「EV参入への門戸を自ら閉ざすつもりはない」THKが自社開発EVプロトタイプを出展:ジャパンモビリティショー2023(1/2 ページ)
THKは、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に初出展し、EV時代に向けて、独自の直動部品などを活用したステルスシートスライドシステムなどの新技術群を紹介した他、これらの技術を詰め込んだ独自開発のEVプロトタイプを世界で初めて披露した。
THKは、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:2023年10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)に初出展し、電気自動車(EV)時代に向けて、独自の直動部品などを活用したステルスシートスライドシステムなどの新技術群を紹介した他、これらの技術を詰め込んだ独自開発のEVプロトタイプを世界で初めて披露した。
THKではEV時代を見据え、早期から同社が持つ直線運動案内機構であるLMガイドの活用領域の拡大などさまざまな研究開発を進めてきていた。JAPAN MOBILITY SHOW 2023ではまずこれらの新技術群を紹介した。
その1つがステルスシートスライドシステム「SLES」だ。これは、シート座面内部とフロア接合部に、1つずつLMガイドを配置し、コンパクトな足回りスペースで、シートのスライドや傾き調整などを可能にするものだ。LMガイドと専用のアクチュエーターでスライドさせることで実現している。既にシートとしての導入事例としては、クルーズトレインや航空機のビジネスクラス用などがあり、今回はその技術をクルマ用にアレンジした。「高級車などを中心に足回りスペースをよりきれいにコンパクトにしたいというニーズが生まれている。LMガイドを生かすことでこうしたニーズに応えることができる」とTHK 産業機器統括本部 技術開発統括部 技術開発第二部 部長の西出哲弘氏は述べている。
また、走行系でもさまざまな技術を提案。可変磁束型インホイールモーター「enemo」は、THKの高剛性ボールねじスプラインを使用した可変磁束機構により、高トルクと高回転を両立したインナーロータータイプのインホイールモーターである。THKのRガイドをリアステアに組み込むことで大きな舵角を有した4WSが可能となり、理想的な走行ラインに貢献する。アクティブサスペンション「ALCS」は、THKのボールねじスプラインを駆動させ、路面の凹凸に対応した車高調整と姿勢制御を行う。高速走行時には、車高を下げて空気抵抗を減らしたり、非接触給電を効率的に行ったりすることが可能となる。MR流体減衰力可変ダンパー「MRDT」は、THKの持つ免震技術を活用し、粘性体とボールねじを使用したロータリーダンパーで、サスペンションの減衰力を電子制御で可変させ、振動を吸収する。車高制御可能なALCSと協調制御も可能だ。
加えて、EVが道路走行中に充電を行えるように、非接触給電システム「CLPS」なども用意した。DWPT(Dynamic Wireless Power Transfer)方式で、地面に送電装置を埋めて車両に受電装置を搭載。ALCSにより車高を下げることで充電効率を上げ、受電装置の小型化と軽量化を行える。この方式で充電時間の短縮と車載バッテリーを減らしても航続距離を延ばすことを想定しているという。
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