真空でも稼働する高耐熱仕様の全固体ナトリウムイオン電池を開発:材料技術
日本電気硝子は、「BATTERY JAPAN【春】〜第18回 [国際] 二次電池展〜」に出展し、開発品として高温/真空下で動作する「真空/高耐熱仕様の全固体ナトリウムイオン電池」を披露した。
日本電気硝子は、「第23回 SMART ENERGY WEEK【春】」(2025年2月19〜21日、東京ビッグサイト)の「BATTERY JAPAN【春】〜第18回 [国際] 二次電池展〜」に出展し、開発品として高温/真空下で動作する「真空/高耐熱仕様の全固体ナトリウムイオン電池」を披露した。
ガラス封止技術を活用し真空対応を実現
半導体製造で利用される最先端プロセスでは、真空や高温の状態となる過酷な工程を設けている。これらの工程では高価かつ精密な製造装置が使われている。同工程で使用される電池は、過酷な環境に耐えられるのみでなく、いかなる状況でも腐食性ガスが一切発生しないことが求められる。
この課題に対する解決策として、日本電気硝子は200℃までの高温環境で使用できる耐熱仕様の全固体ナトリウムイオン電池を開発し、顧客に提案してきた。耐熱仕様の全固体ナトリウムイオン電池は、200℃の高温環境でも良好な耐久性能を示す他、電池部材の全てが安定な酸化物で構成されていることから、封止が破れた場合も腐食性ガスが発生しない。
今回展示した真空/高耐熱仕様の全固体ナトリウムイオン電池は、上記のような耐熱仕様とともに真空対応を実現した。同電池はサイズや公称容量などが異なる「真空・高耐熱仕様1(SNB011515T)」と「真空・高耐熱仕様2(SNB015050T)」の2種類をラインアップしている。
日本電気硝子の担当者は「真空/高耐熱仕様の全固体ナトリウムイオン電池は当社のガラス封止技術を用いてパッケージに工夫を施すことで真空での稼働を実現した」と話す。会場では同電池のデモンストレーションとして真空状態での給電が披露された。用途としては半導体製造装置用の電池や宇宙機器向けの電池などを想定している。
また、会場では標準品(容量:80mAh)や高密度品(500mAh)の全固体ナトリウムイオン電池も展示。標準品に関しては逆電圧試験(印加電圧−20V)の実演を行い、過放電をしても故障しない点を紹介した。日本電気硝子の担当者は「標準品は既に有料でサンプル提供を行っており、現在は2025年中の上市に向け生産の準備を進めている。高密度品は研究/開発の段階だ」と語った。
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