「Armadillo」シリーズは、次の10年に向け新たな進化を遂げた――。ルネサス エレクトロニクスの最新プロセッサ「R-Mobile A1」を採用した「Armadillo-800」シリーズは、組み込み機器の可能性をさらに広げる。用途を“特化”した第1弾製品「Armadillo-810」は、“撮る”だけでなく、“考える”を実現する「インテリジェントカメラ」向けの組み込みプラットフォームだ。
「われわれの使命は、ハードウェア/ソフトウェア含め、きちんと動く“プラットフォーム”をお客さまに提供することだ」――。こう語るのは、試作開発から量産まで幅広く対応可能な小型組み込みプラットフォーム製品「Armadillo」シリーズを手掛ける、アットマークテクノの代表取締役 実吉智裕氏だ。この言葉には、単なる組み込みボードとしてではなく、購入後すぐに開発をスタートでき、製品化を加速させるためのベースとなるものを提供したいという強い信念が込められている。
ご存じの通り、省電力でエコ、屋外環境や産業用途でも安心の幅広い動作温度範囲、そして、その汎用性の高さや開発のしやすさから、Armadilloシリーズは、さまざまな組み込み機器に採用されてきた。そんなArmadilloシリーズが、今、さらなる進化を遂げようとしている。
アットマークテクノは「次の10年に向けての大きなステップ」として、2012年初頭から、ルネサス エレクトロニクス製の最新アプリケーションプロセッサ「R-Mobile A1」をいち早く評価できるボード「Armadillo-800 EVA」を提供。そして、さまざまな用途・機能に“特化”した、量産可能な組み込みプラットフォーム製品「Armadillo-800」シリーズの展開を予告していた。その具体的な製品が、2012年11月14〜16日の3日間、パシフィコ横浜で開催された「Embedded Technology 2012/組込み総合技術展」でベールを脱いだのだ。
Armadillo-800シリーズの第1弾製品となるのが「Armadillo-810」である。Armadillo-810は、R-Mobile A1を搭載した5cm×5cmの超小型「CPUボード(Armadillo-810 量産ボード)」に、同サイズのシキノハイテック製「CMOSカメラモジュール」(VGAサイズ:640×480ピクセル)と、USBホスト機能やSDメモリーカードスロット、GPIO、DCジャックなどを搭載した「拡張ボード」をBtoBコネクタ(基板間コネクタ)で接続することで、“撮る”だけでなく“考える”を可能にする「インテリジェントカメラ」向け組み込みプラットフォームだ。
“撮る”“考える”を実現するポイントの1つが、R-Mobile A1の採用だ。R-Mobile A1は、高性能・低消費電力が特徴のメインCPU「ARM Cortex-A9(792MHz)」と、画像・音声処理などのリアルタイム制御用CPU「SH-4(594MHz)」を搭載しているため、従来の組み込み機器でパフォーマンスを出すことが難しかった、撮影画像のリアルタイム解析・分析や情報合成などを実現できる。
もう1つのポイントが、「ハードウェアだけでなく、インテリジェントカメラ向けに特化した各種ミドルウェアにも対応している」(実吉氏)点だ。具体的には、コンシューマ製品などで採用実績のある沖電気工業(OKI)製の顔認識エンジン「FSE(Face Sensing Engine)」や、日立超LSIシステムズ製のリアルタイム・オーガナイザ(SH-4上で動作)をコアとした「AVコーデックミドルウェア」(JPEG/H.264/AACエンコード)、画像処理・認識に特化したオープンソースライブラリ「OpenCV」などをサポートする。こうした面からも、購入後“すぐに使える・きちんと動く”というArmadilloシリーズの精神がしっかりと引き継がれているのが分かる。
R-Mobile A1の採用により、Armadilloは大きな進化を遂げ、小型の組み込み機器で実現できることの幅を大きく広げた。新生Armadilloの第1弾製品となるArmadillo-810では、インテリジェントカメラに特化させることで、その可能性を分かりやすく示している。
フルセットの「Armadillo-810 カメラモデル開発セット」(税込み価格:5万2500円)は2013年1月に発売予定。以降、CPUボード単体の「Armadillo-810 量産ボード」(オープン価格)、拡張ボードやカメラモジュールなどの量産オプションが順次発売される。また、Armadillo-800シリーズの第2弾製品である画面出力・表示機能に特化した「Armadillo-840」の登場も控えている。こちらは、HDMI接続による外部ディスプレイへの映像出力(Full HD:1920×1080ピクセル)などに対応する製品で、「新たに標準GUI環境として、注目の『Qt 5』を採用(予定)し、アプリケーションの開発のしやすさが格段に向上している」(実吉氏)という。引き続き、Armadillo-800シリーズの今後の展開に注目してほしい。
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提供:株式会社アットマークテクノ
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2012年12月31日
アットマークテクノは、先日発表したインテリジェントカメラ向けプラットフォーム「Armadillo-810」に続く、“特化”が特徴の組み込みプラットフォーム製品の第2弾、「Armadillo-840」を発表した。小型のデジタルサイネージ端末やセットトップボックスなど、画面出力機器向けだという。
アットマークテクノは、カメラ本体にプロセッサを搭載し、撮影から一定の画像処理までをカメラ本体側で行うことができる、“インテリジェントカメラ”向け組み込みプラットフォーム「Armadillo-810」を発表。開発セットを2013年1月に発売する。
「Embedded Technology 2012」におけるアットマークテクノのテーマは、「インテリジェント&エコ」だ。新製品「Armadillo-800」シリーズを中心に、Armadilloが小型・省電力であることはもちろん、“開発者にもエコ”で、インテリジェント・システムにも最適な組み込みプラットフォームであることをアピールする。
IARシステムズ、アットマークテクノ、イー・フォースは、ARM9搭載CPUボードとμITRON仕様のリアルタイムOS、統合開発環境などが含まれる低価格の組み込み開発キット「Yellow suite.スターターキット」を発表した。
Armadilloの最新版はルネサス モバイルの「R-Mobile A1」を採用。PowerVR搭載でAndroidベースのフルハイビジョンデジタルサイネージシステム開発も可能に。