサー・認識技術、機能安全の3つを訴求し、多くの来場者の注目を集めていた。

» 2013年12月17日 10時00分 公開
[PR/MONOist]
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 ハードウェア/ソフトウェア/機構設計など、組込み機器の開発・製品化に精通した経験豊富なエンジニア(人材)と確かな技術力で、顧客満足度の高い“モノづくり”を手掛ける日立アドバンストデジタル。

 先の「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」では、「交通(くるま)の安心・安全を支える」をブーステーマに掲げ、“安心・安全を支える組込み技術”として、車両制御関連技術、カメラ・センサー・認識技術、機能安全の3つを訴求し、多くの来場者の注目を集めていた。

最大限の安心・安全を提供する日立ADのモーター制御エンジニアリング

 例年、インパクトのある“魅せる”展示が特徴の日立アドバンストデジタルのブースだが、今回は昨年のET2012で多くの来場者が興味を示していた「コンバートEV」とともに、同じく有志のエンジニアたちが開発した「電動アシスト型車イス」を初披露した。

電動アシスト型車イス 画像1 ハードウェア/ソフトウェア/機構設計に精通した有志のエンジニアたちが開発した「電動アシスト型車イス」

 この電動アシスト型車イスは、ジャイロセンサー、制御部、駆動部から構成されており、インホイールモーターを用いた倒立振子制御(後輪側2つの車輪による姿勢維持)を実現する。さらに、安心・安全を向上させる仕掛けとして、介助者が軽い力で車イスを押せるように、倒立中心から一定範囲の傾斜角度でゲインを下げるような工夫(これを“倒立振子HMI制御”と呼ぶ)を施し、滑らかな走り出しを可能にした。これにより、介助者の体力的な負担となっていた段差乗り越えや坂道、悪路での走行をアシストできる。「通常の車イスでは前輪を持ち上げ、勢いを付けて段差を乗り越える必要があったが、この電動アシスト型車イスであれば、非常に軽い力で乗り越えられる。また、万一、介助者がバランスを崩し、急に前のめりになった場合でもアシスト機能が働き、急発進や転倒などを防止できる」(説明員)。

「電動アシスト型車イス」の車体ウラ面 画像2 「電動アシスト型車イス」の車体ウラ面に搭載されている制御系。メインコントローラは「レゴ マインドストーム NXT」のインテリジェントブロック(ARM7 48MHz)を使用している

 有志として参加したのは、自動車や民生機器、社会インフラなどの組込み機器開発に携わる、ハードウェア/ソフトウェア/機構設計に精通したエンジニアたちだ。彼らは、現状の高齢者向け車イス/電動車イスの課題を解決すべく、自社のモーター制御関連技術を結集して、この電動アシスト型車イスを考案した。

 車体は、通常の車イスと、市販の電動アシスト自転車のインホイールモーターを組み合わせて製作。メインのコントローラは「レゴ マインドストーム NXT」のインテリジェントブロックを使用(ジャイロセンサーもNXTのパーツを転用)している。さらに、インホイールモーターを制御するためのモーター制御用マイコンボードと自作のモーター駆動回路を搭載する。「今回の電動アシスト型車イスのような比較的小さなものからコンバートEVまで、幅広く対応できる柔軟かつ総合的な技術力を武器に、日立アドバンストデジタルは限られたコストの中で、最大限の安心・安全を提供できる」(説明員)。

複数のカメラ映像から死角のない映像を生成し、画像認識も実現!

全周囲ビューワ プラットフォーム 画像3 「全周囲ビューワ プラットフォーム」のデモ環境。展示会場では、ザイリンクスの「Zynq」搭載ボードと、1枚で4台のカメラを接続できる日立アドバンストデジタルの画像処理用拡張ボード(開発中)が用いられていた(画像左手前)。画像右上のディスプレイには、生成された合成映像と画像認識の様子が示されていた ※画像クリックで拡大表示

 さらに、映像・画像解析分野において高い技術力を持つ、日立アドバンストデジタルらしい展示デモを見ることができた。最大8台のカメラ映像を合成して、死角のない状態で全周囲をカバーした俯瞰(ふかん)映像を作り出す「全周囲ビューワ プラットフォーム」だ。カメラ・センサー・認識技術を応用して実現したプラットフォームで、生成された全周囲映像から人や自動車などを検出できる画像認識機能も搭載している。

 展示ブースでは、模型の電車の車内/車外(左右のドア付近)を3台のカメラで撮影し、乗客(人形)の危険状態などを監視するシミュレーションを披露。「画像認識機能により、乗客がどの位置にいるかが分かるので、駅のホームに立つ人が電車に近づき過ぎていないかなどの危険状態を監視できる。これを応用すれば、例えば、電車とホームのすき間に人が落下した際、即座に警報を発したり、ドアの開閉を制御したりといった活用も考えられる」(説明員)。この他にも、自動車の車内/車外の状況確認や店舗/住宅のセキュリティなど、さまざまなシーンで活用可能だ。

 「通常、8台ものカメラ映像を処理するとシステムに大きな負荷が掛かるが、本システムの場合、画像処理は全てハードウェア側で行っているため、高速処理が可能となっている。この全周囲ビューワ プラットフォームは、日立アドバンストデジタルが長年培ってきた、ハードウェア、画像処理アルゴリズム、ソフトウェアの3つのエンジニアリングを融合させることで実現した成果だ。将来的には、カメラだけでなく各種センサーとも連動させ、画像認識の検出精度をさらに向上させていく」と説明員。

1つの映像から複数のシーンを生成する「映像作成システム」

 これに関連し、画像認識アルゴリズム評価用の「映像作成システム」も披露していた。これはカメラを使った自動車の運転支援システムや監視カメラなどに搭載される画像認識アルゴリズムの精度などを検証する際に用いられる“評価用映像”を作るシステムだ。最大の特長は、1つの晴天・昼間の映像から、画像処理でさまざまなシーンを疑似的に作り出すことができる点にある。「画像認識アルゴリズムを評価する場合、通常、雨や霧、夜間などの異なる状況をあらかじめ撮影しておく必要があり、非常に手間が掛かっていたが、本システムであればたった1つの映像から複数のシーンを作り出すことができる。そのため、検証時間の大幅な省力化が期待できる」(説明員)。

映像作成システム 画像4 画像認識アルゴリズム評価用「映像作成システム」のデモの様子。1つの晴天・昼間の映像から「霧」を発生させるなど、さまざまなシーンを生成できる

経験豊富な人材と日立グループのノウハウが「ISO26262」対応を支援

 この他にも、“自動車の安全”という観点から忘れてはならないのが、自動車向け機能安全規格「ISO26262」対応だ。日立アドバンストデジタルは、ISO26262の「自己適合宣言」を行い、社内に専任の安全技術者を配備した機能安全サービスを積極的に展開している。

 ET2013の会場では、ISO26262対応支援ソリューションとして、既存のソフトウェア資産の弱点を可視化する「リファクタリングサービス」、レガシー環境から最新環境への移行を支援する「マイコン置換サービス」、ECUの仮想環境を構築し、実機では困難だった検証を実現可能にする「V2 Cloud」を紹介。熱心に説明員の話を聞く来場者の姿がとても印象的だった。

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提供:株式会社日立アドバンストデジタル
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2014年1月31日

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