世界をリードする認証機関が語る「ISO 26262の勘所」【ET2011セミナーリポート】DNVビジネス・アシュアランス

自動車産業向け品質マネジメントシステムで世界トップクラスの認証実績を持つDNVビジネス・アシュアランスは、自動車の機能安全規格ISO 26262の認証業務についても積極的な取り組みを進めている。ET2011の技術セミナーでは、同社のISO 26262担当者が、規格策定の状況や認証取得に向けて必要となる施策などについて講演を行った。

» 2011年12月08日 10時00分 公開
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 自動車の電子化が進展するのに合わせて、自動車の電子制御系システムの複雑さも増している。ECU(電子制御ユニット)の中核部品であるマイコンにはより高い処理性能が要求されているし、システムの機能を実現する組み込みソフトウェアの規模もより大きくなっている。そこで、高度化/複雑化する自動車の電子システムで発生するであろう不具合や問題による影響を最小限にとどめるために、1つの標準規格が提案されている。それが、自動車向けの機能安全規格ISO 26262だ。

 ISO 26262は、自動車の電子システムのハードウェアやソフトウェアだけでなく、開発プロセスや開発チームの組織作りなど、極めて広い範囲を対象としている。特に、同規格に準拠しうるような開発プロセスの構築や開発チームの組織作りを行うには、企業自身の取り組み以外に、専門知識を持つコンサルティング企業に加えて、最終的なISO 26262への準拠を審査する第三者認証機関による支援が不可欠だ。

 このISO 26262の第三者認証機関として世界で有力な企業の1つとして知られるのがDNVビジネス・アシュアランスである。ノルウェーに本部を置く同社は、ISO 9001、ISO 14001で世界で大きなシェアを占める認証実績を持つ。また、ISO 26262と大きな関わりを持つ自動車産業向け品質マネジメントシステムの国際規格ISO/TS 16949の認証業務でも圧倒的な実績を保有している。日本法人のDNVビジネス・アシュアランス・ジャパンは、このISO/TS 16949の実績や国際的なネットワークを背景に、国内企業向けにISO 26262の認証事業を強化している。

ついに規格が正式に発行

DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社 竹市正彦氏 DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社 機能安全サービス・グループ・マネージャ 竹市正彦氏

 DNVビジネス・アシュアランス・ジャパンで機能安全サービス・グループ・マネージャを務める竹市正彦氏は、組み込み総合技術展「Embedded Technology 2011(ET2011)」(2011年11月16〜18日、パシフィコ横浜)の「JASA(組込みシステム技術協会)技術本部セミナー」において、「ISO 26262における第三者認証の勘所」と題した講演を行った。

 竹市氏は講演の冒頭で、講演前日の11月15日(欧州時間で11月14日)にISO 26262の最終国際規格案が正式に発行されたことを報告。そして、「欧州の自動車メーカーやサプライヤのなかには、ISO 26262への対応について、正式発行される前からISO 26262のベースとなったIEC 61508を用いるなどして、規格の正式発行後に即座に準拠できるような体制を構築している企業があります。また、欧州連合(EU)が、ISO 26262に関連する法規制を施行する可能性は極めて高いと言えます。規格が正式に発行された以上、ISO 26262への対応が欧州に比べて進んでいるとは言えない国内の自動車メーカーやサプライヤは、より積極的な取り組みを進める必要があります」と述べた。

 さらに竹市氏は、第三者認証機関によるISO 26262の認証取得を行うためには、ISO/TS 16949に代表される品質マネジメントシステムや、Automotive SPICE(以下、A-SPICE)などのソフトウェア開発プロセス標準の導入が必要になることを説明した。「品質マネジメントシステムやA-SPICEへの対応が必要になるISO 26262は、開発チームや事業部単体ではなく、企業全体でどのように取り組むのかという戦略が求められます」(同氏)。ここで、DNVビジネス・アシュアランスの強みとなるのが、ISO/TS 16949の認証業務でトップの実績を持つ点だ。また、欧州の自動車メーカーに製品を供給しているサプライヤに必要不可欠なA-SPICEについては、国内企業向けにA-SPICEのコンサルティングで高い実績を有しているビジネスキューブ・アンド・パートナーズとの連携によりサポートが可能だという。

 ISO 26262は、欧州で規格策定活動を強力に推し進めてきたことが知られている。ISO 26262への取り組みでも、欧州の自動車メーカーやサプライヤが先行している事実は周知のことだ。竹市氏は、「ISO 26262は欧州の自動車業界の政治的動向とも関連している部分があります。一方、DNVビジネス・アシュアランスは、ノルウェーに本拠を置く自主独立財団が100%出資する企業なので、欧州の特定の自動車業界からの政治的影響を受けにくい中立的な認証機関と言えます。日本の自動車業界に対する支援も積極的に行いたいと考えています」と強調する。

 DNVビジネス・アシュアランスが、ISO 26262の準拠に向けて提供しているサービスの大まかな流れは図1のようになっている。基礎セミナーからギャップ分析、ISO 26262への準拠で必要になる人員の養成などを含めて、準拠までに1年程度の期間が必要になるという。

図1 DNVビジネス・アシュアランス・ジャパンが提供するISO 26262の認証取得に向けたサービス 図1 DNVビジネス・アシュアランス・ジャパンが提供するISO 26262の認証取得に向けたサービス

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DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社

URL:http://www.dnv.jp/

E-Mail:japan.info@dnv.com


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