ESGで2度もうけるリコーの戦略、社内実践で商談力を強化し支援サービスを展開:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
リコーは、ESG(環境、社会、企業統治)についての戦略を説明。ESGと事業成長を同軸化し、持続可能な社会の実現に貢献することで自社も持続的に成長するというビジネスモデルを描く。
リコーは2025年12月12日、ESG(環境、社会、企業統治)についての戦略を説明。ESGと事業成長を同軸化し、持続可能な社会の実現に貢献することで自社も持続的に成長するというビジネスモデルを描く。
ESGと事業を両輪として持続的成長を実現
リコーではESG戦略の基本方針として、ESG目標を将来財務目標とし、財務目標(事業成長)とかみ合わせながら、両者を対立軸ではなく同軸になるような取り組みを推進してきた。将来財務目標とは、取り組むことで3〜10年後の財務に好影響を与える活動とし、2023〜2025年度の中期経営戦略では、16の全社ESG目標を設定し、規制などに先行して取り組みを進めてきた。
リコーでは、これらのESGへの積極的な取り組みを、事業につなげていく考えだ。その具体的な事例の1つが、2025年のオランダ公共調達での成功だ。
従来リコーとの取引がない顧客に対し、MFP6000台、プリンタ1000台の導入につながったケースだが、この案件における400以上の必須要求項目の内、約50項目がESGに関する要求だった。特に難易度が高い要求事項だったSBTネットゼロ目標、サプライチェーンリスクの定期報告において、クリアできたことが他社との差別化につながった。さらに2次選定については、合計2000ポイントの内、1300ポイントがESG基準に関するものだったことから、これらESG関連への取り組みを進めてきたことが、商談獲得につながった事例になったという。
リコー ESG戦略部 ESGセンター 所長の阿部哲嗣氏は「1次選定の段階では5社での競争となったが、リコーがサステナビリティに関するポイントでトップの成績だったことから受注につながった」とESGへの取り組みがビジネスにつながった点を強調する。
リコーではこの他、オランダ商工会議所への複合機100台とプリントソリューションの導入に関する商談でも、配点合計100点のところ、資源循環に関するものが20点あり、さらに省エネ機能とカーボンオフセット提案などが評価されたため受注したケースなどもある。また、英国での公共調達においても環境やサステナビリティへの対応が差別化のポイントとなり、導入を勝ち取ったという。
一方、トランプ政権になり環境への取り組みがトーンダウンしていると指摘される米国だが、リコーでは「大手企業との商談ではESG対応が選定要件になっている」と阿部氏は強調する。
実際に、グローバルヘルスケア企業において、6200台のグローバルMPS(マネージドプリントサービス)導入に成功した事例では、サプライチェーンの選定要素として、環境方針、環境認証、外部評価、脱炭素施策、トナー回収とリサイクルサービスなどのESG基準があったという。同様に大手金融機関にグローバルMPSを100台導入したケースでも環境方針や脱炭素目標などが問われたという。「ハードに加えて、デジタルサービスにおいてもESG対応が不可避になっている」と阿部氏は述べる。
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