なぜ日産は黒字でホンダは赤字に? EVは減損の嵐……明暗分かれた自動車5社決算:1週間を凝縮! 今週の製造業ニュース
2026年5月11〜15日に公開された記事の中から、MONOist編集部が厳選した今週の注目ニュースをお届けします。今週は自動車メーカー5社の決算が出そろいました。
2026年5月11〜15日に公開された記事の中から、MONOist編集部が独断と偏見で選んだ今週の注目ニュースをお届けします。
今週は2026年3月期(2025年度)の決算発表がピークを迎え、国内自動車メーカー主要5社(トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、SUBARU)の決算が出そろいました。2025年度は、米国の追加関税や円高などの為替変動、EV(電気自動車)規制の緩和、さらには地政学リスクといった外部環境の激変が直撃し、自動車メーカー各社にとって厳しい結果が目立つ1年となりました。
営業利益は厳しい結果に、EV戦略縮小が続く
まずは出そろった5社の業績を振り返ります。売上高の面では維持/拡大の企業が多い一方で、営業利益の面では厳しい数字が並んでいます。
| 売上高/売上収益 | 売上高前年比率 | 営業利益/営業損益 | 営業利益前年比率 | |
|---|---|---|---|---|
| トヨタ自動車 | 50兆6849億円 | 5.5% | 3兆7662億円 | ▲21.5% |
| ホンダ | 21兆7966億円 | 0.5% | ▲4143億円 | 赤字転落 |
| 日産自動車 | 12兆0079億円 | ▲4.9% | 580億円 | ▲16.9% |
| マツダ | 4兆9181億円 | ▲2.0% | 515億円 | ▲72.3% |
| SUBARU | 4兆7849億円 | 2.1% | 401億円 | ▲90.1% |
ホンダは、EV3車種の開発中止などに伴う関連損失として計1兆5778億円を計上し、営業損益が4143億円の赤字で、最終損益とともに上場以来初となる赤字に転落しました。これに伴い、「2040年に四輪車の販売比率をEVとFCV(燃料電池車)で100%にする」という目標を事実上撤回し、2030年度まではHEV(ハイブリッド車)を事業の中核に据える現実路線への回帰を発表しています。
SUBARUも、米国の自動車環境規制の緩和を踏まえ、EV関連の開発資産について回収可能性を再検討した結果、減損損失を計上しました。これにより、営業利益は前期比90.1%減の401億円と大幅な落ち込みを見せています。なお、現時点で想定し得る関連費用については、おおむね計上を完了したとしています。
トヨタ自動車は、売上高(営業収益)が50兆6849億円となり、日本企業として初めて50兆円の大台を突破しました。その一方で、営業利益は前期比21.5%減の3兆7662億円にとどまりました。2026年度についても、引き続き中東情勢などの影響を織り込み、営業利益は同20.5%減の3兆円と、3年連続の減益を見込んでいます。
一方で、独自の戦略や事業構造改革によって市場から好反応を得て、来期への期待を集めたのがマツダと日産自動車です。
マツダは、営業利益が前期比72.3%減の515億円と大幅な減益となったものの、最終的な純利益はアナリストの予想平均を上回る350億円を確保しました。また、インフレ影響で2兆円規模に膨らむと想定していた電動化投資を1.2兆円へと縮小する方針を発表。これについてマツダ 代表取締役社長 兼 CEOの毛籠勝弘氏は、「EV戦略は市場の動向を様子見しながらであり、本格的な投資に手を付ける前だったため、損失などはほぼない」と説明しました。今後は自社製EVプログラムを徹底的にスリム化し、ハイブリッド車やガソリン車を含めたマルチソリューション戦略で生き残る姿勢を打ち出しました。
日産自動車は、生産体制の統廃合や減損処理などの要因で5331億円の純損失を計上しました。しかし、営業利益については、主要5社の中で前期比の下げ幅が最も小さい16.9%減の580億円で着地しています。日産 CFOのジョージ・レオンディス氏は、営業黒字の背景について、「生産や物流、研究開発、購買における『モノづくりコストの徹底削減』が大きく寄与した」と分析しました。これにより、2270億円の増益要因になったとのことです。2025年度下期にかけては自動車事業のキャッシュフローが黒字化したことも加え、市場からも前向きに評価されています。
