ファナックがNVIDIA協業にROS2対応、フィジカルAIでオープンプラットフォーム推進：産業用ロボット

ファナックは産業用ロボットのフィジカルAI（人工知能）実装を推進するため、NVIDIAと協業すると発表した。また、ROS 2上で同社のロボットを駆動させる専用ドライバを公開。フィジカルAIでオープンプラットフォーム対応を加速させる。

[長沢正博，MONOist]

　ファナックは2025年12月1日、産業用ロボットのフィジカルAI（人工知能）実装を推進するため、NVIDIAと協業すると発表した。

　フィジカルAIでは、ロボットに搭載されたセンサーやカメラから得たデータをAIがリアルタイムで解析、判断し、その結果をロボットにフィードバックすることで、ロボットが自律的に複雑な動きを行うことが可能になる。

　NVIDIA Omniverseライブラリを基盤とするオープンソースのロボットシミュレーション用レファレンスフレームワーク「NVIDIA Isaac Sim」にファナックのロボットが対応。ファナックの協働ロボット「CRXシリーズ」や、可搬質量3kgの小型ロボットから2.3t（トン）の大型ロボットまで、Isaac SimのOpen USD SimReadyアセットとして選択可能になる。アプリケーション開発者は、Omniverseライブラリを活用したリアルな仮想工場にファナックのロボットを自在に配置し、AI学習データの取得／生成と正確なシミュレーション、生産稼働テストを効率的に行うことができる。

NVIDIA Isaac SimとファナックのROBOGUIDEでフォトリアルな仮想工場を実現 出所：ファナック

　また、ファナックのロボットシミュレーションソフト「ROBOGUIDE」とNVIDIA Isaac Simを統合させることで、ロボット実機と同じアルゴリズムを使った正確な軌跡とサイクルタイムで、現実のロボット動作をIsaac Sim上で再現可能になる。

　「2025国際ロボット展」（2025年12月3〜6日、東京ビッグサイト）のファナックブース（W2-01）では、ファナックのロボットとNVIDIAの組み込みコンピュータ「NVIDIA Jetson」などを組み合わせたフィジカルAIアプリケーションを披露。Omniverseライブラリを活用したリアルな仮想工場でファナックのロボットが稼働している様子も紹介する。

　その他、ファナックはオープンソースのロボット開発プラットフォーム「ROS 2」上でファナックロボットを駆動する専用ドライバをGitHubで公開したことを発表した。同社のロボットはAI開発で広く使われるプログラミング言語「Python」も標準で搭載しており、オープンプラットフォーム対応と合わせてAIのロボット適用を加速させる。

⇒その他の「産業用ロボット」の記事はこちら