金属や熱硬化性CFRPを瞬時につなげる技術、接合強度は30MPa:nano tech 2026(2/2 ページ)
東レは、「nano tech 2026 第25回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で、「CFRPハイブリッド接合技術」や超軽量構造材料「TORAYCA CFRF」、複合紡糸技術「NANODESIGN」を紹介した。
CFRPより80%の軽量化を図れる多孔質体
TORAYCA CFRFは、炭素繊維の3次元ネットワーク構造で補強した多孔質体で、0.3と低比重でありながら、繊維強化樹脂に相当する弾性率を発現する。プレス成形による立体形状やCFRPとの複合化により、高強度化や機能付与も可能だ。CFRFとはCarbon Fiber Reinforced Foamの略称だという。
同社の説明員は「従来のコンポジットは、空気が入らないように固めることで高い強度と弾性率を実現していた。TORAYCA CFRFは、空気を含有させることで、比重の低いコンポジットとしている。比重は低いが、炭素繊維の高い剛性を生かすことで、強度を高めている」と話す。
その上で、「当社では、同一曲げ剛性で、TORAYCA CFRFやスチール、CFRPの相対厚みと相対重量を比較した。その結果、TORAYCA CFRFは各材料よりも厚みは多少増えるが、スチールより相対重量が40%少なく、CFRPより80%の軽量化を図れることが分かった。非常に軽いので『少し厚みが増しても大丈夫』という用途があれば、提案したい」と語った。用途としては、エアモビリティやオートモーティブ、スポーツ用品が想定されている。
厚みを3μmまで薄くした超極薄不織布を開発
NANODESIGNは、繊維の成分や形をナノレベルでコントロールする技術で、東レ独自の流動制御技術により複雑な繊維断面のデザインが行える。同社は、NANODESIGNを活用した特殊極細繊維を設計し、この繊維を用いることで、極薄と均一構造を両立した業界最薄クラスの「超極薄不織布」を開発した。この不織布は、最薄で3μmの厚さや微細で均一な開孔、凹凸が小さい滑らかな表面を実現できる。
同社の説明員は「従来の不織布は12〜14μm程度の厚みが限界だったが、当社はNANODESIGNにより厚みを3μmまで薄くした超極薄不織布の開発に成功している」と述べた。
加えて、「次世代電池において、電解質を保持する支持体として不織布が使われているが、不織布が厚いと電池全体が厚くなり、性能が落ちてしまう。NANODESIGNを用いて設計した特殊極細繊維を材料に用いた超極薄不織布は、薄く、かつ均一な構造のため、イオンの透過を妨げず、電池のエネルギー密度と強度を両立できる。NANODESIGNはこれまで、アパレル製品や医療用製品での展開がメインだった。NANODESIGNの新展開として、次世代電池向けの製品である今回の不織布を『nano tech 2026』で初披露した」と補足した。
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