電動コンプレッサー1000万台を前倒し、豊田自動織機が900億円の設備投資:電動化
豊田自動織機は、2023年度までに900億円の設備投資を実施し、電動コンプレッサーの年間生産台数をグローバルで1000万台に引き上げる。東浦工場(愛知県東浦町)や中国子会社のTACK(豊田工業電装空調圧縮機(昆山))の加工ラインの拡張や、刈谷工場(愛知県刈谷市)の組み立てラインでのサイクルタイム短縮で能力を増強する。
豊田自動織機は、2023年度までに900億円の設備投資を実施し、電動コンプレッサーの年間生産台数をグローバルで1000万台に引き上げる。東浦工場(愛知県東浦町)や中国子会社のTACK(豊田工業電装空調圧縮機(昆山))の加工ラインの拡張や、刈谷工場(愛知県刈谷市)の組み立てラインでのサイクルタイム短縮で能力を増強する。
電動車の普及に伴い、カーエアコン用電動コンプレッサーの市場が急速に伸長しており、市場規模は2021年度に1000万台、2023年度に2000万台に拡大すると見込まれている。その中で豊田自動織機は、電動コンプレッサーのグローバルシェア50%、販売台数1000万台を目指している。
2021年度の時点で、コンプレッサー全体での豊田自動織機のシェアは45%、電動コンプレッサーに限るとシェアは50%を占める。これまで、電動コンプレッサーの販売台数が1000万台に達するのは2025年度と見込んでいたが、2023年度に前倒しで達成できる見通しだ。
電動コンプレッサーは現在日本と中国で生産しているが、欧州や米国でも2024年度以降をめどに生産体制を拡充し、今後の市場拡大に対応する。中国での電動コンプレッサー生産は、2020年から豊田工業電装空調圧縮機(昆山)で、2021年からYST(烟台首鋼豊田工業空調圧縮機)でも行っている。
シェルやローターなど、圧縮機能を担う基幹部品を加工する東浦工場は、現工場の建屋面積を約2倍に拡張して電動コンプレッサー部品専用の加工ラインを新設、2022年10月から生産を開始する。
電動コンプレッサーは2003年の2代目プリウスから
豊田自動織機は、2003年にトヨタ自動車のHEV「プリウス」向けから電動コンプレッサーを展開している。その後、徐々に電動コンプレッサーの販売台数が拡大している。
生産体制の拡大だけでなく、電動コンプレッサーの商品性向上にも取り組む。従来は車室内の冷房だけだったが、電動車の駆動用バッテリーの冷却も担うため高い冷房性能が求められている。さらに、同じ電動コンプレッサーでヒートポンプ式の暖房もカバーするため運転時間が増加しており、冷暖房に対応した耐久性が求められる。
こうしたニーズに対応した電動コンプレッサー「ESH34」は、トヨタ自動車のEV(電気自動車)「bZ4X」に採用されている。ESH34は容量増加と高速回転化により、40%の能力向上を図った。また、構造の見直しにより、既存製品の2倍の長寿命化を実現したという。
今後はコンプレッサー容量が50ccを超えるさらなる大容量化や、バッテリーの高電圧化に対応した電動コンプレッサーを開発し、多様なニーズや電動車の普及に貢献する。電動コンプレッサーだけでなく、エンジン車向けも両輪で展開する。
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