THK工具監視AIソリューションがファナックCNCとリアルタイム連携へ:工作機械
THKは、同社の工具監視AIソリューションとファナックのCNC装置とのリアルタイム連携を開始する。混合生産や変種変量生産工程での誤検知を低減するほか、工具交換を最適化し、品質や段取りのロスを削減する。
THKは2025年8月27日、同社の工具監視AI(人工知能)ソリューションについて、ファナックのCNC(コンピュータ数値制御)装置とリアルタイム連携すると発表した。同年9月から連携を開始する。
工具監視AIソリューションは、設備総合効率(OEE)を最大化するプラットフォーム「OMNIedge(オムニエッジ)」の機能の1つだ。工作機械のサーボアンプケーブルに追加した電流センサーやCNC入力信号から加工中の波形を取得し、製造過程のデータを通じて学習した「正常モデル」との乖離を捉えて異常を判定する。旋盤、マシニングセンタ、自動盤といった設備の多様な条件において導入され、微小な異常の段階で製造ラインを保護してきた。
新たに開始する連携では、加工プログラムや工具番号などの情報をCNC側からリアルタイムで直接取得できる。混合生産や変種変量生産の工程で加工の種類を切り替えた場合も、種類ごとの正常モデルを自動で変更し、誤検知や見逃しを抑える。これにより、品質判定の精度と応答性はそのままに、現場の段取り負荷を軽減できる。
導入については、電流センサーやAIコントローラー、通信環境、アプリケーションまでをワンパッケージで提供し、機器選定の手間を最小化。また、工具の摩耗度を継続モニタリングして刃具寿命のばらつきを可視化することで、交換頻度を最適化し、工具コストの削減に貢献する。その結果、OEEの課題になりやすい、品質によるロスと段取りによるロスを同時に削減する。
従来、CNC装置との連携は、ラダープログラムを編集したり、加工中の品種と波形データを手作業でひも付けたりする必要があった。同社は今後も既存ソリューションの機能を強化し、製造現場のロス低減とOEEの最大化を支援していく。
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