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SCM戦略の専任組織がなぜ必要か 担うべきミッションと理想の組織配置新時代のサプライチェーンマネジメント戦略(3)(1/2 ページ)

さまざまな企業課題に対応すべく、サプライチェーンマネジメント(SCM)のカバー領域や求められる機能も変化している。本連載では、経営の意思を反映したSCMを実現する大方針たる「SCM戦略」と、それを企画/推進する「SCM戦略組織」、これらを支える「SCM人材」の要件とその育成の在り方を提案する。

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 第1回は、今日のSCMはサプライチェーンの再設計とその組み替えを検討、実行できる機能を備える必要があること、そして第2回では、こうした機能を実装する際には、SCMに関わる5つの要素を「SCM戦略」として再定義しておくべきことを提言した。第3回では、このSCM戦略の立案を担い、事業展開を旗振りする「SCM組織」の位置付けと、備えるべき組織機能について解説する。

⇒連載「新時代のサプライチェーンマネジメント戦略」のバックナンバーはこちら

SCM組織はSCM戦略に従う

 米国の経営学者アルフレッド・D・チャンドラーJr.氏が1962年に出版した経営組織論の名著「組織は戦略に従う」は、当時の米国を代表する大企業が事業拡大していく過程において、どのように戦略と組織構造を変化させていったのかを明らかにした。同書でチャンドラーは、企業成長には、明確な戦略の策定と同じく、その戦略を推進/実行する組織の構築が重要だと説いている。

 この考え方はSCMにもそのまま当てはめることができる。SCM戦略を効果的に実行するには、適切な「業務機能(特定の業務を実行する組織の能力)」を有したSCM組織整備が必要だ。

 本稿では、まず企業のSCM組織が担う主な業務機能とSCM組織配置の主要パターンをおさらいした上で、SCM戦略を効果的に推進/実行する上で理想的なSCM組織配置と機能分担について提案する。

SCM組織が担う主な業務機能

 一般に、SCMに関連する業務機能のうち、「製造機能」「販売機能」「物流機能」「調達機能」は、それぞれ当該機能を担う専門の機能組織にて担務されることが多い。一方、以下に挙げた業務機能(図表1)は、複数の組織やサプライチェーンを横断する形で行われる業務であるため、SCM業務を専任するSCM組織が担務することが多い。

図表1:SCM組織が担う主な業務機能
図表1:SCM組織が担う主な業務機能[クリックして拡大] 出所:クニエ

 「SCM戦略立案」機能は、連載第2回で詳述したSCM戦略を立案、事業環境変化に応じてこれを修正する業務機能である。この実現には、経営企画部門や事業企画部門と連携しつつ、自律的にSCMのあるべき姿を考え、その方針を見直していく組織能力が求められる。「SCMプロセス/ルール整備機能」はこのSCM戦略を受けて、各事業の標準業務プロセス/ルールを定義する。

 これは戦略を業務に反映させる機能といってよい。当然ながらSCM戦略の本質的理解とともに、各事業の性質も把握していることが必須になる。「SCMパフォーマンス管理」機能は、SCMに関わる拠点や部署のSCM関連業務パフォーマンスを評価〜改善する。

 「需給マネジメント」機能は、このSCMプロセスの一部であるサプライチェーン計画の心臓部にあたる業務(大日程〜中日程計画立案/供給アロケーションなど)を実行する機能にあたる。製造/販売におけるさまざまな制約の理解と、ときに高度かつタイムリーな意思決定能力が必要だ。最後の「CoE(センターオブエクセレンス)」機能は、SCM業務のうち特に高い専門性が必要になる業務(例:統計手法や数理モデルを用いた需要予測、業務改革コンサルティングなど)を担う機能だ。

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