もし町工場の2代目が3次元CADを借りたらレンタルできる3次元CAD「Solid Edge DesignPad」登場!

シーメンスPLMソフトウェアのレンタル版3次元CAD「Solid Edge DesignPad」がいよいよ登場した。個人ユーザーにも優しいCADのレンタル版で、どのようなモノづくりビジネスができるのか? 大田区町工場の2代目とモノづくり支援家の2人が熱く語り合う。

» 2011年05月31日 10時00分 公開
[PR/MONOist]
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 今回は、モノづくり支援企業enmono社の代表取締役 三木康司氏と、東新製作所 取締役の石原幸一氏が、新しいモノづくりビジネスの形や、レンタルできる3次元CADについて熱く語り合った。

 enmonoでは、国内の中小メーカー、いわゆる町工場が大手メーカーの下請けから脱するため、自社製品を開発しビジネス化していく支援を行っている。「国内での大量生産、大量消費の時代は既に終わりつつある」と考える同社では、少量(マイクロ)消費のニーズに着目し、少量(マイクロ)生産していく「マイクロモノづくり」という概念を提唱。三木氏はその啓蒙活動に日々、精力的に取り組んでいる。

 大田区で父親の代からの板金加工業を営む石原氏は、同区内の2代目経営者たちを集めた「おおたグループネットワーク」(以下、おおたグループ)を結成し、そのメンバーたちを中心に「発電会議」というアイデア創出会議を定期的に催している。実際にそこから、最終製品を生み出していくことを今後の目標としている。

 その対談からはさまざまなアイデアが飛び出したが、ここではその一部の内容をお届けする。後半では、製品開発による被災地支援と3次元CADの活用についても触れた。

もし東新製作所が3次元CADを借りたら

 MONOistではこれまで、「Solid Edge」について度々紹介してきた。寸法拘束に縛られず直感的なモデリングができ、設計業務ではなく個人の“趣味なモノづくり”にも優しい仕様の同製品を「使ってみたい!」と思った方も多くいるだろう。しかしミッドレンジ3次元CADを利用したい場合、ライセンスを買い取るのが一般的。3次元CADのミッドレンジ価格帯は、1ライセンス当たり100万前後〜数百万円で、個人では少し厳しい金額だと感じた方も中にはいるだろう。

 そんな人たちに朗報! Solid Edgeがこのたび、レンタル版で提供されることになった。データ管理や高度な意匠デザイン、レンダリングの機能などは含まれないが、そうすることでライセンスコストを大幅に抑え、3次元CADの市場を広げ、新たなニーズ掘り起こしを目指す。

――「Solid Edge」のレンタル版、「Solid Edge DesignPad」(ソリッドエッジ デザインパッド)が出ましたが、いかがでしょうか

三木氏 enmono 代表取締役 三木康司氏

三木:年間契約で12万円だそうですね? その金額で、モデリングをする、図面を引くなどメカ設計に必要なものはほとんど入っているとのことですが、東新製作所さんなら、3次元CADのレンタルライセンスってどう利用します? CADは当然利用されていると思いますが、1ライセンスの導入は問題ないにしても、複数のライセンスを持ちたいような場合では、いろいろと課題があるんじゃないでしょうか?



石原氏 東新製作所 取締役 石原幸一氏

1.仕事量には波があるので……

石原:仕事量の波というのは、町工場共通の課題だと思います。例えば短納期かつ作業量が多いときは、一気にやらないといけませんが、誰かが3次元CADを1台占有していたりすると作業がパンクしてしまう。かといって、ライセンスを一度追加購入しちゃうと、使い続けないといけない……。レンタルなら自由にライセンスの増減ができていいですね。

2.新興国とのコラボレーション

石原:いま当社でベトナムの方を3次元CADオペレータとして採用しているのですが、この前の震災被害の影響で、帰国してしまったんです。社内には数種の3次元CADがありますが、彼の使う3次元CADを扱える人が社内に誰もいなくなってしまい、作業が止まってしまいました。そんなときには、ベトナムで短期レンタルしてもらって作業を続けてもらえたら便利ですよね。まだ、日本国内で1年単位という制約があるようですが、今後それらを緩和してもらえるなら、例えば、当社でやりとりする新興国の企業にCADをレンタルしてもらったり、プロジェクトベースでCADをレンタルさせたり、ということも考えられます。

