日本電気硝子が厚さ200μm以下の超薄板ガラスを開発、高耐熱性のITO形成にも対応:材料技術
日本電気硝子は「nano tech 2024 第23回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展し、開発した超薄板ガラス「G-Leaf」や超薄板ガラスと樹脂積層体を組み合わせた「Lamion[フレキシブル]」、紫外線遮蔽超薄板ガラス、化学強化専用超薄板ガラス「Dinorex UTG」を披露した。
日本電気硝子は「nano tech 2024 第23回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(2024年1月31日〜2月2日、東京ビッグサイト)に出展し、開発した超薄板ガラス「G-Leaf」や超薄板ガラスと樹脂積層体を組み合わせた「Lamion[フレキシブル]」、紫外線遮蔽超薄板ガラス、化学強化専用超薄板ガラス「Dinorex UTG」のサンプルを披露した。
直径3mmの折り曲げにも対応するタイプも用意
G-Leafは厚さ200μm以下の超薄板ガラスで、ガラスのフィルム化を実現している。薄くて軽く、ロールtoロールプロセスの適用や配送の効率化に対応する。耐熱性やガスバリア性などガラスの特性を保持しているため機能性も高い他、板厚が薄く曲げにより生じる引っ張り応力も小さい。そのため、曲げ半径が小さくなっても破壊することがなく、フレキシブル性に優れる。日本電気硝子のブース説明員は「ここまで薄く平滑なガラスを製造できる会社はグローバルでみても数社しかない」と語る。
用途としては、フレキシブルディスプレイ、電子ペーパー、タッチパネル、ウェアラブル端末、有機ELディスプレイ、有機EL照明、太陽電池を想定している。
同社ではG-Leafに高品質な透明導電膜(ITO)を形成することにも対応している。さらに、透明導電性ガラス(FTO)の代替となる、高耐熱性を有するITOの形成にも応じる。このITOは、ATOのように有害物質のアンチモンを含んでおらず、環境に優しい高性能材料で、表面に設けられた保護膜により加熱時のITO膜の酸化を抑え、導電キャリアの減少による抵抗の上昇を防ぐ。ITOを備えたG-Leafの用途としてはフレキシブル太陽電池とフレキシブルディスプレイを想定している。
Lamionは、G-Leafと樹脂フィルムを組み合わせた複合材料で、耐傷性やガスバリア性、軽量性、耐衝撃性、フレキシブル性など、ガラスと樹脂の特徴を併せ持つ。製品サイズは最大で600×600mmに対応し、ガラスと樹脂の厚さは調整できる。用途としては、ナノインプリント用モールドや有機EL照明、有機ELディスプレイ、タッチパネル、フレキシブルディスプレイなどを想定している。
紫外線遮蔽超薄板ガラスは、紫外線遮蔽特性に優れた超薄板ガラスで、空気や水分だけでなく紫外線からもデバイスを守り長寿命化に貢献する。さらに、薄くて(最薄板厚30μm)軽いためデバイスの軽量化にも役立つ。用途としては太陽電池や人工衛星の光学系カバー材料を想定している。
Dinorex UTGは、フォルダブルディスプレイのカバーガラス用に開発された化学強化専用の超薄板ガラスで、高い表面平滑性と板厚の均一性により曲げ特性に優れ直径3mmの折り曲げにも耐えられる。
加えて、オーバーフロー成形を用いて優れた表面品位や均一な板厚分布、化学強化および欠陥除去を行い、1500MPa以上の破壊応力を実現した。用途としてはフォルダブルディスプレイのカバーガラスを想定している。
日本電気硝子のブース説明員は「これらの超薄板ガラス製品は現在サンプル出荷を開始している」と述べた。
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