半導体ガラスコア基板の開発目指し CO2レーザーでビア形成を可能にするため協業:材料技術
日本電気硝子とビアメカニクスは、ガラスおよびガラスセラミックス製の半導体パッケージ用無機コア基板の開発加速に向けた共同開発契約を締結した。
日本電気硝子とビアメカニクスは2024年11月19日、ガラスおよびガラスセラミックス製の半導体パッケージ用無機コア基板の開発加速に向けた共同開発契約を締結したと発表した。
ビアメカニクスのレーザー加工装置を導入
現在の半導体パッケージでは、コア基板としてガラスエポキシ基板など、有機材料ベースの基板が主流だ。今後、需要の拡大が期待される生成AI(人工知能)向けをはじめとするハイエンドの半導体パッケージでは、コア基板上の回路や微細加工穴(ビア)にさらなる微細化、高密度化、高速伝送が可能な電気特性が求められている。有機材料ベースの基板ではこれらのニーズに応えることが難しいため、代替の素材としてガラスが注目されている。
一方、一般的なガラス基板はCO2レーザーで穴あけを行うと、クラック(割れ目)が入りやすく、基板が破損する可能性が高まるため、レーザー改質とエッチングを用いたビア形成が必要だが、加工難易度の高さや加工時間の長さが課題となってる。
そこで、日本電気硝子はビアメカニクスと今回の共同開発契約を締結した。今後、両社はCO2レーザーによるビア形成を可能にするために、日本電気硝子が長年培ってきたガラスやガラスセラミックスのノウハウとビアメカニクスのレーザー加工技術を融合する。そのため、日本電気硝子はビアメカニクスのレーザー加工装置を導入し、無機コア基板の早期開発を目指す。
共同開発における各社の役割
日本電気硝子は、「無機コア基板に使用するガラス基板およびガラスセラミックス基板のコア材料設計/開発」「ガラス基板およびガラスセラミックス基板の量産に向けた技術開発」「試作品の提供および技術課題解決に向けた提案」を担当する。
ビアメカニクスは「CO2レーザーによるクラックレスのビア形成技術開発支援」「実用化に向けた無機コア基板の評価方法の提案」を担う。
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