「HPC」(High Performance Computing)が、もっと身近になってきた。大学や研究機関での学術研究だけでなく、製造業を中心とした一般企業の製品開発にもHPCが導入されつつある。それをかなえたのが、「PCクラスタ技術」だ。富士通のブレードサーバ(PCクラスタ)「PRIMERGY BX400」は、開発部門の投資コストが厳しいという中小企業にこそ、注目してもらいたい製品。ユーザー用途に応じたおすすめ構成やPCクラスタの専門知識に自信のないユーザーも安心な富士通のサポート体制なども活用し、モノづくりの現場を変革しよう!
2010年秋、新たに登場した富士通のブレードサーバ(PCクラスタ)「PRIMERGY BX400」(以下、BX400)は、解析部門の本格立ち上げがこれからという企業や、中小規模な設計現場などをターゲットとした製品だ。投資コストに限界がある中で、何としても、製品設計力を大幅アップさせたいと強く願う企業に、うれしい機能やサービスが満載である。
CAEでは膨大な量の演算処理を実行するため、従来は極めて高額なコンピューティング環境が必要だった。そのため、中堅企業で「HPC」(High Performance Computing)を導入するにはハードルが高く、一部の大企業での導入にとどまっていた。しかしPCクラスタの実用化でHPCが一気に身近になった今日、これまでCAE導入に二の足を踏んでいた中堅製造業でも、積極的にCAEを導入しようという動きが出てきている。
「設計者にCAEとPCクラスタをさらに有効活用してほしい」と、富士通 プラットフォームビジネス推進本部 PCクラスタビジネス推進室 室長代理の田中 豊久氏はと説明する。
「昨年まで弊社は、業界でも最高クラスの性能と、実装密度/省エネ/省スペースを両立したBX900ブレードサーバを中心に、主に10ノード以上の中規模・大規模解析向けのPCクラスタプラットフォームを提供してきました。2011年は新たにBX900の性能をそのままに、より扱いやすくコンパクトなブレードサーバBX400の提供を開始し、いままでPCクラスタを利用されていなかったお客さまにも容易に業務をレベルアップいただける製品として、ワークステーションを利用し、簡単な解析をやられていた設計者にも積極活用いただきたいと考えています」(田中氏)。
また、「PCクラスタ活用で2つの業務改善が図れる」と田中氏は語る。「設計/解析の現場で以下の2つの課題を解決するために、性能やコストパフォーマンスが著しく向上したPCクラスタをいまこそ積極的に活用していただきたいと考えています」。
1つ目が「解析する設計モデル数の大幅拡大」である。「PCクラスタにより1モデル当たりの解析時間は著しく向上します」(田中氏)。
「解析時間が7分の1になる業務があるとすると、逆に考えれば、いままで1モデルしかできなかった解析が同じ時間で7モデル解析できるということ。これまでアイデアレベルであきらめていた設計モデルも積極的にチャレンジできる環境が手に入ります」(田中氏)。
2つ目は「できなかった解析への挑戦」である。
「例えば、いままでプリント板や筐体ごとに行っていた解析で、筐体にプリント板を入れた“完成体まるごと解析/検証”をすることができるようになります」(田中氏)。
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「これまでは実機試験をやるまで予測ができなかった、各パーツ間の相互の影響も含めて解析することで、開発プロセス短縮や品質を飛躍的に向上させることが可能です」(田中氏)。
特に1点目の観点から、これからは3次元CAD/解析をワークステーション上で利用されている、特に設計部門の方々に、設計プロセス内の品質向上を目指す意味でもPCクラスタ活用をご検討いただきたい。
さらに田中氏は「製造業ユーザーにとってPCクラスタを構築するうえで、“省スペース性”は見逃せない大きなメリットの1つ」と語る。
BX400は、数百万円台でPCクラスタ環境が実現でき、かつコンパクトな仕様にもかかわらず、ハイエンドなCPU(インテル社 R XeonR 5600 番台)搭載のブレードを8枚まで実装可能。設計現場の解析(CAE)で活用可能な小〜中規模のPCクラスタ環境に最適な計算性能を発揮できる。
従来マシンで上記と同等の計算環境を実現しようとする場合、例えばタワー型サーバの複数連結では設置スペースが非常にかさばるものだった。
「大企業は、サーバマシンを置く専用ルームがあります。しかし、中小企業や設計現場には、たいていありません。サーバを置くとしたら机や棚の横などの合間になるでしょう。そのような環境で、タワー型サーバでのクラスタ構築は厳しいと思います」(田中氏)。
BX400なら、縦置きのフロアスタンドキット(キャスターが付属)を用いることで、タワー型サーバ1.4台分のスペースに8台分のサーバを集約できる。静音性、軽量化を考慮した設計なので、スペースが非常に限られたオフィスフロアでも設置できる。 ラック型サーバによるPCクラスタと比較して、配線も非常にすっきりと整い、メンテナンス性も非常に優れていることも利点だ。「混み入った配線は、メンテナンスの際など非常にストレスです。BX400なら、そのストレスから解放されます」(田中氏)。
もう1つ、忘れてはならないのが、同社ブレードサーバの大きな魅力である「省電力」。富士通が長年培ったハードウェア設計技術により、徹底的に冷却効率を追求し、省電力を実現している。高CPUをフル回転させる大規模な解析を行っても、電力コスト面において安心だ。
富士通は2010年夏に、CAE活用によるモノづくりソフトウェアの動作・性能検証を行う施設「PCクラスタ性能検証センター」も開設。解析アプリケーションの能力をフルに引き出すPCクラスタシステムの提供を目指している。
同センターで、同社は複数の解析ソフトウェアベンダとともに、富士通の最新ハードウェアとアプリケーションの動作や性能検証を実施している。「PCクラスタ導入時に期待できる投資対効果が、事前にある程度予測できるよう解析アプリケーションベンダさまと共同でシステムの検証を行い、その結果やソリューションを積極的に公開しております。
そのため東京・浜松町にPCクラスタ性能検証センターを昨年7月に開設、現在も多くのアプリケーションベンダさまとソリューション開発を実施しております」(田中氏)。
そのベンチマークデータは富士通のWebサイトからダウンロードできるので、PCクラスタの導入検討の際は、こちらも有効に活用したい。なお、このようにベンチマークを堂々公開しているケースは、ハードウェア業界において希(まれ)なことである。
リンク: | |
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⇒ | PCクラスタ性能検証情報(富士通) |
富士通のPCクラスタなら、導入後も安心だ。同社は、PCクラスタシステムに特化した運用支援サービス(サポートデスク)も展開している。PCクラスタのシステム特有のノウハウやトラブルに不安を感じるユーザーが、電話や電子メールで富士通のエンジニアに気軽に相談することができる。
「弊社が昨年から取り組み始めたPCクラスタエキスパートによる構築・運用サービスの最大の特長は、フリーOS『CentOS』および弊社が検証済みのOSSミドルウェアなども含めたサポートを実施している点です。OSSなどを積極的に活用しシステムのコストダウンを考えられているお客さまでも、やはりサポートに不安があり踏み切れない方も多くいらっしゃることでしょう。そんなお客さまでも増設やシステム変更時の相談、トラブル時の一時回避方法などをエキスパート技術者がアドバイスさせていただきます」(田中氏)。
富士通のPCクラスタに、InfiniBandを取り入れることで、1Gigabit Ethernet比較で422%も計算性能がアップするというベンチマーク結果が出ている(最新のIntel Xeon、計算ノード8台、実行時間ベースの性能比較。計算条件により結果は変動します)。こちらも併せて利用したい。
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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2011年8月12日