1コートでUN規則に適合する樹脂ウィンドウのコーティング、「クラスL」に対応:ジャパンモビリティショー2023
豊田自動織機は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」で、1コートで自動車用安全ガラス法規「UN-R43」のクラスL規格に適合した高耐候ハードコート付き透明ポリカーボネート製の樹脂ウィンドウを披露した。
豊田自動織機は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)で、1コートで自動車用安全ガラス法規「UN-R43」のクラスLに適合した高耐候ハードコート付き透明ポリカーボネート製の樹脂ウィンドウを披露した。
クラスLとは運転視界領域に位置する窓における耐傷性能の要求規格だ。この規格を満たすために従来は、プライマーコート層、トップコート層、CVD(化学気相成長)層といった3層のコーティングが必要だった。開発された今回の樹脂ウィンドウは新たなハードコートにより1層でクラスLの条件を満たしている。
新たなハードコートは、硬化時間が短く省エネルギーなUV硬化型1コートのため、従来のハードコートと比べコーティングプロセスのスリム化を実現でき、CO2排出量を83%減らせる。加えて、樹脂ウィンドウはガラス製に対して約半分の重量であるため、モビリティの軽量化による走行距離延長を通じて脱炭素化に貢献する。
なお、既に同社は運転視界領域以外の窓を対象とした耐傷性能の要求規格であるクラスMに適合した樹脂ウィンドウを量産化済みだ。この樹脂ウィンドウも1層のハードコートによりクラスMの要求規格を満たしている。そのため、クラスLに適合した樹脂ウィンドウが加わることで、モビリティの全ての窓に樹脂ウィンドウの適用が可能となる。
さらに、クラスLの新ハードコートを使用した樹脂ウィンドウはトヨタ自動車がデザインしたLEXUSブランドのコンセプトカー「LEXUS ROV Concept」で採用されている。
豊田自動織機の説明員は「3層のコーティングを施したクラスLの樹脂ウィンドウは高価なため導入しづらいという課題があった。解決策として、1層でクラスLの条件を満たせるハードコートを開発し、樹脂ウィンドウに採用した。これにより、製造プロセスのスリム化が図れ、コストも削減でき、製品価格を下げられるようになった。ただし、ガラス製のウィンドウと比較すると今回の樹脂ウィンドウは高価だ。しかしながら、ガラス製のウィンドウより軽量で割れにくく曲げやすいという利点があるため、これらのポイントを長所として訴求していく」と話す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 電動コンプレッサー1000万台を前倒し、豊田自動織機が900億円の設備投資
豊田自動織機は、2023年度までに900億円の設備投資を実施し、電動コンプレッサーの年間生産台数をグローバルで1000万台に引き上げる。東浦工場(愛知県東浦町)や中国子会社のTACK(豊田工業電装空調圧縮機(昆山))の加工ラインの拡張や、刈谷工場(愛知県刈谷市)の組み立てラインでのサイクルタイム短縮で能力を増強する。 - アルミダイカスト工程の不良予測AIを開発、豊田自動織機とシーメンスが協業で
豊田自動織機とシーメンスは2021年4月12日、カーエアコン用コンプレッサーのアルミダイカスト工程において製品不良を予測するAIを開発したと発表した。 - 「グランエース」の水冷ターボを披露、豊田自動織機は過給器の電動化にも対応
豊田自動織機は、「第46回東京モーターショー2019」において、トヨタ自動車のフルサイズワゴン「グランエース」に採用された排気量2.8lのクリーンディーゼルエンジン「GDエンジン」を披露した。 - バイポーラ型ニッケル水素電池の生産能力増強、豊田自動織機が愛知県に新工場
豊田自動織機は2022年8月30日、車載用バッテリーの新工場として石浜工場(愛知県東浦町)を設置すると発表した。2022年10月からハイブリッド車(HEV)向けのバイポーラ型ニッケル水素電池を量産する。同社の共和工場(愛知県大府市)でも2021年5月からバイポーラ型ニッケル水素電池を生産しており、石浜工場での生産がスタートすることで生産能力は月間4万台に増強される。 - シンプルAGVに1000kgタイプを追加、豊田自動織機が搬送自動化ニーズに対応
豊田自動織機・トヨタL&Fカンパニーは2020年9月24日、工場や倉庫内での搬送に使われる無人搬送車(AGV)「キーカート」のラインアップを拡充し、最大搬送重量が1000kgのモデルを発売した。 - フォークリフトから倉庫全体へ、トヨタL&Fの描くスマート物流のCASE戦略
豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニーは2020年2月7日、都内でスマート物流戦略について発表するとともに、自動運転フォークリフトや無人搬送車のデモを行った。