今回は、ユカイなモノづくりを目指すロボティクス企業 ユカイ工学が登場! 同社のフィジカルコンピューティングツール「konashi」を楽しく使うためのケース・ホルダーを考えてみた。今回も、プロトラブズの見積もりサービスが活躍する!
「ユカイなモノづくりで世界をユカイにしたい」というユカイ工学。同社が最も得意とするのは、ロボティクスだ。東京大学発のベンチャー企業であるチームラボを立ち上げた青木俊介氏が2007年に設立。2010年に株式会社化した、若く小さな企業だ。
同社では、「konashi(こなし)」「Coconatch(ココナッチ)」のような独自開発する自社製品もあるが、「チームラボハンガー」のように外の企業や組織と共同で取り組む、あるいは企業から持ち込まれた案件相談に対応する(請負)ことも多いという。
製品開発においては、電子回路やソフトウェアだけではなく、カッコいいあるいはかわいい外見を備えていることも大事である。そこで意匠・筐体設計をメインで担当するのが、ユカイ工学のデザインディレクター 小島拓也氏だ。美大卒ながら、機械設計や3次元CADのスキルを持つ異色な存在。機械設計関連のスキルは、卒業後に業務を通じて習得してきたという。
どんなプロジェクトに取り組む際も、予算や時間は常に限られている。ときには「2日で設計案を幾つかください!」という場合もある。自社には3次元CADも3Dプリンタも備え、急な設計案件相談にも対応できる体制にしている。しかし当然ながら、機能部品試作や金型試作など、自社の3Dプリンタでは検討できないことがたくさんある。そこで、小島氏が日頃から活用してきたのがプロトラブズだ。
「プロトラブズのWebサイトから見積もりを依頼すると、すぐに(数時間程度で)返答があってありがたいです。社内のエンジニアに製品について説明したいときに、見積もり額を具体的な数字ですぐに示せる点もよいですね」(小島氏)。
konashiは、ユカイ工学が開発・販売するフィジカルコンピューティングツールだ。iOSのソフトウェアさえ作れれば、ファームウェア(マイコン)のプログラミングをしなくても、iPadやiPhoneと連携させるガジェットが簡単に作れる。Bluetoothとボタン電池を備えているので、端末に配線する必要がない。iPadやiPhoneを利用した楽しいガジェットがいろいろ作れる。
konashi自体は、上記のような電子基板だ。そこで今回、小島氏はkonashiを楽しく使うためのケース・ホルダーを企画した。最初に考えたのは、5案。「工作に便利なもの」や「面白ガジェット」など用途がさまざまだ。今回は、これらの案から1案に絞り込み、自社製品として販売するところまで、プロトラブズを上手に活用しながら検討していく。本記事では企画の絞り込みまでとし、小ロット生産の検討過程は次回で紹介する。
「印籠型」は、konashi本体をケースに閉じ込めるタイプだ。水戸黄門が構える印籠のように、上下のケースをひもで固定するものだ。ただし、この案を見た社内のエンジニアから、「センサーやコードをkonashiにつなげたい場合、筐体で閉じ込めない方が便利そう」という意見をもらう。確かに、konashiに何も部品を付けずに使うことはなさそう。
ねじを使わずにKonashi本体をホルダーに固定することができるモデル。樹脂の弾力を利用している。でも……、いまいち製品にインパクトが感じられない。便利なだけか。このホルダーを工作物に固定するねじ穴がないのも、なんだか面倒な感じがする。
こちらもkonashiを自分の工作物に固定するためのホルダー。パチッとラッチだけで固定するだけの案も考えてみた。ただやはり、B案同様に、どうもインパクトが……。それなりに需要はありそうだけれど。
B・Cと同様に、konashiを自分の工作物に固定できるホルダーの案だが、タミヤの「楽しい工作シリーズ」が活用できるというもの。このパーツは、同シリーズ「ユニバーサルプレート」と簡単に固定できるもの(オレンジのピンは同製品の付属品)。同シリーズは、ユニバーサルプレートのような工作ビギナーも簡単に工作ができるパーツがいろいろそろっているので、konashiとのシナジーで作り手の想像力を刺激できそうだ。
上記の案とは違う、ガジェット的な案。地震速報を受信すると、明かりが点灯する。非常灯としても使える。「懐中電灯を横から見たシルエット」を筐体の形状のモチーフにした。面白そうだけれど、筐体の金型サイズが大きくなってしまう……。これはコストに響きそうだ。
小島氏は、上記の中から最も実現が現実的な「D案」に絞り込んだ。2部品×2組を1セットとした。部品形状はできるだけシンプルに、小さくなるようにした。金型が増えないように、部品の種類も減らした。
さて、小島氏はその筐体を早速プロトラブズの見積もりサービス「ProtoQuote」に送ってみた。数時間ほどで返ってきた結果の1つが下記である。材質は、ABS(ナチュラル色)とした。
その結果を受け、さらにコストダウンするために、上記の案の部品寸法を小さくしてみた。部品をもっと低くするため、ボスではなく、ねじ止めに変更した。材質は、PP(ナチュラル色)に変更。さらに、希望納期をメニューで10営業日から15営業日へ変更したら、さらに安くなった。その結果が以下。
修正前と比べ、金型費用がトータルで4万円ぐらい安くなった。しかし、まだ射出成形のことは考慮しきれていない形状なので、もっとコストダウンの余地がありそうだ。
今回は採用を見送ったが、デザイン的にはかわいい印籠型「A案」の部品も、一応見積もりしておこう。
案の定、ボディ部の金型費用だけで約36万円と、それなりのお値段に……。こちらは参考見積もりとして取っておく。今後、もしA案を基にした企画が実現できる機会があれば、そのタイミングで活用する。そのときがきたら、またコストダウンを検討しよう。
このように、「すぐには作らないけれど、念のため見積もりしておきたい」ときにも、「見積もりしたい放題」なプロトラブズのサービスは気軽に使える。見積もり費用は一切発生しないし、その後の発注も必須ではない。
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次回の本シリーズの記事では、konashiケースD案の小ロット生産を実際に検討していく。
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提供:プロトラブズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2013年6月28日
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