次なる産業革命へ、トップはかく語りき NVIDIA/富士通/ファナック/安川/川重:FAイベントレポート(3/3 ページ)
富士通は、ファナック、安川電機、川崎重工業、NVIDIAとともに東京都内で記者会見を開き、フィジカルAI分野における事業検討を開始したことを発表した。事業の概要とともに、会見における各社トップの発言を紹介する。
ファナック 代表取締役社長 兼 CEOの山口賢治氏
近年、製造業をはじめとした産業を取り巻く環境が大きく変化している。特に、深刻化する人手不足や多品種少量生産への対応、さらには現場の自動化、高度化に対するニーズはこれまで以上に高まっている。こうした課題に対しまして、ロボットとAIを組み合わせたフィジカルAIの社会実装は、極めて重要な役割を果たす。
今回、富士通が持つ大規模言語モデルの「TAKANE(高嶺)」をはじめとする自律型のAI基盤、そしてNVIDIAの先進的なAI技術と、ファナックが培ってきましたロボット技術を組み合わせることによって、現場で実際に使える、そして柔軟で誰にでも扱いやすいAIシステムの実現を目指す。
ファナックは2025年12月からオープンプラットフォーム対応を打ち出している。ROS 2やPythonなどのオープンプラットフォーム対応の技術を活用して、より多くのお客さまがAIロボットを導入しやすい環境づくりを進めてきた。
以前から現場を理解し、判断して、実行する知能ロボットを目指して各社取り組んできた。ただ、やはり技術的にまだ未熟な部分があり、性能が限定的だった。
そこに、AIが入ることで、今までできなかったことができるようになり、そして今までできたことがもっと簡単にできるようになるという、この2つの点でようやく技術の進歩というのがやりたいことに追い付いてきた。
本当にたくさんのお客さまがもともと持っていたアイデアを実現できるのではないか、あるいはそこまで具体的なアイデアがなくても何かできるのではないかという大きな期待を持っている。
ユーザーの現場で、既にフィジカルAIは稼働し始めている。実装は始まっている。ただ、われわれは現場側のレイヤーにいる。上位のレイヤーと一緒に取り組むことで、より広がる可能性が出てきた。
今回の富士通との協業によって、これらの取り組みをさらに加速し、製造現場をはじめとするさまざまな現場の課題解決につなげていきたい。人とロボットが共存し、そして互いに力を発揮しながら働く社会を実現することは、産業の競争力強化だけではなく、持続可能な社会の実現にもつながる。富士通、NVIDIAとの協業により、新たな価値を創出して、社会の発展に貢献していく。
安川電機 副会長執行役員の小川昌寛氏
安川電機は2017年、約10年前にメカトロニクス、いわゆる自動化技術とデータ活用の融合をベースにした産業革命の実現を目指す「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」というコンセプトを掲げた。
その後の10年間にAIやGPUなどの技術は大きく進化し、われわれが掲げてきたデータの活用による自動化拡大も進化を続けている。データの活用は、人手不足など人の課題解決はもちろんだが、データが導き出す新たな気付きは、それを超えるものがあると確信して推進してきた。
そして、NVIDIAのGPUを搭載した自律型AIロボットである「MOTOMAN NEXT」をいち早く市場に投入した。この「自律」というのは私のこだわりだ。
今まで、ロボットはティーチング・プレーバック方式で、事前にプログラミングすることで動いてきた。最初に決められていることに対してティーチングをし、優れた制御によってことをなす、という形だった。
これがAIという知能、自律性、判断力を持つということで、今後は自分で判断して、考えて、動けるようになる。まさに人間が幼児期から青年期になり、大人になるのと同じことで、できることが増えていく。
今までのように、その場にいて決まった仕事をするロボットを、いろいろな場所に行って要求された多様な仕事に応えるソリューションに変えるためには、この自律能力が必要不可欠だ。
この大きな変化が、マニピュレーションの動きと知識、頭脳の組み合わせによって、ブレークスルーとなる。これは、大きな変革のコアになるのは間違いない。これまでとは全く違うパラダイムシフトであり、大きな変革の時を迎えている。
ここに足りないのは、ユースケースとしてわれわれと一緒に取り組んでくれる市場側のリードだ。この仲間と一緒になってユースケースがどんどん広がっていくと、気が付いたらすごい社会になっているのではないか。
われわれはROS 2対応をはじめ、これからオープンプラットフォームとして活用することをベースに、今後、フィジカルAIの社会実装に取り組んでいく。この動きをさらに具現化していくためには、社会貢献を力強く推進するためには、協調と同調が必要だ。この集まった各社、同じベクトルを持って進めていきたい。
川崎重工 代表取締役社長執行役員 橋本康彦氏
川崎重工は60年近くロボットを手掛けてきた。そして、10年以上前からヘルスケア分野のロボット適用に取り組んでいる。
ヘルスケア分野は高齢化が進む日本社会にとっては非常に重要な領域だ。かつて、ヘルスケア領域はなかなかロボットが届かない領域だと考えられていた。だが、まさに今、ロボットにフィジカルAIが加わることによって非常に大きな可能性が生まれている。そして高齢化を迎えた日本にとっては大きな救いになる。
富士通が持つ病院での電子カルテなどのIT技術と、われわれの手術支援ロボットやサービスロボットを連携させることで、病院向けのワンストップソリューションや一人暮らしの高齢者を支えるサービスの実現を目指す。
今、病院での業務は負荷が高くて本当に大変だ。病院経営でも赤字になったり、人が足りなかったりして大変な状況になっている。
例えば、電子カルテと病院で動いてるロボットが連携し、そこにいろいろな判断ができるようになると、そういった状況を変えられるようになる。
従来のロボット技術ではなかなか難しかったことが、全体がネットワークにつながり、フィジカルAIあるいはAIを使って判断ができるようになって初めて可能になる。
皆さまの生活の中で、具体的に何が変わるかというと、いろんな今までロボットが使われていなかったところでロボットが使われるようになる。中小企業の工場、受注生産をしているような工場、病院、家庭でもロボットが使われるようになる。ロボットの可能性が大きく飛躍する瞬間だと思っている。
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