パビリオンの外装に命を吹き込む凹凸テクスチャー 3Dプリント技術で転写:3Dプリンタニュース
ExtraBoldは大阪・関西万博の「シグネチャーパビリオン『いのちめぐる冒険』」に採用された海水コンクリート製パネルの一部製作に、是永商会とともに参画した。
ExtraBoldは2025年4月28日、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」で河森正治氏がプロデューサーを務める「シグネチャーパビリオン『いのちめぐる冒険』」に採用された海水コンクリート(真水の代わりに海水で練った新たなコンクリート建材)製パネルの一部製作に、是永商会とともに参画したことを発表した。
いのちめぐる冒険パビリオンは、鉄骨フレームとコンクリートパネルで構成される“セル(細胞)”を基本単位とした構造を用い、「生命が生まれ、めぐり、つながる」様子を建築物として具現化している。セルを構成するコンクリートパネルの一部に、人間が使える貴重な水資源の代わりに大阪湾の海水を使用した海水コンクリートを採用し、建築的挑戦と環境配慮の両立を図っている。
今回、海水コンクリート製パネルの表現力を最大限に引き出すために、ExtraBoldの3Dプリンティング技術と是永商会の施工技術を用い、複雑かつ高精度な凹凸が施されたテクスチャーパネルを開発した。
約3カ月にわたった開発フェーズでは、型枠(転写パネル)の造形にExtraBoldのペレット押出式大型3Dプリンタ「EXF-12」を活用し、是永商会のエンジニアがExtraBoldの拠点に滞在しながら技術検討と試作を進めた。また、その後の量産フェーズでもEXF-12を使用し、両社が密に連携して製造に向けた各種調整や品質管理を行い、テクスチャーパネルの量産を実現した。
高品質かつ再現性に優れた転写パネルの製作プロセスの確立など、同プロジェクトを通じて得られた知見は、持続可能なモノづくりを支援するExtraBoldの法人向け会員制サービス「BOLDGYM ACADEMY」にも展開され、建材用途における3Dプリントの可能性とその発展などにつなげたい考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
CO2を回収して植物に還元する未来のベンチが万博に
ExtraBoldは、SyncMOF、相合家具製作所と共同で、CO2を吸着する新素材「MOF」を活用したサステナブルなベンチ「MOF Bench」を製作し、大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンに設置したことを発表した。持続可能なモノづくりを目指す企業よ集え! 「BOLDGYM ACADEMY」第一期募集
ExtraBoldは、デジタルモノづくりとサステナブルな製造を支援する法人向け会員制サービス「BOLDGYM ACADEMY」を開始すると発表した。大型3Dプリンタやリサイクル/アップサイクル装置などを活用し、持続可能なモノづくりを目指す企業のための実践的な環境を提供する。富士フイルムBIの構造色インクジェット技術 万博パビリオンの建物外観に採用
富士フイルムビジネスイノベーションは「大阪・関西万博」において、同社の「構造色インクジェット技術」が「シグネチャーパビリオン『いのち動的平衡館』」の建物外観に採用されたことを発表した。ホタテの廃棄貝殻から生まれたベンチを万博で展示 建設用3Dプリンタで製造
甲子化学工業は、清水建設、TBWA/HAKUHODOと共同でホタテ貝殻を再利用して作られたサステナブルなベンチ「HOTABENCH」を開発し、「大阪・関西万博」での展示を開始した。東京と大阪の2拠点で、同ベンチの製造プロセスなどを学べるツアーも計画する。3Dプリンタを活用し、廃プラから「大阪・関西万博」の演台/司会者台を製造
鴻池組とスワニーは「大阪・関西万博」の施設整備事業小催事場建設工事において、3Dプリンタで製作した演台/司会者台を納品した。建設現場から回収したPPバンドを再資源化し、ペレット押出式大型3Dプリンタで造形を行った。日本館で常設展示 2機のロボットアーム型3Dプリンタを活用した未来の工場の姿
慶應義塾大学KGRI 環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターを中心とする共創チームは「大阪・関西万博」で、循環型モノづくりシステム「双鶴」を常設展示。2機のロボットアーム型3Dプリンタや藻類由来のバイオプラスチックを用い、未来の工場の姿を披露する。