東京工業大学(東工大)が「世界トップ10に入るリサーチユニバーシティ(研究大学)」を目指して教育改革推進に乗り出す。学生を“世界で活躍する人材”に育てていくための施策とは?
東京工業大学(以下、東工大)は2013年10月11日、マスコミ向けに説明会を実施。「世界トップ10に入るリサーチユニバーシティ(研究大学)」を目指し教育改革推進に乗り出す東工大の取り組み方針を語った。
イギリスの教育専門誌「Times Higher Education」が毎年公開している世界大学ランキングの2013-2014年度版が先日(10月2日)発表されたが、上位100位の中に日本の大学は東京大学(23位)と京都大学(52位)の2校のみだった。上位200位でも東工大(125位)大阪大学(144位)東北大学(150位)という結果から日本の大学の国際的地位向上が叫ばれている。
東工大の三島良直学長は「これまで東工大は産業界と連携、わが国の企業に科学技術分野での優秀な人材を送り出し、高度成長に寄与してきた。しかし、グローバル化に伴い世界で活躍する人材の育成が急務で、そのためには優秀な学生たちの能力を最大限に生かし、学生を世界で活躍する人材に育てていくための全面的な教育改革が必要となった。日本と世界に貢献する人材を輩出し、教育と研究を通じて国際貢献を行い、結果として“世界トップ10のリサーチユニバーシティ”になることを目標に掲げた」と語る。
三島学長は教育面での具体策として「グローバル社会で活躍する修士人材の輩出」と「世界トップレベル研究者・リーダーとしての博士人材の輩出」を挙げる。
「これらを達成するためには、東工大に入学してきた優秀な学生の意欲・能力を存分に引き出す教育環境を実現しなければいけいない。それには“教育改革”が必要」(三島学長)。
約2年半後の2016年4月(平成28年度)をめどに、教育改革を実施。そのための施策として以下の3点を掲げる。
教育改革後は学生が主体的に学ぶ教育環境を目指し、多様な選択を許容する教育システムを実現していくという。教育改革後の学修課程は、現行の「学部4年制/大学院2年制」から、全学共通の基礎科目を設定。講義科目を学修段階によってナンバリングし、学生は科目の学修順序に従って自由な科目選択が可能となる。
「授業科目を基礎から専門まで振り分けて体系化。学部課程を100〜300番台、修士課程を400〜500番台、博士課程を600番台とすることで、今、自分がどこのレベルにいるかが分かる。達成度の早い学生だったら、3年で修士に入ることも可能」(三島学長)。
また、クォーター制を導入し、教育の密度を高めて学生の成績評価と修了認定を厳格化する他、学生の能力を引き出すため教員による学修支援体制を構築してくという。その他、「海外留学・インターンシップの推進」を掲げ、世界から多様な人材が集う交流拠点形成を図る構えだ。
「学生たちが勉強に燃えるよう意識させるかのキモは、教員が指導に熱意を持ち、学生の気持ちに火を付けることができるかにかかっている。教職員が一丸となって、大学全体でそういう雰囲気にもっていきたい。大学の学生がもっともっと勉強し、大学で何を身に着けたかを重視した教育改革を行っていくので、産業界も大学で何を身に着けてきたかにもっと注目してもらいたい」(三島学長)。
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