3.営業ツールとしてCADを使いたい

石原:お客さんは基本的にわがままなんです(笑)。例えば、ある装置の仕様を「どうしますか?」と一から聞こうとすると、こちらは散々なことになってしまう。まず、装置の3次元モデルは一部のパラメータしか指定できなくする。「出口径が何ミリ」とか、「容量が何リットル」とか、お客さんがCADから数値を変更すればピッと形状が変わるような仕組みを営業用デモツールとして使うのもいいですよね。そのためだけにライセンスを購入するのはちょっと……、と思っていたんです。Solid Edgeのシンクロナステクノロジなら、そんな制約の設定もできそうですね。

4.マイクロモノづくりにも

三木:じゃあ、例えば自転車店なら、お客さんに自分専用マシンを作ってもらうとか。変更出来ない形状はロックを掛けておいて、パイプ径が20mmとか、ハンドルの高さは幾つとか、お客さんが直にマシンのスペックをいじれるというような。つまり、私たちenmonoで進めているマイクロモノづくりにも応用できるっていうことですね?

もし被災地支援プロジェクトで3次元CADを使ったら

 おおたグル―プとenmonoでは現在、被災地向けの製品開発ボランティアに取り組んでいる。被災地で活動するボランティアからenmonoに「復興支援に協力してもらえないか」と問い合わせがきたことからスタートしたプロジェクトだ。

――プロジェクトでは、どんな取り組みをされていらっしゃいますか?

三木:まず東北地方在住のエンジニアを東新製作所さんで採用するんです。その人自身の被災経験を基にして、「こういったものがあれば、命が救われたのに」とか、「被災後のストレスもなくなったのに」とか……、そういう思いを「発電会議」で共有して企画を作ります。そして私たちenmonoが、そこで生まれた企画をおおたグループの企業に持ち込んで開発を進める、といった流れです。将来的にはメーカーに部品を手配したり、実際に生産したり、商社で販売してもらったり……、そういったモデルが実現できればいいなと考えています。プロジェクト内で生みだされた発想を一早く製品として実現できるといいですね(以下の図を参照)。

図 被災地向けの製品開発ボランティア構想 *画像クリックで拡大します

三木:そこで3次元CADを使い、3次元ビュアも併用しながらのやりとりをすれば、もっとスピーディーに、実現性の高い試作品ができると思うんです。私自身も、3次元CADを使えるようにしておけば、3次元モデルを石原さんやプロジェクトの皆に見てもらいながら、「こういうの、考えたいんだ」って伝えられますね。ビュア越しにプロジェクトの皆が見て、「それは、面をこうした方がいい」とか、「こういう形じゃないと加工できない」とか議論もできる。そうすることで、いろいろと物事がすごく早く進むじゃないですか。

石原:いままで3次元CADを使ったことがない人でも使えるというSolid Edgeの考え方はすごくいいんじゃないかな。レンタルというのも、プロジェクトベースで進めたい、という今回の方針に合ってますよね。三木さんも、この被災地支援の製品アイデアを具体的に表現できた方がいいですよね。

三木:FacebookなどのSNS上で、ディスカッションをある程度重ねながらモデルをどんどん進化させ、そうして熟成したモデルもSNS上に公開して、被災者の方から意見をもらいつつ、さらに使いやすいものに改良していく……、などもしていきたいです。

 Solid Edgeがあれば、企画や試作を製品へ展開をするといった流れがスピーディーに実現できる。レンタルライセンス形式のSolid Edge DesignPadを加え、プロジェクトベースの利用、起業準備期間中の利用、さらに個人利用で趣味に使うなど、可能性も大きく広がった。便利なツールがあり、それを便利に使う方法ができた。3次元CADを活用する人たちの輪は、どんどん広がっていくだろう。

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提供:シーメンスインダストリーソフトウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2011年6月30日