ニデック工作機械会社トップたちは牧野フライスTOBで何を語ったか:製造マネジメントニュース(4/4 ページ)
牧野フライス製作所へのTOBを開始したニデックが、傘下の工作機械メーカーのトップとともに記者会見に臨み、牧野フライス製作所へのメッセージなどを語った。
世界に貢献できる機械事業集団を ニデック 機械事業本部長 西本達也氏
牧野フライスと一緒に、持続的に強い成長を続け、日本のみならず世界経済に貢献できる機械事業集団を作ることができると確信している。
ニデックが買収した機械事業関連の会社は12社ある。OKKは、救済型のM&Aだ。銀行から“優秀な技術者がたくさんいる。助けてほしい”といわれた。その上で、森本と会って話をした。
製品もいい。新しい経営者(森本氏)の目も輝いている。一緒にやれば、製品をより強くできると考え、荒木、永守に相談して、決断した。2021年10月に既に決まっていたが、実際に発表したのは2021年11月だ。荒木らは連日の徹夜作業だった。
なぜ急いだか。このままだと、12月にボーナスが出た後、会社を辞める人が出てしまう。人材がいなくなってしまう。11月に発表して、12月にボーナスを支払い、辞める人も少なかった。むしろ辞めた後、戻ってきた人も十数人いた。
TAKISAWAとは計6回、毎回3時間ほど、経営陣や社外取締役とひざ詰めで話し合った。その中でよく質問で出てきたのはOKKのケースだ。たくさん辞めた人がいるじゃないかと。それに対して1つずつ説明して納得いただいた。
もう1つ多かった質問は、サプライヤー関連だ。ニデックがあり、ニデックオーケーケー、ニデックマシンツールもあり、「販売網がめちゃくちゃになる」といわれた。何回も質問され、その都度お答えした。最後にはお分かりいただけた。三菱重工工作機械は株主から頼まれた。
M&Aを実施した欧米の9社は100年超の歴史を持つ、優良な会社ばかりだった。何度も説得してグループ入りしていただいた。それらの会社は言語も違えば、文化も全く違う。それらと向き合ってきた。
牧野フライスは、ニデックの機械は“汎用品だ”と、文化の違いを指摘するが、われわれのプレス機は100%、ユーザーの要望に沿った仕様の“Build to Suit”だ。減速機も、顧客の仕様に合わせて作っている。
2012年に買収した米国のMinstarは、当時のトップがまだ会社を率いている。2015年に買収したスペインのArisaも同様だ。本当にニデックが嫌なら、辞めているだろう。でもまだ辞めていないということを、牧野フライスの経営陣の皆さまに説明したかった。社員の給与も上がっている。社員の方々、経営陣の方々と向き合ってやっていく。
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