約70年の歴史を持つコニカミノルタのプラネタリウム、独自LEDシステムを外販へ:組み込み開発ニュース
コニカミノルタとコニカミノルタプラネタリウムは、「プラネタリウム満天NAGOYA」などのLEDドームプラネタリウムに採用している独自のLEDシステム「DYNAVISION-LED」のフレキシブルLEDカーブビジョンの外販を本格的に開始する。
コニカミノルタとコニカミノルタプラネタリウムは2025年8月20日、「プラネタリウム満天NAGOYA」(名古屋市西区)などのLEDドームプラネタリウムに採用している独自のLEDシステム「DYNAVISION-LED」のフレキシブルLEDカーブビジョンの外販を本格的に開始すると発表した。企業のショールーム、ミュージアムなどの展示、商業施設の多目的空間のビジョン、交通/防災系コントロール室のビジョン、フライト/ゲームシミュレーターなどを主な用途に想定している。
DYNAVISION-LEDのフレキシブルLEDカーブビジョンは、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の常設展示に先行採用されている。同展示では、フレキシブルパネルによるカーブビジョンにおいて日本で初めて、0.9mmの素子ピッチによる高精細と縦3×横10mの大型サイズを両立するフレキシブルLEDカーブビジョンが採用され、映像体験エリアに設置されている。
同展示の上映コンテンツは映像クリエーターの上坂浩光氏がプロデュースしており、人類が月に進出した歴史や、再び月を目指し、月面探査におけるさまざまなプロジェクトとその意義を伝えるというテーマになっている。フレキシブルLEDカーブビジョンによる迫力ある映像と音響により、来場者へ月面での没入体験を提供しているという。なお、JAXAの常設展示は「デジタルサイネージアワード2025」で「優秀賞」を受賞した。
DYNAVISION-LEDは、LEDパネルをモジュール化することで、形状、サイズ、素子ピッチをフルカスタムで設計できるLEDビジョンである。組み合わせにより、平面/曲面/波形/球形(球体)など自由自在な表示形態の映像表示装置としてLEDシステムを構築できることを特徴としている。曲面や球面の設計/施工、映像表示技術については、コニカミノルタの前身に当たる千代田光学精工が国産初のプラネタリウム(1958年9〜11月に兵庫県の阪神パークで開催された科学大博覧会で展示)を手掛けて以来、約70年間培ってきたプラネタリウム技術が生かされているという。
2019年から実証実験を開始したDYNAVISION-LEDは、2021年に「DYNAVISION-LED」1号機をプラネタリウム満天NAGOYAに、2022年に2号機を「プラネタリアYOKOHAMA」(横浜市西区)に導入した。さらに2023年には、インド科学技術省が管轄する宇宙物理学研究所主導のプロジェクトである「COSMOS Mysuru Planetarium」に、インドで初めてのLEDドームプラネタリウムとして採用され、現在建設中である。
コニカミノルタはDYNAVISION-LEDについて、「従来のプロジェクターによる投映方式では表現が難しかった、抜けるような青い空や海、真っ赤な夕焼け、キラキラと輝く星空などの実写映像や、高精細なCG映像なども美しく再現できる。また、奥行きが感じられることで没入感が増し、目を見張るほどのリアルな臨場感と美しい映像体験を提供する」としている。
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