トヨタが研究開発拠点「TTC-S」を公開、「走る・壊す・直す」を一気通貫で行う:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車は、研究開発拠点「Toyota Technical Center Shimoyama(TTC-S)」を公開した。
トヨタ自動車は2026年5月7日、研究開発拠点「Toyota Technical Center Shimoyama(TTC-S)」を公開した。
愛知県豊田市の旧下山村から岡崎市の旧額田町にかけて展開するTTC-Sは、2018年4月からの建設着工を経て2024年3月に全面運用を開始した。総面積は6508km2で、このうち施設用地は約4分の1に当たる1592km2となる。施設としては、中央エリアにカントリー路、東エリアに高速評価路/特性評価路といったテストコースがあり、西エリアに車両開発棟/来客棟を置く。総投資額が約3000億円。
TTC-Sの車両開発棟は、1階の整備フロア、2階の企画/設計部門フロア、3階のデザイン部門フロアから構成されている。整備フロアは最大40台の車両を収容でき、テストコース直結の環境で、メカニックがその場で修理/調整を実施できる。クルマを囲んで職種や領域を越えたメンバーが集まり、一体となってクルマづくりに向き合える場となっている。
企画/設計部門フロアでは、エンジニアがデータを分析し、改善策を検討を行う。1階のガレージの真上に位置しているので、即座に連携が可能だ。デザイン部門フロアは、クレイモデリングからデジタルレビューまで、造形を作り込むプロセスを一体で行える空間となっている。屋内外でのモデル確認や実寸クレイの仕上げなど、実物を前にした議論をその場で進められる。
車両開発棟の各フロアは壁のないワンフロア設計となっており、デザイン/設計/評価/整備といった一連の開発サイクルを一つの拠点内で完結できる。機能の壁を取り払い、約3000人(2026年5月時点)に及ぶ多様な領域のメンバーが同じ空間で連携し、機能横断で一体となって開発に取り組む環境を実現したとする。
テストコースの第3周回路では、ドイツのニュルブルクリンクを参考に4分の1規模で設計された全長約5.3km、高低差75mのカントリー路をはじめ、下山の自然地形を生かした多数のカーブと高低差を再現している。道づくりにはテストドライバーも参画し、造成には10年を要したという。
また、ラリーやダートトライアルといった未舗装路での鍛え込みを可能にするため、モリゾウことトヨタ自動車のマスタードライバーである豊田章男氏(同社 代表取締役会長)の「もっとクルマを鍛えたい」という強い思いから、ダートコースを計画外で追加造成した。モリゾウ自身が横転するまで走り込んだ厳しい路面環境で、ベース車両の耐久評価に加え、GRブランドのパーツ開発にも活用される。
TTC-Sの原点は、豊田章男氏の「ニュルブルクリンクでしかできないことが、なぜ日本でできないのだろう」という問いにあった。これは、豊田氏がマスタードライバーとして走り込む中で長年抱き続けた思いだという。その背景には、トヨタ自動車所属のテストドライバーの成瀬弘氏(故人)がニュルブルクリンクで示した「道がクルマをつくる」という言葉にあった。厳しい道を走り、壊れた箇所を見つけ、その場で直し、また走る。このサイクルを1日に何度も繰り返すことで、クルマは鍛えられていく。日本で「走る・壊す・直す」の開発プロセスを一気通貫で行える場所として構想されたのがTTC-Sである。
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