便利なマイコンキットkonashiを本格的に使うためのケース・ホルダーを作っちゃおう!面談不要の加工・成形屋さん(7)

今回は、ユカイなモノづくりを目指すロボティクス企業 ユカイ工学が登場! 同社のフィジカルコンピューティングツール「konashi」を楽しく使うためのケース・ホルダーを考えてみた。今回も、プロトラブズの見積もりサービスが活躍する!

» 2013年05月29日 10時00分 公開
[PR/MONOist]
PR

 「ユカイなモノづくりで世界をユカイにしたい」というユカイ工学。同社が最も得意とするのは、ロボティクスだ。東京大学発のベンチャー企業であるチームラボを立ち上げた青木俊介氏が2007年に設立。2010年に株式会社化した、若く小さな企業だ。

 同社では、「konashi(こなし)」「Coconatch(ココナッチ)」のような独自開発する自社製品もあるが、「チームラボハンガー」のように外の企業や組織と共同で取り組む、あるいは企業から持ち込まれた案件相談に対応する(請負)ことも多いという。

 製品開発においては、電子回路やソフトウェアだけではなく、カッコいいあるいはかわいい外見を備えていることも大事である。そこで意匠・筐体設計をメインで担当するのが、ユカイ工学のデザインディレクター 小島拓也氏だ。美大卒ながら、機械設計や3次元CADのスキルを持つ異色な存在。機械設計関連のスキルは、卒業後に業務を通じて習得してきたという。

ユカイ工学 デザインディレクター 小島拓也氏

 どんなプロジェクトに取り組む際も、予算や時間は常に限られている。ときには「2日で設計案を幾つかください!」という場合もある。自社には3次元CADも3Dプリンタも備え、急な設計案件相談にも対応できる体制にしている。しかし当然ながら、機能部品試作や金型試作など、自社の3Dプリンタでは検討できないことがたくさんある。そこで、小島氏が日頃から活用してきたのがプロトラブズだ。

「プロトラブズのWebサイトから見積もりを依頼すると、すぐに(数時間程度で)返答があってありがたいです。社内のエンジニアに製品について説明したいときに、見積もり額を具体的な数字ですぐに示せる点もよいですね」(小島氏)。

konashiケースを作ってみたい

 konashiは、ユカイ工学が開発・販売するフィジカルコンピューティングツールだ。iOSのソフトウェアさえ作れれば、ファームウェア(マイコン)のプログラミングをしなくても、iPadやiPhoneと連携させるガジェットが簡単に作れる。Bluetoothとボタン電池を備えているので、端末に配線する必要がない。iPadやiPhoneを利用した楽しいガジェットがいろいろ作れる。

konash
konashiとは?(monakaは発売当時の名称。その後konashiに変更された)

 konashi自体は、上記のような電子基板だ。そこで今回、小島氏はkonashiを楽しく使うためのケース・ホルダーを企画した。最初に考えたのは、5案。「工作に便利なもの」や「面白ガジェット」など用途がさまざまだ。今回は、これらの案から1案に絞り込み、自社製品として販売するところまで、プロトラブズを上手に活用しながら検討していく。本記事では企画の絞り込みまでとし、小ロット生産の検討過程は次回で紹介する。

【A案】「控えおろう!」な印籠型

A案の設計案

A案の3次元モデル

 「印籠型」は、konashi本体をケースに閉じ込めるタイプだ。水戸黄門が構える印籠のように、上下のケースをひもで固定するものだ。ただし、この案を見た社内のエンジニアから、「センサーやコードをkonashiにつなげたい場合、筐体で閉じ込めない方が便利そう」という意見をもらう。確かに、konashiに何も部品を付けずに使うことはなさそう。

【B案】樹脂の弾力で基板を固定

B案の3次元モデル

 ねじを使わずにKonashi本体をホルダーに固定することができるモデル。樹脂の弾力を利用している。でも……、いまいち製品にインパクトが感じられない。便利なだけか。このホルダーを工作物に固定するねじ穴がないのも、なんだか面倒な感じがする。

【C案】ねじ穴なしで工作物に固定できる

C案の3次元モデル

 こちらもkonashiを自分の工作物に固定するためのホルダー。パチッとラッチだけで固定するだけの案も考えてみた。ただやはり、B案同様に、どうもインパクトが……。それなりに需要はありそうだけれど。

【D案】「楽しい工作シリーズ」とシナジー

D案の3次元モデル
D案の設計

ユニバーサルプレートに固定したD案試作:ユカイ工学社内にある3Dプリンタで試作した部品

 B・Cと同様に、konashiを自分の工作物に固定できるホルダーの案だが、タミヤの「楽しい工作シリーズ」が活用できるというもの。このパーツは、同シリーズ「ユニバーサルプレート」と簡単に固定できるもの(オレンジのピンは同製品の付属品)。同シリーズは、ユニバーサルプレートのような工作ビギナーも簡単に工作ができるパーツがいろいろそろっているので、konashiとのシナジーで作り手の想像力を刺激できそうだ。

