モノづくりのプロにとっても樹脂パーツの小ロット生産をリーズナブルなコストで、しかも短納期でやるのは悩みの種。3次元プリンタでは実際の材料を使えないし、単価が高すぎて必要数量を作れない。でも普通に従来の量産射出成形を検討すれば時間もかかる。ニーズはあるのに1万個以下ではほとんど対応してくれるところがない……。でも、今までそんな谷間だった領域のパーツの製造が可能なサービスがある。
*編集部注:本記事は(プロトラブズ以外)フィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
当間製作所は主力事業が通信機器のOEMとサブアセンブリの製造で、従業員数は200人ほどの企業だ。やり手社長と堅物技術部長とで、経済不況も、最近まで続いた円高も、通信機器コンポーネントの多機能化と改善対策で「何のその」と乗り越えてきた。
ある日突然、社長は会長に退くやいなや「後は任せた」と、長男に経営を預け、海外放浪に旅立ってしまった。
こんな置き手紙を残して……。
何て無茶ぶり……。
そうは言いながら、今まで必死にやってきた父を喜ばせたいと思う当間太郎だった。
作ってみたいものはあった。しかし技術面で支えてくれるオールマイティーな人間が必要だ。そこで声を掛けたのが、当間の大学時代の旧友 クリス。日本のカルチャー(特にアニメ)が大好き過ぎるあまり、日本で長年暮らす米国人技術者だ。
まるで「MAKERS」ダ。
しかも、かなりマジな、ね。
わくわくシマス。
彼は2つ返事で賛同。勤めていたメーカーを退職し、当間製作所に入社してくれた。――2人が臨んだのは、「最終製品メーカーになること」。長年、大手メーカーの下請けとしてやってきた同製作所にとって初めての取り組みだ。
それから半年後のことだ。
おい、クリス。例の樹脂パーツの試作はどうだい?
切削加工で作ったヤツですネ。ボクが作ったのでバッチリデス。既に他の部品と組み合わせて機能も確認してマス。やっぱり今までのカクカクした板金パーツと違って、樹脂パーツは、角が取れてスムーズでカッコイイデスネ!
さすが!
デショー?
相変わらず調子いいヤツだなー。まあいいや。そこまで確認できたとして、今度は量産のことを考えないと。そっちは、どうなってる?
ソレがですネー……、ガックリしたデス。
見かけも頭もスマートなクリスが、珍しく頭を抱えている。今回計画した製品は、ニッチな市場を狙う。数は、取りあえずテストマーケット用に初期ロット50個。製品の末端価格を3万9800円と想定して、損益分岐ロット数を500個としてるので、この樹脂パーツの加工に割ける費用は80万円弱……。
樹脂の量産射出成形部品の開発が初めてだったクリスは、近所の射出成形工場のオヤジに相談しにいったものの、「ってやんでぇ〜い、足が出ちまうわ、べらんめぇ」と一喝(かつ)され、追い返された。クリスはすぐに気を取り直して、いくつかの会社に電話を掛けて見たものの……、その個数とその予算では、けんもほろろだった。
当間は、ニヤニヤしていた。
クリスは案外抜けてるところあるよねー。
むっ。ドーユーこと?
プロトラブズを知らないの? 短納期の射出成形と切削加工をやってくれる会社さ。お前の故郷(米国)に本社があるんだ。展示会で見掛けてから気になってて、少し調べてみた。インターネットのやり取りでだけで完結するらしい。メールでURLを送っておくよ。
すぐ確認しマス。
よろしく頼む。
あ、もう1つだけよろしいですカ?
何?
「べらんめぇ」って、ドーユー意味デスカ?
