国産SAF製造に向け阪急阪神不動産/ホテルズが廃食用油を提供:リサイクルニュース
阪急阪神不動産、阪急阪神ホテルズ、日揮ホールディングス(日揮HD)、レボインターナショナルおよびSAFFAIRE SKY ENERGYは、廃食用油を原料とした持続可能な航空燃料(SAF)製造事業に協力するための基本合意書を締結した。
阪急阪神不動産、阪急阪神ホテルズ、日揮ホールディングス(日揮HD)、レボインターナショナルおよびSAFFAIRE SKY ENERGYは2025年5月7日、廃食用油を原料とした持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)製造事業に協力するための基本合意書を締結したと発表した。
併せて、阪急阪神不動産と阪急阪神ホテルズは、国内資源循環による脱炭素社会実現に向けたプロジェクト「Fry to Fly Project」に参画する。
Fry to Fly Projectは、家庭や店舗などで発生する廃食用油を原料とするSAFで航空機が飛ぶ世界を実現するプロジェクトだ。日揮HDが事務局を務め、設立趣旨に賛同する212の企業、自治体、団体が参加している(2025年3月末時点)。
各社の役割
日揮HDはSAF製造事業に関するサプライチェーンを構築し、レボインターナショナルが廃食用油を回収/管理し、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYがSAFを製造する。
レボインターナショナルは、阪急阪神不動産の分譲マンションシリーズ「ジオ」の入居者から回収した廃食用油と、阪急阪神ホテルズの料飲施設から排出される廃食用油の提供を受ける。さらに、近隣自治体や地域イベントなどと連携してSAFの環境価値啓発などに取り組むことも検討していく。
今回の合意書締結に至った経緯
阪急阪神不動産では、2011年8月からジオの入居者の協力を得て廃食用油の回収活動を行っており、現在では110物件、1万1000戸以上の入居者を対象に累計4万2000リットル(l)以上の廃食用油回収を実施してきた。
当初から回収した廃食用油はレボインターナショナルが引き取りを行っており、こうした長年にわたる関係から、レボインターナショナルが参画するSAF事業への提供について合意に至り、基本合意書を締結した。ジオでの廃食用油の回収については、2024年から首都圏にもエリアを拡大し、ジオ板橋大山(東京都板橋区)、ジオ瑞江(東京都江戸川区)、ジオ蕨中央(埼玉県蕨市)をはじめ、今後も物件数を増やしていく計画だ。
また、阪急阪神不動産が運営する賃貸施設でも、2025年4月から「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」(大阪市北区)のオフィス部分でSAF回収をスタートしており、他物件での取り組みについても検討を進めている。
阪急阪神ホテルズでは、廃棄物の再資源化を重要な課題と捉え、2008年から阪急バスの運行に必要なバイオディーゼル燃料の原材料として廃食用油の回収を開始し、これまでに直営ホテルのレストランなどの厨房から累計26万7000l以上を回収してきた。近年は、阪急阪神不動産とともに廃食用油の回収と再資源化に取り組んでおり、SAF事業の重要性を踏まえて今回の協業に合意した。
SAFの製造について
日揮HDとレボインターナショナルは、コスモ石油と共同で、国内における廃食用油の収集からSAFの製造、輸送、供給に至るまでのサプライチェーン構築に向けて事業化検討を進め、2022年にSAFFAIRE SKY ENERGYを設立し、国内で発生する廃食用油のみを原料とした年間約3万KlのSAFの供給を目指している。
2024年12月にコスモ石油堺製油所(大阪府堺市)内においてSAF製造装置の建設が完了し、2025年4月から供給を開始した。供給するSAFは、国際的な持続可能性認証であるISCC CORSIA認証を取得している。なお、この事業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より採択を受けた助成事業だ。
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