ニュース
エコプロダクトとして高精細エッチング用ステンレス鋼を新規展開:材料技術
日本金属は、環境配慮製品「エコプロダクト」の第4弾として、高精細エッチングの反り解消と結晶粒径微細化を実現するステンレス鋼「STA(スペシャルテンションアニーリング)仕上」を新規展開すると発表した。
日本金属は2025年7月30日、環境配慮製品「エコプロダクト」の第4弾として、高精細エッチングの反り解消と結晶粒径微細化を実現するステンレス鋼「STA(スペシャルテンションアニーリング)仕上」を新規展開すると発表した。
従来の「TA(テンションアニーリング)仕上」は、高い平たん度、低残留応力、加工後の形状安定性に優れたステンレスばね材として高い評価を得ている。これをさらに進化させたSTA仕上は、残留応力のさらなる低減により、エッチング加工への適性を大幅に高めた。
エッチング加工、特にハーフエッチング工程では、ばね材の反りが課題とされてきた。STA仕上ではこの反りの軽減によって形状安定性を向上している。
さらに、エッチング面の滑らかさに対するニーズに応え、結晶粒径の微細化を実現した。これにより、高精細な微細加工用途にも対応可能となった。
これらの特性により、工程の省略や簡素化を可能とし、顧客の製造プロセス全体におけるエネルギー効率向上と環境負荷軽減に貢献する。加えて、製品設計の自由度が高まることで形状や仕様の最適化が可能となり、加工効率の向上や歩留まり改善にも役立つ。
そこで同社は、これらの観点からSTA仕上をエコプロダクトとして認定した。なお、STA仕上の鋼種はSUS304、SUS301、SUS430などで、厚みは0.1〜0.5mm、幅は最大600mm。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
高い表面絶縁抵抗を持つステンレス鋼を開発 スマホや電池に利用可能
日本金属は高い表面絶縁抵抗を有するステンレス鋼「FI(Fine Insulation)仕上」を開発した。ステンレス鋼表面に発生する腐食の起点を特定する手法を開発
東北大学は、ステンレス鋼表面に生じる、サブミクロンの腐食の出発点を特定する手法を開発したと発表した。金属が溶解するサイズを小さくとどめ、腐食起点を特定可能になった。低温下のステンレス鋼で延性を失わずに高強度化できるメカニズムを解明
京都大学らは、低温下のステンレス鋼で延性を失わずに高強度化できる手法を発見し、メカニズムを解明した。ステンレス鋼の結晶粒を1ミクロン以下に超微細化することにより、低温での延性と強度を両立できる。多孔質ステンレス鋼基板と電解質ナノ粒子を用いた固体酸化物形燃料電池を開発
産業技術総合研究所は、金属を支持体とした固体酸化物形燃料電池を、ポーライトと共同開発した。もろくて割れやすいセラミックスが支持体の固体酸化物形燃料電池に比べ、強靭化している。フォックスコン顧問が伝える日本が技術開発立国を目指すべき意味
金型専門見本市「INTERMOLD2017/金型展2017」(主催日本金型工業会)および「金属プレス加工技術展」(日本金属プレス工業会)の特別講演に立った東京大学名誉教授の中川威雄氏は、「経営者に厳しさが不足している」や「製造業以外の産業が非効率で足を引っ張っている」「高度な新技術に賭け、技術開発立国となることが必要」などの持論を述べた。