【E案】地震速報アプリ連動非常灯

 上記の案とは違う、ガジェット的な案。地震速報を受信すると、明かりが点灯する。非常灯としても使える。「懐中電灯を横から見たシルエット」を筐体の形状のモチーフにした。面白そうだけれど、筐体の金型サイズが大きくなってしまう……。これはコストに響きそうだ。

 小島氏は、上記の中から最も実現が現実的な「D案」に絞り込んだ。2部品×2組を1セットとした。部品形状はできるだけシンプルに、小さくなるようにした。金型が増えないように、部品の種類も減らした。

D案の部品(1組分)の3次元モデル

 さて、小島氏はその筐体を早速プロトラブズの見積もりサービス「ProtoQuote」に送ってみた。数時間ほどで返ってきた結果の1つが下記である。材質は、ABS(ナチュラル色)とした。

D案部品の見積もり

 その結果を受け、さらにコストダウンするために、上記の案の部品寸法を小さくしてみた。部品をもっと低くするため、ボスではなく、ねじ止めに変更した。材質は、PP(ナチュラル色)に変更。さらに、希望納期をメニューで10営業日から15営業日へ変更したら、さらに安くなった。その結果が以下。

D案部品(改)の見積もり

 修正前と比べ、金型費用がトータルで4万円ぐらい安くなった。しかし、まだ射出成形のことは考慮しきれていない形状なので、もっとコストダウンの余地がありそうだ。

 今回は採用を見送ったが、デザイン的にはかわいい印籠型「A案」の部品も、一応見積もりしておこう。

A案のボディ部見積もり:裏・表で同じ部品を使う。

A案のフタ部見積もり

 案の定、ボディ部の金型費用だけで約36万円と、それなりのお値段に……。こちらは参考見積もりとして取っておく。今後、もしA案を基にした企画が実現できる機会があれば、そのタイミングで活用する。そのときがきたら、またコストダウンを検討しよう。

このように、「すぐには作らないけれど、念のため見積もりしておきたい」ときにも、「見積もりしたい放題」なプロトラブズのサービスは気軽に使える。見積もり費用は一切発生しないし、その後の発注も必須ではない。

 次回の本シリーズの記事では、konashiケースD案の小ロット生産を実際に検討していく。


この記事に興味のある方におすすめのホワイトペーパー


= 3Dプリンタも比較!試作の手法 - 材料、仕上がり、強度からメリット・デメリットを探る =


3Dプリンタ、光造形、切削加工、短納期射出成形などさまざまな試作手法がある。当ホワイトペーパでは各種手法の概要、メリットとデメリット、材料の特性、仕上がり、強度などについてまとめ、比較表も掲載。開発に携わる幅広い対象に向けたホワイトペーパである。

▼ ▼ ▼

3Dプリンタも比較!試作の手法 − 材料、仕上がり、強度からメリット・デメリットを探る


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:プロトラブズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2013年6月28日

提供

シリーズ「面談不要の加工・成形屋さん」

MONOistの記者が、iPadスタンド作りにチャレンジ! Web上の加工・成形屋 プロトラブズの見積もりサービスで、自分が作ってみた、ちょっといいかげん(?)なモデルが切削加工でいくらになるのか試してみた。

MONOistの記者が、iPadスタンド作りにチャレンジするシリーズ。今回は、“本職の設計者”という素晴らしい助っ人をゲット! また今回もWeb上の加工・成形屋 プロトラブズの見積もりサービスを使いまくった。

今回は「一人家電メーカー」として注目を集めるビーサイズ 八木啓太氏が登場! 同社のLEDデスクライト「STROKE」や新製品でも、小ロット生産を力強くバックアップするプロトラブズのサービスが活躍していた。どんどん見積もりして部品のコストダウンや納期短縮をかなえるという、八木流プロトラブズ活用法とは? 八木氏の設計した製品の実際の見積もり詳細情報も公開!

今回は、MONOist「メカ設計フォーラム」でおなじみの「甚さん&良くん」コンビが登場! カッコイイ!? チャリティーグッズの設計にチャレンジだ。プロトラブズの見積もりサービスで樹脂部品設計を支援。

「世の中に物を送り出す」ビジネスは、「世の中自身」も作る。その役割が、いま個人や小規模グループにもゆだねられる時代がやってくる。今や誰もが作り手(Makers)になれる。しかし物を作るだけではなくて、メーカーとしてビジネスがしたい。そう考えたときには、3次元プリンタだけでは難しい。そこで活躍するのがプロトラブズのサービスだ。

モノづくりのプロにとっても樹脂パーツの小ロット生産をリーズナブルなコストで、しかも短納期でやるのは悩みの種。3次元プリンタでは実際の材料を使えないし、単価が高すぎて必要数量を作れない。でも普通に従来の量産射出成形を検討すれば時間もかかる。ニーズはあるのに1万個以下ではほとんど対応してくれるところがない……。でも、今までそんな谷間だった領域のパーツの製造が可能なサービスがある。