廃食用油を原料にSAFを製造できる大規模生産実証設備が完成:工場ニュース
日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナル、日揮、SAFFAIRE SKY ENERGYは、廃食用油を原料としたSAF(持続可能な航空燃料)を製造するための大規模生産実証設備をコスモ石油堺製油所で完成させたと発表した。
日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナル、日揮、SAFFAIRE SKY ENERGYは2025年3月7日、国内で初めて、廃食用油を原料としたSAF(持続可能な航空燃料)を製造するための大規模生産実証設備をコスモ石油堺製油所(大阪府堺市)で完成させ、同月6日に竣工(しゅんこう)式を開催したと発表した。今回の取り組みは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施しているバイオジェット事業において行われた。
今回の取り組みの目的
今回の取り組みでは、原料調達からSAFの大量製造、品質管理、供給に至るまでのサプライチェーンを構築することが目的だ。
原料調達では、原料となる廃食用油の安定的な調達が課題となるが、解決策として多数の企業と協力関係を築き廃食用油を継続的に確保できるようにした。
生産では、実証に耐え得るように、供給される廃食用油の種類に応じてその特性を装置設計に反映可能な国内初の大規模生産設備をコスモ石油堺製油所に建設。
供給では、同設備から得られるSAFについて、既存のジェット燃料と同様に空港に輸送/供給できる体制を整えた。
今後の展開
今回の取り組みにより、原料調達からSAFの大量製造/品質管理、空港への供給に至る一連のサプライチェーンが構築され、国内初の国産SAF大規模供給の実現と、国産SAFの社会実装の加速が期待される。今後は、SAFFAIRE SKY ENERGYが年間約3万キロリットルのSAF供給の実現を目指す。
今回の取り組みの背景
航空需要は長期的な拡大が見込まれており、航空業界では地球温暖化対策としてCO2の排出量削減が喫緊の課題となっている。そこで、国際民間航空機関(ICAO)はSAFの普及と導入を推進しており、2050年までにカーボンニュートラルを実現するために必要な手段の1つとして位置付けている。
NEDOでは、SAF製造技術の開発と原料調達からSAFの空港への供給に至るサプライチェーンモデルを構築する事業を推進。そのテーマの1つとして、日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナル、日揮、SAFFAIRE SKY ENERGYは、国内で原料である廃食用油の調達からSAF製造/品質管理、空港への供給に至るまでのプロセスの実証に向けて取り組んできた。
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