CO2を回収して植物に還元する未来のベンチが万博に:サステナブル設計
ExtraBoldは、SyncMOF、相合家具製作所と共同で、CO2を吸着する新素材「MOF」を活用したサステナブルなベンチ「MOF Bench」を製作し、大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンに設置したことを発表した。
ExtraBoldは2025年4月17日、SyncMOFおよび相合家具製作所と共同で、CO2を吸着する新素材を活用したサステナブルなベンチ「MOF Bench」を製作し、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の「大阪ヘルスケアパビリオン」に設置したことを発表した。
MOF Benchは展示品ではなく、実際に使用可能な公共のベンチとして同パビリオン内のSyncMOFブース前に設置され、来場者は自由に利用できる。
多孔性材料「MOF」を活用し、大型3Dプリンタで製造
デザインは、名古屋市立大学 芸術工学部 准教授の影山友章氏が中心となって担当した。植物の葉をモチーフにした形状で、葉脈に当たる部分には、名古屋大学発のディープテックスタートアップであるSyncMOFが開発したCO2を吸着する多孔性材料「MOF(Metal-Organic Framework)」を混練した樹脂が使用されている。空気中のCO2は葉脈部を通じて回収され、中央に配置された「ミライの果実」(植物)へと還元される。
ミライの果実は、CO2をエネルギーに変換する“未来の植物”をイメージしており、同プロジェクトが目指す脱炭素社会へのビジョンと、環境課題の解決に向けた姿勢を象徴的に表現したものだという。なお、積層痕を意匠として生かした透明な樹脂部分も非石油由来のサステナブル材料が用いられている。
ExtraBoldがプロジェクトマネジメントを担当するとともに、MOFを混練した樹脂材料(MOF Benchの青色の部分)を開発。設計および製作は、ExtraBoldのペレット押出式大型3Dプリンタ「EXF-12」のユーザーでもある相合家具製作所が協力した。EXF-12を活用することで、従来の製造工程では困難な曲面構造や造形表現を可能にし、設計、検証、製造までの全工程を約1カ月という短い期間で完了させた。
なお、SyncMOFは2025年4月14日にExtraBoldが正式発表した、持続可能なモノづくりを支援する法人向け会員制サービス「BOLDGYM ACADEMY」のマテリアル会員として同プロジェクトに参加。相合家具も過去に「BOLDGYM」を通じた導入トレーニングを受講している。
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