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万博展示のサンゴ構造物と3Dプリンタを関西大学へ寄贈 海洋再生研究に期待:3Dプリンタニュース
関西大学は、「大阪・関西万博」でサウジアラビア館に展示された約100体のサンゴ構造物と、それらを製作した3Dプリンタの寄贈を受けた。万博での展示をきっかけに連携が生まれ、海洋再生に向けた協働へ発展した。
関西大学は2025年10月10日、「大阪・関西万博」でサウジアラビア館に展示された約100体のサンゴ構造物と、それらを製作した3Dプリンタの寄贈を受けた。同月15日には、同大学千里山キャンパスで受け渡しセレモニーを開催した。
寄贈されたサンゴ構造物は、サンゴ由来の素材を使用し、3Dプリンタで実際のサンゴの骨格を再現したレプリカだ。紅海のサンゴ礁再生をテーマにした展示の一環として公開され、海洋環境の再生を象徴する作品として注目を集めた。また、3Dプリンタの寄贈を受けたことで、大学でのサンゴ構造物の製作や量産が可能になり、教育および研究面で新たな展開が期待される。
連携のきっかけは、同大学が企業9社と出展した「関大リボーンチャレンジ」だ。同大学発ベンチャーのイノカが、独自の「環境移送技術」を使って水槽内に再現した生態系において、真冬のサンゴ人工産卵に成功。これを視察したサウジアラビア館のスタッフから国際共同研究の提案を受け、国境を越えた協働へ発展した。
今後は、同大学化学生命工学部教授 上田正人氏が開発した「サンゴポリープ定着技術」を活用し、イノカとサウジアラビアの大学、研究機関が共同でサンゴ細胞の移植と育成に取り組む。生命を持たない骨格に細胞を定着させることで、サンゴ礁の修復を加速させる狙いだ。
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