2026年度(2027年3月期)も中東情勢などの影響が引き続き懸念されており、自動車業界にとって厳しい事業環境が続くとの見方が大勢を占めています。その中でも、各社は方針転換や痛みを伴う決断を下し、次なる一手を描いています。ぜひ、各社の記事をご確認ください。
日産、復活なるか 2026年度は200億円の黒字見込みへ
日産自動車(以下、日産)は2026年5月13日、横浜市内とオンラインで記者会見を開き、2025年度(2026年3月期)の通期決算および第4四半期決算内容と、2026年度(2027年3月期)の業績見通しを発表した。(2026年5月15日公開)続きを読む
トヨタは中東情勢影響で6700億円の減益見通し、稼ぐ力の強化で対抗
トヨタ自動車は2026年5月8日、オンラインで会見を開き、2025年度(2026年3月期)連結業績と2026年度の連結業績見通し、今後の重点取り組みなどについて説明した。(2026年5月11日公開)続きを読む
マツダは電動化投資を1.2兆円に縮小 狙う利益2.6倍の勝算
マツダは2026年3月期の連結決算を発表。米国関税コストの影響を大きく受けたが、構造改革が奏功し純利益は市場予測を上回った。2027年3月期は新型「CX-5」を起爆剤にV字回復を見込む一方、電動化投資は1.2兆円へ縮小する。(2026年5月13日公開)続きを読む
SUBARUが米国EV戦略を見直し、2025年度の営業利益を900億円下方修正
2025年度に実施された「米国の自動車環境規制の緩和」を踏まえ、米国における電動車の中長期的な需要見通しを見直した。その結果として、その結果として、SUBARUのEVに関わる開発資産の回収可能性を再検討し減損損失を計上した。(2026年5月12日公開)続きを読む
ホンダはHEVで四輪事業を再構築、中国勢に対抗する「トリプルハーフ」とは
ホンダは2026年5月14日、東京都内で会見を開き、同年3月に発表した電動化戦略の見直しを具体化した「2026 ビジネスアップデート」について説明した。(2026年5月15日公開)続きを読む
⇒その他の「1週間を凝縮! 今週の製造業ニュース」の記事はこちら
※試験運用中です
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
EVの開発中止を決めたソニー・ホンダ、今後は設立趣旨に立ち返り方向性の検討へ
ソニーグループ、ホンダ、ソニー・ホンダモビリティ(SHM)の3社は、SHMのEVの第1弾モデル「AFEELA 1」とSUVタイプの第2弾モデルの開発/発売を中止すると発表した。
トヨタが研究開発拠点「TTC-S」を公開、「走る・壊す・直す」を一気通貫で行う
トヨタ自動車は、研究開発拠点「Toyota Technical Center Shimoyama(TTC-S)」を公開した。
EV開発を中止しても、ソニーグループがソニー・ホンダを「良い経験」とする理由
事業として取り組んでみて分かることもあると思います。
日産が反転攻勢に向け新たな長期ビジョンを発表、「AIDV」による知能化が中核に
日産自動車が経営再建計画「Re:Nissan」の先を見据えた長期ビジョンを発表。AIDV(AIデファインドビークル)を中核とするなど、日産として新たな道筋を明確化することで、Re:Nissanの発表から販売の落ち込みが続いた日本市場の刷新感を与えるとともに、一足先に回復軌道に乗った北米/中国市場における成長基盤の構築を進めたい考えだ。
ホンダはHEVで四輪事業を再構築、中国勢に対抗する「トリプルハーフ」とは何か
ホンダが電動化戦略の見直しを具体化した「2026 ビジネスアップデート」について説明。2040年度に四輪車販売比率をEVとFCVで100%にするという目標を撤回し、2030年度まではHEVを中核に四輪事業を再構築する方針である。中国をはじめとする新興メーカーの開発スピードに対抗するための「トリプルハーフ」の実現などモノづくりも強化する。
SUBARUが米国EV戦略を見直し、減損計上で2025年度の営業利益を900億円下方修正
SUBARU(スバル)は2025年度連結業績見通しを下方修正すると発表した。米国における電動車の中長期的な需要見通しを見直して減損損失を計上するなどしたことから、営業利益見通しが前回予想比900億円減の400億円となる。




