ESGで2度もうけるリコーの戦略、社内実践で商談力を強化し支援サービスを展開:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
リコーは、ESG(環境、社会、企業統治)についての戦略を説明。ESGと事業成長を同軸化し、持続可能な社会の実現に貢献することで自社も持続的に成長するというビジネスモデルを描く。
ESGで先行する取り組みを外部に支援サービスとして展開
リコーでは、これらのESGで先行している点を、製品やサービスの競争力にするとともに、これらのノウハウを外部に支援サービスとして展開する新規ビジネスを展開している。
阿部氏は「グローバルではESG要求が取引要件となっているが、日本では強制力のある形での商談要件とはなっていない。逆にリコーの中堅/中小規模の顧客企業からは『どのようにESGを推進すればよいのか』という問い合わせを数多くいただいている状況だ。そこで、これらに応える支援ビジネスを展開する」と説明する。
具体的にはESG軸での伴走支援サービスを展開する。社内実践を基に顧客企業のESG活動を支援する。具体的には、リコー社内での取り組みを示しながら、サステナビリティに関する課題を見つけ出す。その課題に対し、リコー内で解決した手法やツールを活用しながら、解決に導いていく。実際にこれらを推進する「SDGsキーパーソン」を設定し、全国で640人が活動しているという。
実際に伴走支援サービスを活用した三重県のFA設備や精密金型のメーカーである扶桑工機は、「何をすればよいのか分からない」状態から始めたSDGs活動を、リコーグループの実践事例を基にリコージャパンの支援によって、立ち上げることができたという。また、同様に脱炭素についても、リコーグループの実践事例を基に、ソリューションを用意し展開を進めている。「顧客企業の要望が最も多いのが脱炭素についての取り組みだ。6つのステップに応じた伴走支援を進めている。既に2025年9月までに2000件近い事業所での支援を行っている」と阿部氏は語る。
リコーではさらにESGへの取り組みを事業に結び付けた成長を加速させていく考えだ。「今回は日本で社内実践の強みを伴走支援サービスとして展開している事例を紹介したが、この日本の事例を海外にも展開していく。ESGを成長戦略の一つとして位置付け、積極的な取り組みを進めていく」とリコー コーポレート執行役員 ESG・リスクマネジメント担当の鈴木美佳子氏は述べている。
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