CAEは“考具”であれ! MSCの説くCAEの神髄とはMSCの次世代シミュレーション MDOで、日本のモノづくりを次の時代へ!

世界的な経済不況、なかなか減らない自動車のリコール台数、アジア圏メーカーたちの急成長……、日本の製造業はいま、窮地に追い込まれている。そこから脱するには、日本の製造業の欠点を正しつつも、長所はぐんと伸ばしていくこと。そこで大きな力となるのが、“考具”である。MSCのMD Nastranで、単なる試作代替だった“道具”としてのCAEから、設計初期段階でCAEを活用する“考具”へ、いまこそ進化させるときだ。

» 2011年03月01日 10時00分 公開
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 最近は、日本のモノづくりに対して警鐘を鳴らすような本がベストセラーになってしまう。以前は「あり得なかったこと」とエムエスシーソフトウェア(以下、MSC) フィールドマーケティング部の部長 天野 康弘氏はいう。「それは、モノづくりに携わる人の中で、強い問題意識を持っている人が増えていることの表れではないかと」。

 かつての日本の製造業は、力と自信に充ち溢れていた。しかしいまは、違う……。モノづくり立国・ニッポンの再興はおろか、アジア諸国の勢いに気おされる一方で、窮地に立たされている。

 天野氏は、国土交通省 自動車交通局による21年度「自動車リコール届出件数および対象台数」のグラフを示した。国産車と輸入車、2つのグラフを比較してみると、日本は生産力、欧米は設計力の差であると言える、またその差はただの設計ツールと設計システムを構築しているかの差でもあると説明する。つまり設計前段階である概念設計段階から、詳細設計、生産設計までをシームレスにつなぐシステム構築がいま最も必要なのだ。

国土交通省 自動車交通局による自動車リコール台数データ(MSCの資料より)

 同省によるリコール届出の不具合発生原因についての統計データによれば、平成20年度リコールの70%が設計に要因していると示されている。そして21年度は、減ってきているものの、57%と依然として高い。これは不具合のほとんどが、使用状況や製造プロセス、メンテナンスプロセスなどの品質に関わる分野が設計初期段階で想定されていないために起こっていることを示す。逆にいえば、エラーのない製品かどうかは、設計初期段階でほぼ勝負がついているということになる。

 日本製造業は従来、“職人芸”といわれるアナログ的な器用さや、高い生産精度で品質をカバーするプロセスを得意としてきた。故に、開発期間短縮となれば、後工程の改善がメインとなり、後工程の問題はどんどん設計へ戻され、本来考えるべきことを考える時間がどんどん奪われていく。これは自動車業界に限った話ではなく、日本における他業界も同様である。

いま、“考具”が力となる

 「CAE(Computer Aided Engineering)の本来の考え方は、『考具』だったはず。ところが1990年代、各自動車メーカーでは、それまで数億円もつぎ込んできた試作/実験をCAEに置き換えようという動きが活発化します。そしていつの間にか『CAE=試作の代替』という考え方になってしまいました。このCAEは単に、実験作業をコンピュータ処理に置き換えただけで、単なる『道具』です」(天野氏)。

 これまでのCAE活用を見直して、その幅を広げ、かつそれを設計初期段階で活発化させる。それが、天野氏の提唱する“考具(こうぐ)”、すなわち「考えを検証・確認をする道具」「考えを作る道具」というコンセプトである。

 しかし設計初期段階のCAE活用は、一筋縄ではいかない。これまで開発現場が蓄積してきた膨大なナレッジを1カ所に集約させ、かつ、それに基づいてあらゆる事象を素早く考え尽くさなければならないが、少なくとも人の頭脳のみでそれを遂行していくには限界がある。従来のCAEを“道具”から“考具”へと昇華させるためには、使い手の深い知識、ITの能力、それを支える資金が不可欠だった。ある意味それは、一部の限られたエンジニアのための環境といえた。

