RISC-Vベースの車載マイコンを開発へ、次世代SDVに求められる多様な要件に対応:組み込み開発ニュース
Infineon Technologiesは、今後、数年以内にRISC-Vベースの車載マイコンを開発すると発表した。RISC-Vベースの車載マイコンは、次世代のSDVに求められる多様な要件に対応する。
Infineon Technologies(インフィニオン)は2025年3月6日、今後、数年以内にRISC-Vベースの車載マイコンを開発し「AURIX」シリーズに追加すると発表した。
これにより、同社のCPUコア「TriCore」を搭載した「AURIX TC」ファミリーやArmコアをベースとする「TRAVEO」「PSOC」ファミリーの車載マイコンのポートフォリオを拡充。AURIXファミリーは、エントリーレベルから高性能マイコンまで、幅広い車載アプリケーションをカバーすることになる。
車載マイコンの世界市場において28.5%とトップシェアを誇る同社は、Quintaurisを通じて他の大手半導体企業と協力し、RISC-Vベース製品の商用化を進めている。なお、半導体サプライヤーとして車載RISC-Vマイコンファミリーを発表したのは、インフィニオンが初だという。
また同社は、RISC-Vベースの車載マイコンファミリーの採用を促進すべく、ソフトウェアやツールのパートナー企業との連携を強化している。IAR、Elektrobit、Green Hills、Synopsysなどの企業が既にソフトウェア開発キットを利用し始めており、展示会「Embedded World 2025」で最初のソリューションを展示する予定だ。
インフィニオンは、RISC-Vが自動車業界のオープンスタンダードになると捉えている。SDV(ソフトウェアデファインドビークル)が広がる次世代には、リアルタイム性能やセキュリティに加え、柔軟性や拡張性、ソフトウェアのポータビリティーがより重要になるとし、RISC-Vベースのマイコンはこれらの要件に対応するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
RISC-V CPUコアを搭載する先端的なパワー制御システム向けMCUをTSMCと共同開発
サンケン電気は、TSMCの22ULLプロセスおよびRRAM技術を活用し、RISC-V CPUコアを搭載した先端的なMCUを共同開発した。さまざまなパワー制御アルゴリズムを高性能処理できる。デンソーがQuadricとライセンス契約、RISC-VベースプロセッサIPにNPUを組み込み
デンソーは、NPUに関する開発ライセンス契約をQuadricと締結した。Quadricの「Chimera GPNPU」のIPコアライセンスを取得し、デンソーのRISC-Vベースのプロセッサと組み合わせることで、車載用半導体IPを共同開発する。自社開発のRISC-V CPUコアを搭載した32ビット汎用マイコン
ルネサス エレクトロニクスは、自社開発のRISC-V CPUコアを搭載した、32ビット汎用マイクロコントローラー「R9A02G021」を発売、量産を開始した。RISC-VプロセッサとFPGAから成るSoCの設計を低コスト化する開発キット
Microchip Technology(マイクロチップ)は、RISC-VおよびFPGA設計を低コストで可能にする多機能なオープンソースの開発キット「PolarFire SoC ディスカバリキット」の提供を開始した。ルネサスがRISC-Vベースの32ビットCPUコアを独自開発、マイコンやASSPで展開
ルネサス エレクトロニクスは、オープンスタンダードのRISC-V命令セットアーキテクチャをベースとした32ビットCPUコアを独自に開発した。CoreMark/MHzスコアは3.27を達成している。シノプシスがプロセッサIPにRISC-Vを採用、その名も「ARC-V」
シノプシスは、車載システムやストレージ、IoTアプリケーション向けのプロセッサIP「ARC-V」を発表した。32ビットの「ARC-V RMX」「ARC-V RHX」、64ビットの「ARC-V RPX」を用意する。