牧野フライスが欧州で重量ワークをしっかり削れる5軸横型MC披露、新制御装置も:EMOハノーバー2025
牧野フライス製作所は欧州最大級の工作機械展示会「EMO Hannover 2025」において、新たな5軸制御横形マシニングセンタ「a630iT」を披露した。
牧野フライス製作所は欧州最大級の工作機械展示会「EMO Hannover 2025」(2025年9月22〜26日:現地時間、ドイツ・ハノーバー)において、新たな5軸制御横形マシニングセンタ「a630iT」を披露した。
a630iTは630×630mmのパレット、毎分1万回転可能な50番の主軸を備え、最大で径1000×800mm、1トンのワークに対応するトラニオンテーブルを搭載している。重量ワークの加工でもA軸はー195〜+45度の傾斜範囲を実現。テーブルのA軸のサポートをコンパクトにしたことで、作業者のワークへの接近性と視認性を確保している。
「鉄などの重いワークをどんな位置でもしっかりと割り出して加工する。欧州の防衛産業やエネルギー産業などで重量のあるワークの加工が増えてきている。それらをターゲットにしたいと考え、a630iTを今回のEMO Hannoverに出展した」(牧野フライス製作所 営業本部 欧米営業部 ゼネラルマネージャの押切智大氏)
早送り速度は毎分6万mm(X/Y/Z軸)で非切削時間を短縮。自動化に対応するため、標準で136本の工具マガジン、パレットチェンジャーを搭載している。a1シリーズで採用されているX軸とZ軸の一体型カバーを受け継ぎ、切りくずの処理も容易となっている。
従来の横型マシニングセンタと同一のパレットを使っており、互換性を持たせている。「横型マシニングセンタで加工した後、5軸加工が必要な部分はa630iTで加工するなど、2台を連結させることも可能だ」(押切氏)。
牧野フライス製作所の新たな制御装置「Professional 7」を搭載している。24インチの縦2画面構成で、加工中情報の確認と作業効率の向上した他、NCプログラムの加工終了時刻や工具使用状況の予測などを行い、作業スケジュールを可視化できる。
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