ダイキン工業、AIデータセンター冷却技術で米国企業を連続で買収:製造マネジメントニュース
ダイキン工業の米子会社Daikin Applied Americasが、Chilldyneを買収した。AIデータセンター向けの液体冷却技術を獲得し、高効率かつ高信頼の冷却ソリューションを拡充した。
ダイキン工業は2025年11月4日(現地時間)、米国子会社のDaikin Applied Americas(DAA)が、AI(人工知能)データセンター向け負圧式液体冷却システムで実績を持つChilldyneを買収したと発表した。今回の買収により、DAAは既存のデータセンター向け冷却ソリューションを強化し、持続可能かつ高効率な冷却技術の提供体制を拡充する。ダイキン工業は同年8月にもサーバラック単位の個別冷却技術に強みを持つDynamic Data Centers Solutions(DDCS)の買収を発表している。
Chilldyneが開発した負圧式ダイレクトチップ液体冷却技術は、サーバ内部での冷却液漏れリスクを低減しながら、GPUなどの高発熱部品を直接冷却できる点が特徴だ。従来の陽圧方式よりも安全性およびコスト効率に優れ、AIやハイパースケールデータセンターの冷却要求に応えるものとして注目されている。
Chilldyneの特許技術である冷却水分配装置(CDU)技術は、コールドプレートを介してチップから効率的に熱を除去する。これにより、GPUサーバを安定稼働させつつ、設置コストやエネルギー消費の削減にも寄与する。
さらに、DAAは2025年8月に買収したDDC Solutionsのモジュラー高密度冷却キャビネットとChilldyneの液体冷却システムを統合。高効率で信頼性の高いデータセンター冷却エコシステムを構築している。
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