前回説明したとおり、CE 6.0 R2では新たにVoIPの機能追加が行われました。
ここでは、カタログや提供されているソースコード、サンプルアプリケーションを動作させて、具体的にどのような機能が追加/変更されたのかを見ていきたいと思います。
まず、CE 6.0 R2未適用時のVoIPカタログ(画面9-1)とCE 6.0 R2適用時のVoIPカタログ(画面9-2)を比較してみましょう。
以下に、CE 6.0 R2から新たに追加されたコンポーネント(画面9-2の赤枠)を紹介します。
Video Over IPのサポート
IP Phone向けサンプルアプリケーションの拡充
「ボイス オーバー IP ホーム画面アプリケーション」と「ボイス オーバー IP 設定アプリケーション」コンポーネントは、CE 6.0 R2と以前のバージョンの両方に登録されていますが、実はサンプルアプリケーションに変更があります。
以下でその変更点について解説します。
$(_WINCEROOT)\PUBLIC\VOIPと$(_WINCEROOT)\PUBLIC\FP_VOIPに、VoIP関連サンプルアプリケーションのソースコード、各種ライブラリが提供されています。このうち、$(_WINCEROOT)\PUBLIC\FP_VOIPが、CE 6.0 R2から新しく追加されたものです。
また、CE 6.0 R2から「Video Over IP」をサポートしたことにより、$(_WINCEROOT)\PUBLIC\VOIPの提供ライブラリがアップデートされました。
CE 6.0 R2未適用時のサンプルアプリケーションは$(_WINCEROOT)\PUBLIC\VOIP\OAK\PHONEに格納されています(画面10-1)。そして、CE 6.0 R2から追加/変更されたサンプルアプリケーションは、$(_WINCEROOT)\PUBLIC\FP_VOIP\OAK\PHONE配下に格納されています(画面10-2)。
画面10-2(CE 6.0 R2適用時)を見ると、「BOOSTRAPSAMPLE」というフォルダが追加されていますが、これは「ボイス オーバー IP 展開インフラストラクチャ」のコンポーネントが選択されたときに追加されるサンプルアプリケーションのソースコードです。
また、「RESOURCE」フォルダは「Phone Suite 用ボイス オーバー IP サンプル ポートレート モード リソース」「Phone Suite 用ボイス オーバー IP サンプル リソース」というサンプルアプリケーションが利用するリソースDLLが格納されています。このリソースDLLには、サンプルアプリケーションが表示する「ダイアログリソース」「コントロール配置情報」「ビットマップ」などの描画リソースが格納されています。これをカスタマイズすれば、サンプルアプリケーションの外観をカスタマイズすることが可能です。
それでは、実際にいくつかサンプルアプリケーションを動作させて、外観の違いや追加/変更機能について見ていきましょう。
以下は、CE 6.0 R2未適用時(画面11-1、画面11-3)とCE 6.0 R2適用時(画面11-2、画面11-4)のVoIPホーム画面サンプルアプリケーションの起動画面とメインメニューです。
これらの画面を比較してみると、大きく変更されていることが一目で分かると思います。
以下に、CE 6.0 R2未適用時およびCE 6.0 R2適用時のメインメニューから操作できる項目をまとめています(表2)。
設定項目 | CE 6.0 R2未適用 | CE 6.0 R2適用 |
---|---|---|
Do Not Disturb | ○ | ○ |
Call Forwarding | ○ | ○ |
Block Caller ID | ○ | ○ |
Anonymous Call Block | − | ○ |
Auto Answer | − | ○ |
Volume Settings | ○ | ○ |
Sound Settings(Ring Tones/Call Waiting Ale/Call Hold Ring Back Alert/Message Waitin Alert/Auto Answer Aleat時の音設定) | Ring Tones時の設定のみ | ○ |
TCP/IP Settings | − | ○ |
Time Setting | − | ○ |
Lin Configuration | − | ○ |
Exchange Setting | ○ | ○ |
Provisioning Settings | − | ○ |
Auto Dial | ○ | − |
PIN Setting | ○ | ○ |
Windows Logon Setting | ○ | − |
Contacts | − | ○ |
Global Address | − | ○ |
Speed Dial | − | ○ |
Call History | − | ○ |
表2 CE 6.0 R2未適用および適用時のメインメニューから操作できる項目 |
表2のとおり、CE 6.0 R2から変更されたサンプルアプリケーションでは、多くの機能、設定項目がサポートされるようになりました。
このようにCE 6.0 R2からVoIPの機能が大幅に強化され、VoIPデバイスのリファレンスとして有用なサンプルアプリケーションも数多く提供されました。
これらサンプルアプリケーション自体のカスタマイズだけでなく、リソースDLLによるUIのカスタマイズなどを有効活用すれば、開発ボリュームや期間の短縮にもつながることでしょう。次は、WSDについて解説します。
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