 それがいま、多くのエンジニアたちが、その環境を手にできるようになった。MSCの次世代CAEともいえる製品は、 まさにCAEを“道具”から“考具”へと進化させるパスポートだ。

 同社の新解析ソルバ「MD Nastran」は、MSC Nastran、Marc、Adams、Dytran、Easy5、LS-Dynaといった最高クラスの解析ソルバ技術を1つの環境に集め、かつ複合領域解析、複合領域最適も可能とした。また設計プロセスにおけるさまざまな解析(線形静解析、動解析、非線形解析、機構解析、熱解析、衝突・衝撃解析、落下解析、設計最適化など)を1つの共有モデルで実行できるともに、それらの解析間の相関関係/依存関係を明確にし、最も望ましい設計案を提示できる。

 MD Nastranを基盤とするソフトウェア「MSC SimXpert」は、多岐にわたる解析を日本語化されたシームレスなUIの基で正確に素早く行え、かつ設計物にまつわる技術や知識を開発に携わるすべてのエンジニアで共有できるテンプレート(シミュレーションプロセスワークフロー)作成機能の仕組みを有する。

 しかも製品体系はユーザーに合わせてスケーラブルになっており、「MD Nastran Desktop」の場合、年間リース価格で100万〜200万円程度出せば、日本語UIによる複合領域解析の環境が手にできる。

MDの定義

 同社は、MD Nastranの核である技術複合領域解析、すなわち MD(Multi Discipline、マルチディシプリン)と対比される3手法について、以下のように定義している。

  • 連携解析(Chain Analysis):データの受け渡しにより次段階の解析を実行
  • 連成解析(Coupled Analysis):データの同期を取りながら解析を実行
  • マルチフィジックス(Multi Physics):さまざまな物理現象、もしくはこれらの連成問題を1つの離散化手法で解く

 それらに対し、MDについては、次のように定義する。

  • MD(複合領域解析、Multi Discipline Analysis):連携解析、連成解析を含み、物理的、時間的、空間的な制約やデータの受け渡し、同期、連続性、モデルサイズに制限を持たせずに解析を実行する。また、物理現象の単一、連成問題を複数の離散化手法で解く。さらに得られた結果をほかの物理現象と連携させ、さまざまな物理現象の影響を考慮した高次元の解析を実現する。

 MDとはすなわち、連携、連成、マルチフィジックスといった従来手法の要素をすべて包括し、かつ進化させた解析手法である。

 そして現在の同社ユーザーのほとんどが「MD」の段階であるという。しかしMDの実力は、その先の「O:Optimization(最適化)」、すなわち「MDO」までたどり着いてこそ発揮されると天野氏はいう。MDOなら、MDの連続処理と同時に複数のパラメータ感度まで一気に解析してしまえる。

 MDで連続して問題を解けたとしても、やはり、1つの問題について1回(1パラメータ)解くだけ。それではやはり、実世界の挙動を正確に表現し切れない。エンジニアの繊細な思考と複雑な現象計算をコンピュータに任せるのだから、その役割は極めて重要である。――すなわち、MDOまで行き着いてこそ、考具の神髄。他社よりもいち早くMDOの域に達し、一気にぐっと差を付けたいところだ。

 次世代考具 MD Nastranは、エンジニアたちの思考の一部をツール側が大幅に負担し、しかもパワフルに正確に処理をしてくれる。しかしMD Nastranが負担してくれるのは、あくまで一部。自動化によって、人から思考することの一切を奪うということではない。コンピュータに任せられる部分はどんどん任せ、人が考えるべき部分にできるかぎりの労力を割いていくプロセスの実現、データ管理と活用それこそ“真の考具”たる目的。そして、この窮地を脱するには、ユーザーたちがその考具をどういう思いでもって活用するかにかかっている。

MSC フィールドマーケティング部部長 天野 康弘氏:2011年2月16日〜3月8日まで開催の「ITmedia Virtual EXPO」で講演した天野氏。“リアル”な講演は何回も行ってきたが、バーチャルな講演は初体験!

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アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月31日