エネルギー使用量を削減する国内初の反応染料用インライン前処理インク:材料技術
コニカミノルタは2025年7月23日、インクジェットテキスタイルプリンタ「Nassenger(ナッセンジャー)」シリーズ向けに、反応染料用インライン前処理インク「O'ROBE(オーローブ)」を発表した。同インクは、インクジェット捺染工程を短縮し、エネルギー使用量を削減できる。
コニカミノルタは2025年7月23日、インクジェットテキスタイルプリンタ「Nassenger(ナッセンジャー)」シリーズ向けに、反応染料用インライン前処理インク「O'ROBE(オーローブ)」を発表した。同インクは、インクジェット捺染工程を短縮し、エネルギー使用量を削減できる。
天然繊維に使用する反応染料インクは、繊維へのにじみを防いで鮮やかに発色させるため、薬剤によるコーティング処理が必要だ。従来の前処理工程では、薬剤の廃棄処理や乾燥に電力、ガスなどを要し、環境負荷などが課題となっていた。
O'ROBEは、この前処理工程を省き、プリントと同時に必要な量の前処理インクを生地上に塗布できる仕組みを採用。これにより薬剤使用量を削減でき、コーティング後の乾燥工程を不要にした。また、前処理をプリント工程に一体化することで、染色加工企業の設備投資や管理コストを抑え、収益性の改善に貢献する。
タオルやTシャツのインターネット通販を手掛けるユタカは、O'ROBEの導入により自社内インクジェット捺染工程での前処理が可能になった。以前は外注で前処理していた生地の運搬や保管の負担が軽減し、品質変化のリスクも低減した。キャラクターなどのプリントでも、染料インクの浸透性が向上し、粒状感がなくなり自然な表現が可能になったという。小ロット生産にも優位なため、限定品などにも対応する。
インク名のO'ROBEは、「Optimization」「One」「Origin」の3つの意味を込めた「O'」と、フランス語で「布」を意味する「ROBE」を組み合わせた造語だ。生地とインクの一体化というコンセプトを象徴している。同社は今後も、事業を通じて有限な資源の有効利用に取り組むとしている。
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