「高機能グラフィックスLSIは組み込み機器でこう使う」――アクセルが最終製品をイメージした体験型デモを披露ET2012特別企画ブースリポート(アクセル)

アミューズメント機器市場で業界トップクラスのシェアを誇る、国産グラフィックスLSIベンダーのアクセルは、「AG-9」「AG10」を主軸に“高精細・多画面表示”という新たな付加価値を組み込み機器市場でも展開する。2012年11月に開催された「Embedded Technology 2012」(以下ET2012)では、迫力の体験型デモを通じ、高機能グラフィックスLSIが創り出す“次世代組み込み機器の在り方”を提示した。本稿ではその模様をリポートする。

» 2013年01月07日 10時00分 公開
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リッチなユーザー体験を演出する多画面制御ソリューション

 x86系PCアーキテクチャで構成される組み込み機器での利用を前提に開発された、アクセルのグラフィックスLSI「AG10」をご存じだろうか。「AG10」は、超低消費電力かつ高性能グラフィックス処理を可能にし、最大4チャネル同時に映像信号を出力できる「マルチディスプレイ(多画面表示)機能」を備えた、同社のグラフィックスLSIである。

 ET2012のアクセル・ブースでは、この「AG10」を搭載したグラフィックスボードを2枚挿した制御用コンピュータを用い、横断幕のようにずらりと横方向に並べられた8台もの720pディスプレイ(解像度1280×720)を統合制御する大迫力のデモンストレーションが披露された。このデモシステムは、アミューズメント施設、商業施設向けの設備や大型のデジタルサイネージなどを想定したもので、展示会場では、8台のディスプレイ全体に1つの映像コンテンツをダイナミックに再生したり、ディスプレイごとに映像コンテンツを表示させたりといった実演を行っていた。

8画面表示デモ 画像1 「ET2012」アクセル・ブースにおける「AG10」の8画面表示デモの様子。8台のディスプレイによる超パノラマ映像はものすごい迫力!! 画面内にある火山の活動が激しくなり大爆発、その後、火口に入って行くと宝物が見つかるという“盛り上げ演出”を見ることができた。

 従来のアミューズメント施設や商業施設などでは、紙のポスターや掲示板などで情報を告知したり、ランプのような点灯装置などでお知らせや演出をしたりするといった手法がとられている。そういったものを全てディスプレイに置き換えることで注目度を高め、より新しく、詳細な情報を利用者に届けられるようになる。特に、アミューズメント施設では利用者の“体験”が非常に重要である。そういった意味で、複数ディスプレイによるリッチな映像演出は効果的だ。実際、今回のデモを目の当たりにすると、連続横置き8画面という臨場感たっぷりの超パノラマ映像のインパクトは強く、まさに“空間演出”、“エンターテインメント”といえるものに仕上がっていた。

生産ラインにも高精細・多画面表示による付加価値を

 その隣では、「AG10」を使った応用例として、工場内の生産ラインにおける欠品検出をイメージしたデモを披露していた。ベルトコンベアに見立てた円形のターンテーブルの上にある“部品(ゴルフマーカー)”をカメラで撮影し、その画像をリアルタイム解析しながら“不良品(デザインミスのもの)”を瞬時に検出。そして、その様子や結果などを4台のディスプレイに表示するというデモシステムだ。

工場の生産ラインをイメージしたデモ 画像2 工場の生産ラインをイメージしたデモ。左のターンテーブル上に部品が乗っており、部品が流れている様子を欠品検出用カメラで撮影している。右手の4台のディスプレイにそれぞれ情報を表示することで、画面切り替えなしにさまざまな状況をすぐに把握できる。

 一般的な工場の生産ラインに使われている制御用コンピュータの場合、接続されているディスプレイは、解像度もVGAやXGA止まりであり表示される情報量も少なく、ディスプレイ1台で複数画面を切り替えて運用するケースもあるという。こうした部分に高精細・多画面表示が可能な「AG10」が生きてくる。このデモシステムのように、4台の高解像度ディスプレイを用いて、“生産ライン全体の様子”、“カメラからのリアルタイム画像”、“不良品と判定された部品のアップ”、“予定生産数や達成数、不良品数などの一覧”を切り替えなしに同時出力できるのだ。

 組み込み機器、特にFA装置などでは、高精細表示に対応したいという流れは確実にあり「AG10」が採用される機会が増えてきている。アクセルはFA分野に対しても、高精細化ニーズに対応しつつ、多画面表示の利点も併せて提案していきたい考えだ。

サイネージ機能を付加した次世代自販機

 さらにアクセルは、汎用マイコンと組み合わせることができる、組み込み機器向けグラフィックスLSI「AG-9」シリーズ(AG901/AG902)についても、その応用例を示していた。展示会場では、AG-9シリーズ「AG902」が実際に採用されている液晶ディスプレイ付き自動販売機を、さらに応用・発展させ、付加価値を持たせた「災害対応型デジタルサイネージ機能搭載自動販売機」のデモを披露した。

災害対応型デジタルサイネージ機能搭載自動販売機 画像3 「災害対応型デジタルサイネージ機能搭載自動販売機」は、ジャスチャー操作だけで飲料を購入(デモシステムでは購入後のレシートを印刷)できる。災害時モードになると、飲料画像の下に災害時の緊急避難先情報などが表示される。

 この自動販売機は、正面に大画面ディスプレイ、その上下にカメラを備えている。大画面ディスプレイには、販売する商品(飲料)画像と天気予報などの情報が表示される。商品の購入は全てジャスチャーで行う。利用者は、ディスプレイ正面に立って、手を伸ばすような動きで目的の商品の画像を選ぶ、そして、その商品のところで握りこぶしを作ることで「購入」することができる。利用者の手の動きを自動販売機の下部にあるカメラが検出し、画像解析でジェスチャー動作を認識する仕組みだ。

 また、災害時機能として、自動販売機の上部に付いているカメラで周辺の状況を撮影し、デジタル簡易無線を通じて本部PCに送信するデモも実演していた。デジタル簡易無線の場合、通信コストは掛からないが、帯域幅が狭い。そこで、デモシステムでは、アクセルの100%子会社であるニューゾーンの画像圧縮技術を使って、撮影画像を狭帯域向けに最適化して送信している。また、本部PCで入力した最寄りの避難所情報の地図画像などを自動販売機に対して送信し、大画面ディスプレイに表示するといった機能も備えている。



 ET2012アクセル・ブースでは、同社の高機能グラフィックスLSIがもたらす“高精細・多画面表示”という付加価値を、組み込み機器にどう展開すべきか、その“解”を同社自身が最終製品をイメージしたデモシステムで示していた。今回の取り組みを通じ、次期製品開発のヒントを感じ取っていただければ幸いだ。――“高精細・多画面表示”への関心は増すばかり。今後もアクセルの躍進は止まることはないだろう。


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提供:株式会社アクセル
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2013年2月6日

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