甚さんにでも聞いてくれ……。
最近、試作や小ロット製造が増えている。とにかくスピードが求められるなら3次元プリンタもありだが、リアルな材料で試作をするのであれば切削加工だ。さて、問題はそこから先だ。ビジネスとして成り立たせるためには、小ロット生産が必要になる。製品の単価にもよるが、50〜1000個という数だと切削加工ではパーツの単価が合わない。かといって、この数では従来の量産射出成形メーカーは対応してくれない。
さらに、2次元図面を作成して、それを見ながら打ち合わせして、要求を伝え、見積もりをもらい、やっと製造に掛かって……ということをやっていれば、1カ月以上の納期がかかることだって珍しくはない。2人は当然、この件だけをやっているわけではない。本業の通信機器の部品製造だっておざなりにできない。だけど父親が戻ってくる前には……。時間が惜しい。
このような設計者の悩みを解決するのが、プロトラブズの「Protomold」「Firstcut」だ。Protomoldは短納期の射出成形サービス、Firstcutは同じく短納期の切削加工サービスだ。ということで、早速、クリスに「Protomold」使ってもらおう。
クリスは早速、当間から教えてもらったプロトラブズのWebサイトにアクセスした。そこで彼が見たものは……。
「最短1日でできる」? 「見積もり回答平均3時間以内」? ウッソー?
クリスは早速、部品ファイルをサービスにアップロードしてみた。ファイルフォーマットはIGESやSTEPといった中間ファイルフォーマットだけではなく、SolidWorksやAutodesk Inventorなどのネイティブのファイルフォーマットも対応する。
――そして、4時間後……。本業の通信機器設計に集中していたクリスが、ふと電子メールを確認すると、もうプロトラブズからメールが来ていた。メールに記述されたリンクをクリックすると見積もりが現れた。まず、目が行ったのが価格だ。サンプルパーツ50個で金型費用を含めても54万8000円と予算の範囲に収まった。材料を変えても問題ないようだ。
トーマさん、これ、いけマスヨ! 見テ、この金額。急いで5営業日にしても65万円ダッテ!
おい落ち着け。これ見てみろ。
当間が示したのは「要設計変更」の文字。慌てて見積もりの中にある3次元ビューワを見ると、問題の箇所が赤や黄色で表示されている。アンダーカットや抜き勾配の問題があるようだ。
ショック。修正が結構アル。
樹脂パーツの設計は今回が初めてなんだろ? 仕方がないよ。でも直すの大変だな。もう少し詳しい説明があるといいな。
そのとき、机の電話が鳴った。クリスは、ハッと我に返って電話を取る。
え? プロトラブズさん?
見積もりが届いた後は、プロトラブズの担当者と電話で話すことができる。「インターネット上で全ての流れが完了」というと、ちょっと冷たい感覚を抱くかもしれないが、それは違うのだ。見積もりそのものに対する不明点はもちろん、そのパーツの用途、設計上特に気にしていることなどを担当に伝えれば、加工の観点から形状修正について相談に乗ってくれる。その上で、「どのように設計変更をするか」判断できるため、より短時間で最終的な形状まで固められる。
過去のユーザーには、射出成形の筐体設計自体が全く初めてだったのに、プロトラブズとのやり取りを何回か繰り返したことで、パーツの機能性を満たして成形性も満足できるものを設計した人までいるらしい。
スマートなクリスは、プロトラブズとやり取りしながら的確に形状を修正していった。彼が気に入ったのは、「何度やっても見積もりが無料なこと」「前回のエラーを修正したモデルをアップしてすぐに新しい結果が確認できること」。さらに、この見積りには「ProtoFlow」という樹脂の流動解析ツールがあり、樹脂の充填具合も一目りょう然だ。
何回かのやり取りの後、ついに成形性をしっかり考慮したパーツ形状が出来上がった。
いいね。これで発注だ!
OK!
――そして10日後に無事、50個のパーツが届いた。
この樹脂カバーは、クリスが予想した通り機能したので、早速他の部品を組み込んで最終製品を完成させた。この50個をテストマーケットしたところ、2週間で早速販売予約がいっぱいとなり、追加で450個発注。これも、プロトラブズで10営業日と即座に対応できた。
プロトラブズは、生涯ロット数などを確約することなく、必要な数を必要なときにつくってくれるオンデマンド生産なので、マーケットの需要に合わせた柔軟な生産が行える。まさに在庫レスのビジネスモデルが可能になる。
こんなにうまくいくなんて……、涙出てきまシタ。
大げさだなぁ。
かくして当間とクリスは、当間父の指令(!?)実現に向けての第一歩を踏み出したのだった。
キャラクター原案・本文:水野操(テクノロジーコラムニスト/3D-GAN)/イラスト:しば
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提供:プロトラブズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2013年5月1日
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